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『キノの旅』から考える電撃文庫の対女性戦略

実際はどうだかわからないけど、個人的には電撃文庫の最近のヒット作には流れがあるように思う。「ブギーポップ」→「キノの旅」→「イリヤの空、UFOの夏」→(「撲殺天使ドクロちゃん」)→「灼眼のシャナ」という風に、絶え間なくヒットを出しているようなイメージ。ドクロちゃんは人気があるのかないのかわからないので除外するにしても、他の4作品がヒットしたことに関しては、たぶん同意をもらえると思う。


さて『キノの旅』なのだが、この作品は男性よりも女性に受けている作品である。イラストはパステル調でオタク以外にも受ける絵柄だし、ストーリーは寓話風で読みやすい。『ブギーポップ』『イリヤ』『シャナ』にあるような、セカイ系的な恋愛要素や学園異能風のバトル要素が、『キノの旅』にはない。電撃のラインナップの中では異彩を放っている作品だと思う。


というわけで、上の流れの中から『キノの旅』を取り出して、もう一つの流れを作ってみる。「キノの旅」→「しにがみのバラッド。」→「ポストガール」「シュプルのおはなし」etc...という短編連作小説系の流れである。


知ってのとおり、電撃文庫からは短編作家が多く出ている。それはおそらく電撃hp短編小説賞のせいだろうが、そもそもそういう賞を設けていること自体、電撃が短編小説に力を入れている証拠だろう。


そして『キノの旅』は女性受けしている作品であり、また『キノの旅』の後継者(?)の『しにがみのバラッド。』は、少女漫画誌の「LaLa」で漫画化されていた。そういったことから考えると、電撃文庫は『キノの旅』のような短編小説を対女性用兵器として使おうとしているのはないかという気がする。


スニーカー文庫の『されど罪人は竜と踊る』や『薔薇のマリア』が少女漫画誌で漫画化されていること、富士ミスの少女向けレーベル化なども、電撃のこの動きと無関係というわけではないだろう。ライトノベル業界は少女向け市場に殴りこみをかけようとしているのかもしれない。


…うーん、上手くまとまらないなぁ。「電撃hp短編小説賞に応募する人は女性向けを意識して書こう!」とかのほうがいい?