最初に申し置きますが、私はあまり熱心なファンとは言えません。既に五十余りあり、現在も増大しつつある『ニンジャスレイヤー』のエピソードの中で、私が読了しているのは今のところ十数話ほど、なかなか古いエピソードを読み返す時間も無く、連載中のエピソードを追っているばかりの状態です。
それでも今回、『ニンジャスレイヤー』を紹介しようと思ったのは、この作品が実際にとても面白いこと、そして先日「再放送」アカウントが開始されたからです。『ニンジャスレイヤー』の紹介をするならこのタイミングが良いだろう、むしろこのタイミングしかないと思いまして、不肖ながらこの全米が震撼する一大ニンジャ活劇について書いてみる次第であります。
どんな話なの?
ニンジャスレイヤーの舞台は未来の日本です。
邪悪な総会屋や強大な財閥が社会を支配し、善良な市民は虐げられ、そしてニンジャが暗躍する、いかにも世紀末的な世界観です。クローンのヤクザ、バイオな相撲取り、身体を機械化し、首筋にケーブルを差してネットに接続、といったサイバーな設定も散見されます。一方で、地下には古代文明の遺跡が眠り、僧侶が武術を研鑽し、ネオンサインは怪しく輝き、闇の格闘トーナメントが開催され、人気アイドルはアンドロイドで、サラリーマンは過労死し、若者は学校に通っています。ひとことで言えば、とても雑多です。
主人公はニンジャスレイヤーですが、ニンジャスレイヤー以外の視点で物語が進むことも多く、群像劇めいた雰囲気があります。各エピソードは独立性が高くオムニバス的であり、また雑多な世界観も相俟って、ある時はジャンプ漫画的バトル、ある時は学園青春物、あるときはハードボイルド、あるときはクライムサスペンス、あるときはカンフー映画、ある時は西部劇と、まったく雰囲気の異なるストーリーが展開されるのです。一粒でいっぱい美味しい。
どこで読めるの?
『ニンジャスレイヤー』はTwitterにて連載されています。
そのアカウントはこちらになります。
NINJASLAYER (NJSLYR) on Twitter
さらに、「再放送」と銘打って古いエピソードを投稿するアカウントが先日開設されました。
それがこちらになります。
NJSLYR SAIHOSO (njslyr_r) on Twitter
これまでまったく『ニンジャスレイヤー』を読んだことがないと言う初心者は、特に @njslyr_r をフォローすれば良いと思います。いまならごく短いエピソードがひとつだけ投稿されているのみです。追いつけます。長大な過去ログのリストを眺めて嫌気が差すことはありません。怖くない。
古いエピソードを個別に読みたい場合はこちらの「エピソード一覧」からどうぞ。
『ニンジャスレイヤー』はどのエピソードから読んでもわりと大丈夫な安心設計です。
エピソード一覧(第1部) - ネオサイタマ電脳IRC空間
エピソード一覧(第2部) - ネオサイタマ電脳IRC空間
『ニンジャスレイヤー』は時系列をシャッフルして連載されている作品のため、ときどき「誰だよこいつ」というキャラが登場します。しかも登場するニンジャはどれも似通った名前なので区別しづらい。そんなときのための副読本、ならぬ副読サイトがこちらになります。
ニンジャスレイヤー @ wiki - ニンジャスレイヤーwiki
分からないことはだいたいWikiに書いてあります。また、エピソード紹介のページにはあらすじが書かれており、そのエピソードのTogetter*1まとめにも飛べるので、古いエピソードを読みたいときには先述の「エピソード一覧」よりも便利です。更新も早い。
『ニンジャスレイヤー』をリアルタイムで実況する用のハッシュタグが存在します。
こちらになります。
http://twitter.com/search/realtime/%23njslyr
また、再放送用の実況タグはこちらになります。
http://twitter.com/search/realtime/%23njslyr7r
実況用タグには、本編の分かりにくい描写に対する解説、伏線の考察、小粋なギャグ、イラストなどが投稿されるため、本編の更新中に横目で実況を眺めるのも乙なものです。しかし、あまりに内輪向きの空間と化しているために、ときに鬱陶しくなることもあるでしょう。注意しましょう。
ブラウザで小説なんてかったるくて読んでられねーよという方におすすめなのが朗読です。
ニコニコ動画にはいくつかの朗読動画が投稿されている模様です。
おすすめはスパ帝さんの朗読です。
用語解説なんかもテンポ良く挟まれているので、実際に初心者向きかもしれません。
どんなキャラクターが登場するの?
