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ライトノベルネタブログ

『涼宮ハルヒの憤慨』の感慨

http://d.hatena.ne.jp/giolum/20060428#1146152186

いや、これはライトノベル読者の間でちょっとした話題になると思います。

とのことなので、ちょっとした話題にしてみんとす。


これから書くのは長門の作中作の分析だ。あえて何も言うまいと思っていたが、別に言わないでもないことなので、あえて言ってみようと思う。めがっさネタバレしてるので、『憤慨』を読んでない人はあんまり見ちゃだめにょろよ。


この作中作内では、時間の概念はきわめて希薄なものとされている。
無題1に登場する少女はみくるであると示唆されているが、彼女が「長門有希」である前の名前のない長門と出会っていることからも、作中作内の「時間」が、キョンたちの世界の「時間」の概念ではなく、情報統合思念体や未来人たちの「時間」の概念であることが強調されている。


無題2は、情報統合思念体から長門が独立してSOS団に加わるまでの話だと思われる。とはいえ、やはり時間の概念は希薄で、いつ頃の話なのかは明確にわからない。

光と闇と矛盾と常識

この四つは普通に考えればSOS団の面々なのだろうが、誰が何に対応するのかが問題だ。キョンを「常識」とするならハルヒは「矛盾」だろうし、となると古泉はまさしく「光」になれるからそれとしても、残った「闇」がみくるということになる。なんだかかんだか。
となると、この4つは全てキョンの属性であるのかもしれない。彼は複雑な精神構造をしているから、光も闇も矛盾も常識も抱えているだろう。

物質と物質は引きつけ合う。それは正しいこと。私が引き寄せられたのも、それがカタチを持っていたからだ。

という表現からも、ここは「SOS団」というカタチの無いものよりも、「キョン」という一つの物質・カタチを指しているのではないかと思われる。


そして無題3だが、どうもこれは現在の状態を表しているのではないか。
まず、「黒い棺桶」を部室とする。そこに座っている男は古泉であると示唆されているから、古泉が会長を操って(芝居であるが)部室を奪おうとしている比喩なのだろう。
そこにやってくる少女はみくるであるが、「遅れてしまいました」とは原稿の提出が遅れたという意味に取れる。「発表会はまだ始まっていません」における「発表会」とは原稿の締切のことだろうか。
そして長門は「発表することがない」と書いている。これはつまり、「会誌に書くことなんてない」ということを主張しているのだろう。


という風に考えるとつじつまが合うのだが、しかしそれだと無題1,2とは毛色が違っているようにも思える。まあ、深く考えても真実なんて作者にしか分かりゃしないんだから、さらに面白い方に向かって好き勝手に解釈していこう。


無題3で長門は「私の居場所は黒い棺桶の中だった」と書いている。「黒い棺桶」とは部室であるとは上で書いた。
ここで無題1に戻ってみれば、そこには「私の場所」といった表現が見られる。つまり「私の場所」=「黒い棺桶」=「部室」である。また、「私の場所」はイコール「私が生きて存在するその意義」だとも読み取れる。
無題2において、「意味」「存在の証明」とは「光と闇と矛盾と常識」であり、またそれは「私の場所」でもあろう。「光と闇と矛盾と常識」はキョンのことであるから、「部室」の示すものは「SOS団」そのものというよりは、やはり「キョン」のみを指しているのではないかと思われる。


なんだかごちゃごちゃしてきたが、要するに、「私が生きて存在するその意義」(無題1)=「私の場所」(無題1)=「存在の証明」(無題2)=「光と闇と矛盾と常識」(無題2)=「黒い棺桶」(無題3)=「私の居場所」(無題3)=「SOS団の部室」=「キョン」ということだ。


さらに、無題2にはこうある。

光と闇と矛盾と常識。私は出会い、それぞれと交わった。私にその機能はないが、そうしてもよいことかもしれなかった。
仮に許されるなら、そうするだろう。

「光と闇と矛盾と常識」=「キョン」なのだから、文章の意味は明白だ。
長門えろいよ長門。
それに続く

待ち続ける私に、奇蹟は降りかかるだろうか。
ほんのちっぽけな奇蹟。

という文章。
「奇蹟」は「仮に許されるなら」にかかっている。そして「降りかかる奇蹟」とは、無題1で示されているように「雪」を指している。
つまり、長門にとっては「キョン」と「交わる」ことが「奇蹟」であり、それを望むが故に、自分の名前を「奇蹟」たる「雪」、つまり「有希」にしたということだ。
時系列がおかしいだろ、という突っ込みは野暮だ。この作中作内では時間の概念は希薄なのだから。


想像してほしい。
長門がキョンと結ばれる日を夢見て、自分の名前を「有希」としたところを。


そう、この長門の作中作は、キョンへのひたむきな愛を綴ったものなのだ。
あーたまんねー長門さいこう長門かわいいよ長門は俺の嫁。