WINDBIRD::ライトノベルブログ

ライトノベルブログ

殺人ってなんだ?

くやまないことさ。


「一方では1人が、もう一方では10人が死にかけていて、どちらか一方しか助けることができない。そんなときあなたならどうするか?」という問題は、"なぜころ問答"にも繋がっていて面白いと思うのだけど。


まず、命の価値をxとしたとき、xはどんな値をとるか、を考える。


命の価値xが、たとえば100だったとする。この場合、100×1<100×10で、10人を助ける方が最善となる。しかし、一般に多数のために少数を見殺しにしてはならない、と言われている。1億3千万人いる日本人のあなたは、13億人のために死ねますか。少数のために多数を見殺しにする場合もまた否定される。よって、1x=10xである。


命の価値は0かといえば、そりゃまあ0ではない。


よって、答えは一つに定まる。x=無限大である。なぜ人を殺してはならないか。人を殺せば無限大の罪が発生するからである。以上、証明終了。


…というのが、わりと似非数学似非似非数学っぽい回答だと思う。ちなみに、わりと似非文系っぽい回答は→http://d.hatena.ne.jp/kazenotori/20060314/1142265025


さて、最初の問題に戻る。「一方では1人が、もう一方では10人が死にかけていて、どちらか一方しか助けることができない。そんなときあなたならどうするか?」。この場合にとる行動は、

  1. 1人を助ける
  2. 10人を助ける
  3. どちらも助けない
  4. どちらも助ける

の四パターンである。1と2は否定された。3を選ぶのは血も涙もない悪党である。4を選べば、1人も死に、10人も死ぬので、両方に公平である。そして自分の中には「俺はどちらも助けようとした」という満足感が残る。みんなハッピーだ。


たとえばこういうのはどうか。


北海道と沖縄で同時にテロが発生、沖縄のテロリストは100人を人質に、北海道のテロリストは1000人を人質に立てこもっていて、解決するためには速やかに特殊部隊を突入させなければならない。しかし、あいにく特殊部隊は1つしかなく、北海道と沖縄、どちらかにしか向かわせることが出来ない。どちらか一方を制圧した頃には、もう一方の人質は皆殺しにされているだろう。さて、政府は北海道と沖縄のどちらを選ぶべきか?


北海道を選べば、殺された100人の遺族は狂ったように首相官邸に押しかけ、「どうして見殺しにしたのか」と叫ぶだろう。逆もまた然り。この場合、政府は両方とも助けようとして、両方とも殺すしかない。


国内の多数派を優遇すると少数派に危険が及び、少数派を保護すると多数派の安全が脅かされる。全ての国民を守る義務がある政府は、両方を守り、両方を殺すのだろう。


ああ、なんと世知辛い世の中だろうか。