ヤモト・コキ
ニンジャスレイヤー @ wiki - ヤモト・コキ
貧乳な女子高生ニンジャです。折り紙を操り、ミサイルのように飛ばす忍術を使います。この作品における「ニンジャ」とは、「ニンジャの魂が憑依した人間」を指しており、平凡な女子高生だったヤモト・コキも、ニンジャの魂が憑依したことで戦いの場に身を投じることになります。ヤモト・コキの初登場エピソード『ラスト・ガール・スタンディング』は実に学園異能的で、ラノベ読者にも親しみやすいと思います。
ニンジャスレイヤー @ wiki - 「ラスト・ガール・スタンディング」
シキベ・タカコ
ニンジャスレイヤー @ wiki - シキベ・タカコ
ニンジャではありませんが眼鏡っ娘です。もっさりした外見に黒縁眼鏡、気の抜けた口調、胸は標準的。彼女について語るにはネタバレが怖すぎるのでエピソード『リブート、レイヴン』を読みましょう。「ニンジャ」が出てくることを除けば良質の探偵小説なので、分からないところは後から理解するつもりで飛ばして読めばいいと思います。たぶん。
ニンジャスレイヤー @ wiki - 「リブート、レイヴン」
アズール
ニンジャスレイヤー @ wiki - アズール
14歳美少女ニンジャです。無口無表情。犯罪者一味に連れ回されてストックホルム症候群的に協力するようになるらしいけど、いまんとこ出番が少なすぎて詳しくは分かりません。
エーリアス
黒髪ショートボブで泣き虫でマフラーな女ニンジャです。なんか重要キャラっぽいし百合っぽいし可愛いです。仮に中身がアレでもそれはそれで。
男はどうでもいいと思ったけどやっぱり何人か。
ニンジャスレイヤー
ニンジャスレイヤー @ wiki - ニンジャスレイヤー
主人公です。
ダークニンジャ
ニンジャスレイヤー @ wiki - ダークニンジャ
主人公のライバルです。
デスドレイン
ニンジャスレイヤー @ wiki - デスドレイン
死刑判決直後に「ニンジャ」化して逃亡。
犯罪者仲間を集めて大暴れします。
個人的にけっこー好き。
実際に読んでみよう!
@njslyr_r に投稿されている『ベイン・オブ・サーペント』から、いくつかのツイートを抜粋してみます。ちなみに『ベイン・オブ・サーペント』のTogetterまとめはこちらです。 「ベイン・オブ・サーペント」 - Togetterまとめ
ムッハハハ初回でありスケジューリングに磁気嵐は呼び易いという報告がされています。健康に影響は無いうえに、今から修正が行われるためあなたがたは何も間違いは見なかった。わかりますね?そう驚いたものでもない
発端はある偽装事件。国内の食料品シェアの87%を握っていたヤンバナ・サシミ・プロダクト&ディストリビュート社が、十年にわたって、ハマチ粉末に違法なブリ粉末を混ぜ、あまつさえ、コクをごまかすために、危険性が指摘されるプロテインすら混入させていた事が明らかになった。15
赤黒いニンジャ装束の男はナンシーを睨みつけた。ナンシーは足がすくんだ。ニンジャの顔を覆うクローム色のメンポには、恐怖を煽る字体で「忍」「殺」と彫金されている。初老の男の口からは濁った血液が一筋、床に流れ落ちている。死んで......そんな、なぜ、こんな事が! 23
「クンクン嗅ぎ回るネズミめ」姿を現したのは、先程とは別のニンジャだった。黄緑色のニンジャ装束を着て、だらりと垂らした両腕には汚い包帯がギブスのように巻きつけられている。このニンジャの腕は爪先近くまで長さがあった。 28
ナンシーは踊り場でふたりのニンジャに挟まれた格好である。だが、赤黒のニンジャはナンシーを一瞥しただけで、すぐにコッカトリスへ向き直った。「ドーモ、はじめましてコッカトリス=サン。わたしの名前はニンジャスレイヤーです」二人のニンジャの間に緊張が走った。何故? 33
「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。コッカトリスです」コッカトリスは目に見えて動揺したようだった。「お前が何故ここに」「ニンジャを見れば、殺すのみ」ニンジャスレイヤーは無慈悲に言い放つ。コッカトリスは首に巻いたヘビをほどき、やおらニンジャスレイヤーに投げつけた。「カメ!」34
「おれをバンディット=サンやヒュージシュリケン=サンのようなサンシタと一緒にするなよ?」コッカトリスの右腕はアナコンダ、左腕はコブラである。コワイ!「驚いたか。リー先生の手術に耐えるニンジャソウルの持ち主だけが、このダイジャ・バイトを修得できるのだ。つまり、俺だけだ」 37
「グワーッ!」コッカトリスは床をのたうちまわった。ニンジャスレイヤーは苦しむコッカトリスの頭に踵を振り上げた。「イヤーッ!」そして、無慈悲に振り下ろした。「サヨナラ!」頭部を破壊されたコッカトリスは、断末魔とともに爆発四散した。 46
以上、駆け足でしたが『ニンジャスレイヤー』の世界をご理解いただけたでしょうか。
こんな説明じゃわからない!
日本語版の公式サイトはこちらになります。
公式のイントロダクションはこちらになります。
Togetter - 「ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」」
また、素晴らしいニンジャヘッズ*2が濃厚な紹介記事を書いてらっしゃるのでリンクしておきます。
イヤーッ!実際傑作、「ニンジャスレイヤー」!! - ディドルディドル、猫とバイオリン
Twitter連載小説「ニンジャスレイヤー」、今このアトモスフィアがヤバイ | MF2dlog
さあ、今日から君もニンジャヘッズ!