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ファンタジー物のラノベが復活しつつある、ような気がする

「ラノベってファンタジー小説のことだよね?」と言う人がいまだにいるくらい、一昔前はライトノベル=ファンタジーという印象が強かったのではないかと思いますが*1、いまやライトノベルでは学園物や異能バトル物が主流となり、ファンタジー物は一時期の人気をすっかり失ってしまいました。最近の話題作を思い浮かべれば、『フルメタ』に『シャナ』に『ハルヒ』と、現代学園物がずらりと揃っていますしね。
ところが最近は、ファンタジー物の新作が多かったり、その新作が売り上げランキングの上位に入っていたり、また今月などは電撃文庫が3シリーズもの戦記物を送り出したりして、実はわりと勢いが出てきているんじゃないのかファンタジー、という感じがします。読者層が入れ替わって逆に新鮮になったのかどうなのか、来年あたりファンタジー物の復権があるのかもしれません。
というわけで最近のファンタジー物を紹介してみるの巻。

戦記ファンタジー

いまファンタジー系の中で最も勢いがあるのではないかと思われるジャンル。特に電撃文庫は『タザリア王国物語』『烙印の紋章』『ゆらゆらと揺れる海の彼方』など複数の戦記ファンタジーを抱えており、なんだか知らないけど妙に力を入れている印象。

剣闘士が王子様と入れ替わって異国の姫君をゲットする話。超逆玉だぜ。じゃなくて。一巻では王子になるまでの経緯と初陣の様子が、二巻では剣闘士同士の一騎打ちと国内外に張り巡らされる陰謀・策謀が、それぞれ描かれており、戦争一辺倒ではないバランスの取れた作品になっていると思います。癖が少ないので初心者に最適。売り上げも好調なようです。


また、富士見ファンタジア文庫では『火の国、風の国物語』が、スニーカー文庫では『ミスマルカ興国物語』が、ともに準エース級の人気を獲得しています。

この作品の特徴はなんといっても主人公が強すぎる点。4人 vs 1000人で戦って(もちろん主人公は4人の方)無傷で勝利したりするあたり、文字通りの意味で一騎当千。そんなチート主人公を敵方はどんな策でもって止めるのか、またその策を主人公がどのように打ち破るのか、というあたりの駆け引きが見所でしょうか。あとヒロインの数も無駄に多くてハーレム最高。俺TUEEEの爽快感を味わいたい人におすすめです。
ミスマルカ興国物語〈1〉 (角川スニーカー文庫)

ミスマルカ興国物語〈1〉 (角川スニーカー文庫)

気力も体力もないぐーたら王子が、口先だけで世界征服しようとする話。『火の国〜』とはまったく対照的な作品で、読み比べてみると面白いです。この作品はかなり冒険ファンタジー的な要素が強くて、戦争シーンなんかがほとんどないあたりが特徴。まあ言葉で戦うのが主人公の信条なので、戦争になればその時点で彼の負けということなんでしょう。驚きと笑いに溢れた作品です。一風変わったものを読みたい人におすすめ。

冒険ファンタジー

少し前までライトノベルの主流だったジャンル。特に富士見ファンタジア文庫からは『スレイヤーズ』『魔術士オーフェン』『エンジェル・ハウリング』『スクラップド・プリンセス』『伝説の勇者の伝説』など、数多くの冒険ファンタジー作品が輩出されてきました。ただ、さすがの富士見Fもいまではすっかり非ファンタジーに重心を移していて、冒険ファンタジー系は『伝説の勇者の伝説』に任せきりという感じも。

輪環の魔導師―闇語りのアルカイン (電撃文庫)

輪環の魔導師―闇語りのアルカイン (電撃文庫)

電撃文庫が誇る幼馴染作家・渡瀬草一郎が贈る正統派冒険ファンタジー。なんといっても幼馴染の凶悪さが凄い。見た目は清楚なお嬢様、しかしその中身は主人公に異常な愛情を向ける独占欲の権化。笑顔で人を殺すタイプ。個人的な予想ですがたぶんラスボスは幼馴染です。…いやもちろん、幼馴染以外はまっとうなファンタジーです。読み応えのある作品を読みたい人におすすめ。

学園ファンタジー

学園物+ファンタジーという黄金の組み合わせ。『ゼロの使い魔』を筆頭に、『黄昏色の詠使い』や、ちょっと雰囲気違うけど『鋼殻のレギオス』とか、けっこう人気作品が多いジャンル。

ねくろま5 (MF文庫J)

ねくろま5 (MF文庫J)

売り上げ的には『レギオス』や『黄昏色〜』の方が上だろうにこちらを紹介するのは、まあ俺が好きだからです。ヒロインも全裸。主人公も全裸。一冊丸ごと全裸。魔法暴発→服が破れる→全裸、というお約束をやりたいがためにファンタジー世界を採用したんじゃないかと思えるくらい全裸。もはや「エロいから」とか「売れるから」とかそんな理屈を超越して、ただ全裸にしたいがために全裸にしているようにも思える全裸。『ねくろま。』最終巻は08年11月25日発売です。6冊まとめてレジへGO。

んで

ファンタジー作品のいちばんの問題点は「アニメ化されることが少ない」ということではないかな、と思います。最近のラノベ原作アニメの中でファンタジー物って『ゼロの使い魔』と『スレイヤーズ』くらいだし、なんかアニメ化しづらい空気になってるんじゃないかなぁ。
そういえば、『スレイヤーズ』が今頃になってアニメ化されたのは『伝説の勇者の伝説』アニメ化前の露払いなんじゃないかと勘ぐったりもしたんだけど、どうやら企画がポシャってしまったようで。いま猛烈にプッシュされてる同作者の新シリーズ『いつか天魔の黒ウサギ』は、どうやら学園異能系のようだし、やっぱりまだまだ異能バトル物が強いのだろうか。

*1:いや「ライトノベル」という言葉は定着してなかっただろうけど