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WINDBIRD

ライトノベルネタブログ

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』がそんなにネタまみれなわけがない

巷で話題の『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』。とても面白かったです。表紙のイラストがまた素晴らしいですね。


さて、話題になっているのは喜ばしいことなんですけど、その取り上げられ方が少しズレているような気がしました。

「このままじゃいけないって……何度も止めようって、思った。でもどうしてもやめられなくて……だってね、ブラウザ立ち上げると、はてなアンテナに登録してあるニュースサイトが毎日あたしに新たな情報を伝えて、色々買わせようとしてくるんだよ? ……うう、かーずSPとアキバBlogめ……」

この一文が引用されまくっているために、未読者からは「ネットネタ満載のメタオタク小説」みたいに思われてるんじゃないでしょうか。どうなんでしょうか。


たとえばこうした意見。

要するにニュースサイトが実名でいくつか出てくるんですよね。はてなあんてな、かーずSP、アキバBlog朝目新聞など(ニコニコ動画なども)。で、こういうサイトは自分のところが名指し出てくるから取り上げる。また、そういうサイトに近いしい人はそのことを話題にする。すると、みんなが注目して読んでみるか、ということになる。こういうのはニュースサイトに話題にしてくれと全力で媚を売っているように見えてちょっと…でも宣伝効果はあったよね。

ラノベ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」でわかったのはニュースサイトの影響力だった - GilCrowsのペネトレイト・トーク

「かーずSP」やら「アキバblog」やらの名前が出ているといっても、リアリティを出すための小道具として冗談交じりに使われているだけで、「話題性を狙う」とか「媚を売る」というような意図があるようには読めませんでした。
作中にかーずSPを閲覧するシーンがあるわけでも、かーずSPをはじめとした個人ニュース管理人連合が人類絶滅を企むわけでも、かーずSPが美少女になって嬉し恥ずかし同居生活がはじまるわけでもないのですよ*1
会話文中にちらっと名前が出てくるだけで「全力で媚を売っている」ことになるなら、某漫画とか某アニメなんて、ひざまずいてを舐めてるレベルですよ。


この物語において、「俺の妹がオタクだった」ことは、実はあまり重要ではありません。たとえば「俺の妹がエイリアンだった」とか「俺の妹がロサ・キネンシスだった」とか「俺の妹が邪気眼に苦しめられていた」とかだったとしても、十分に成り立つ物語だと思います。
この作品の主人公は、もちろん「オタクの妹」ではなくて、「オタクの妹を持った兄」の方ですし、クライマックスで主人公が叫ぶのは、「オタクを擁護するための正論」ではなく、あくまで「妹を守るための詭弁」です。
つまるところ、この作品はオタクが共感して楽しむタイプの作品ではありません。いやだいやだと言いながらも妹をやさしく見守り、どうして俺が…とぼやきつつ必死に妹を助ける、そんな兄貴の生き様に胸を熱くする作品です。可愛い妹と格好いい兄の物語なのです。
おそらく、オタク系パロディや自虐ネタを期待してこの作品を読めば、ちょっと裏切られた気分になるのではないでしょうか。それらを期待している人は、『生徒会』シリーズ『AURA』を読んだほうがいいと思います。


最後に。
「このタイトルから察するに、もしかして近親相姦物!?」と歓喜の声を上げた方、残念ながらあなたが求めるものはここにはありません。有馬第三ビルの13階をお訪ねください。

*1:やたらかーずSPを連呼していますが他意はありません。お好きな個人ニュースサイトに変換してお読みください