『日常』から「日常系」という存在を捉えてみる - ピアノ・ファイア
で、『あずまんが大王』のギャグを強くしたのが『日常』だとしたら、逆にギャグを薄味にしてリアリティを加味したのが「日常系萌え四コマ」であると。
そうすると、どちらも同じ系譜が枝分かれしただけだとわかる。
日常系アニメも「あるある系コメディ」と「ギャグマンガ」があくまでベースにあるのであって、いきなりストーリーアニメの世界に「萌え」や「日常描写」がふってわいたわけではない、って見方が肝心でしょう、ということです。
日常系四コマが『あずまんが大王』を見て描かれた作品群だとしたら、日常系ラノベ、特にその初期の『生徒会の一存』や『ラノベ部』は、おそらく『らき☆すた』を見て書かれているのでしょう。
しかも、それは『らき☆すた』の作品内容を移植しようという以上に、「四コマ漫画をライトノベルにする」という、小説技法上の挑戦的な側面が強いように感じます。
『生徒会の一存』の「作者的には『四コマ小説』みたいなジャンルと捉えています」といったあとがきや、『GJ部』の「ライトノベル史上初の四コマ小説」といったキャッチコピーは、その表れと言えるでしょう*1。
言葉を借りれば、「いきなりストーリーラノベの世界に『萌え』や『日常描写』がふってわいた」ことになります。
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これらのライトノベルの日常系作品と「けいおん!」などの萌え4コマを由来するアニメ作品とは異なる点がある。それは男性キャラの存在有無である。
日常系4コマ作品のアニメと日常系ライトノベルの異なる1つの点 - ミグストラノート
ライトノベルの作品の場合、ほとんどの場合主人公は男である。そして、その男キャラの視点から物語が語られることが多い。
といったように、日常系ライトノベルが「男性キャラの排除」といったところにまで踏み込んでいないのは、日常系四コマの形式的な部分のみを重視している傍証とも言えます。
まあ、アニメ版『けいおん!』放送以降は逆に、『りてらりっ』『セク研』『すてっち!』といった女性主人公の日常系ライトノベルが相次いで登場していたりもするんですけど。
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以上から、日常系ライトノベルは「日常系アニメ」を参照して作られてはいるものの、その歴史的背景*2までは継承していないのではないでしょうか。そうすると、「根本的にギャグマンガだから面白い」だという日常系アニメへの説明も、日常系ライトノベルには適用できないことになります。「日常系ライトノベル」の面白さはどこから生まれているのでしょうか。