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WINDBIRD

ライトノベルネタブログ

“学校”や“十代の若者”が出ないライトノベル

http://d.hatena.ne.jp/kazenotori/20070120/1169234659#c1169258656

ライトノベルというのは、読者対象を十代の若者と定めている場合が多い(多いというより全てそうなのかもしれませんが・・・)ようなのですけれど、そのためか、ふと世に出ているラノベ作品の内容を思い返してみましたら、圧倒的に、主人公や登場人物が十代の若者もしくは学生、異世界ファンタジーでなければ舞台として学校が出てくる、そういったものが殆どのようなのです。

というコメントがあったのをきっかけに、いろいろと考えてみた。


“学園物”というのは昔からある基本的なジャンルの一つだけれど、最近のライトノベルが学園物ばかりなのは、まず『ブギーポップは笑わない』の影響が大きいんじゃないかと思います。それ以前のライトノベルは『スレイヤーズ』を筆頭にファンタジー全盛なわけで、『ブギーポップ』のヒットで“学園(バトル?)物”が大幅に増加したっぽい。その頃の俺はラノベ読んでなかったので詳細はわかりません。現代に伝わっている話から当時の様子を推定するのみ、です。


“成人”が主人公のライトノベルというのは、まだライトノベルライトノベルと呼ばれていなかった頃、つまり一般向けのSF/ファンタジーとライトノベルとの境界が薄かった時代に多い、という印象*1。ラノベのオタク化が進行するにつれて、主役の低年齢化も進行していったのかな?


では最近はどうなのかということで、具体例として「十代の若者」「学校」が登場しない作品を思い出してみる。なるべく最近の作品で。


『HyperHybridOrganization』高畑京一郎
ひとことで言えば“逆仮面ライダー”。正義の味方に婚約者を殺された男が、悪の秘密組織に入る話。ひたすら男ばかりの話で、女キャラは数人程度。特に第二巻の男臭さは異常。外伝なんか完全に任侠小説だし。ただ、いわゆる“売れ線狙い”の筋立てでないのは、やはり作者がベテランであることが大きいんじゃないかな。新人だったら編集者に指導されそう。三巻(+外伝三巻)まで出ているけれど、ただいま絶賛停止中。amazonの書影からもわかりますが、帯の「萌え0%」がすごい。

Hyper hybrid organization (00-03) (電撃文庫 (1170))

Hyper hybrid organization (00-03) (電撃文庫 (1170))


A/Bエクストリーム高橋弥七郎
灼眼のシャナ』の作者のデビュー作。『シャナ』がどちらかと言えば“萌え”を前面に押し出した作品であるのに対して、こちらはかなり熱い作品。俺は三巻だけ読んだのだけれど*2、たしかに「命とプライドを懸けて戦う男たち!」みたいな感じの話でした。詳細はWikipediaに譲ります。→A/Bエクストリーム - Wikipedia

A/Bエクストリーム―CASE‐314エンペラー (電撃文庫)

A/Bエクストリーム―CASE‐314エンペラー (電撃文庫)


バッカーノ!成田良悟
B級ハリウッド映画っぽい雰囲気。禁酒法時代のアメリカ、とにかく大量のキャラが暴れて、狂って、馬鹿をやって、という話。登場するのはマフィアとか宗教組織とか製薬会社とかなので、当然ながらキャラの大半は成人です。舞台になるのは酒場とか豪華列車とか刑務所とかなので、学校なんてものも出てきません。あ、ちなみにアニメ化が決定していますね。


狼と香辛料支倉凍砂
若い商人が主人公、人の姿をした狼がヒロイン、その二人組が旅をする話。成人男性+美少女の組み合わせ。ヒロイン以外の登場人物はたいていが成人で、いずれもきわめて現実的な設定を持っている。つまりティーン向けでファンタジー的な要素は全てヒロインに集約されているわけです*3。主人公が成人男性である場合、ヒロインを低年齢に設定してバランスを取る、という作戦(?)は多いと思います。『円環少女』は低年齢過ぎだけど。

狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (電撃文庫)


…なぜだか電撃文庫ばかりになってしまった。


自分の記憶だけを頼りに四作品を挙げましたが、探そうと思えばまだまだ出てくるでしょう。つまり、非“若者”・非“学校”のライトノベル自体は、わりとたくさんあるわけです。ただ、それらは“売れ線”ではありません。『狼と香辛料』はいま人気があるけれど、「これこそライトノベル!」とは言われないでしょう。「十代の少年少女が学校で青春する話」が大半を占める中で、カウンターパンチ気味に「おっさんが奮闘する話」みたいなのも出しているのが、いまのライトノベル界なのではないかと思います。

*1:これも印象だけ

*2:このシリーズは三巻だけが微妙に独立している

*3:厳密に言えば、ヒロインは人間ではないので、「少女」というより「少女の姿をした神様」だけど