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「ラノベはそろそろ萌えブームが終わりそう」…なのか?

関連:ラノベはそろそろ萌えブームが終わりそうなんだよな - 本読みのスキャット!


とらドラ!1 (電撃文庫)

とらドラ!1 (電撃文庫)

とらドラ!』という作品は、ラブコメではあるものの、いわゆる「萌え」成分は薄く、どちらかと言えば少女小説のような青春恋愛物だと言えると思います。「複数の美少女から想いを寄せられている時点で萌えラノベじゃねーの」という意見もあるでしょうが、萌え狙いというには作品内容はやさぐれており、ラブコメ的なファンタジー度は決して高くないと考えています。


順調にヒット作にのし上がった『俺妹』も、やはりラブコメ的ファンタジー度の低い作品だと言えるでしょう。主人公は複数の美少女に囲まれていますが、メインヒロインを実妹に設定し、また主人公の相手役を早々に決定してしまうことで、「ハーレムラブコメ」という印象を薄くすることに成功しています。
隠れオタク」という同じテーマを扱った『乃木坂春香の秘密』と比較しても面白いかもしれません。あちらはギャグ寄りの作風だということもあって、非現実的な要素が多く盛り込まれており、これぞ萌えラブコメという王道の作品になっています。


さくら荘のペットな彼女 (電撃文庫)

さくら荘のペットな彼女 (電撃文庫)

さくら荘のペットな彼女』は、電撃文庫の次期主力候補として、(数年前の『俺妹』のように)期待をかけられている作品です。
簡単に紹介しておきますと、変人ばかりが集まっている学生アパートを舞台に、生活能力皆無の天才画家ヒロインと、そのお世話をすることになった主人公の関係を描いた青春ラブコメです。天才たちに囲まれた主人公が、自身の才能のなさに悩み、将来の夢を探して、挫折し、それでも少しずつ前に進んでいく。そんな話です。


以上、電撃文庫の青春ラブコメの系譜、とでも言いましょうか。


とらドラ!』(2006)→『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(2008)→『さくら荘のペットな彼女』(2010)


この三作品は、ファンタジー度の高い「萌え作品」とは一線を画しており、そしていずれも主力級の結果を残しています。
ついでにさよならピアノソナタ(2007)や電波女と青春男(2009)をこの中に加えてもいいかもしれません。『ピアノソナタ』は売り上げ的に主力級とは言いがたく、『電青』は青春ラブコメと言い切るにはちょっと異質な作品ですが、この二つを加えると刊行年が一年おきで収まりが良いですw
また、『とらドラ!』は完結しましたが、竹宮ゆゆこは新作『ゴールデンタイム』を上梓しています。大雑把に言えば、大学生になった『とらドラ!』といった感じの作品で、これも系譜に連なる作品でしょう。




2010年は、萌えラブコメに定評のあるMF文庫Jが躍進した年でした。次々にレーベル作品のアニメ化が決定し、月々の刊行点数は倍増して電撃文庫に迫る勢い。「萌えブーム」というなら、まさに2010年がそうだったと思います。
一方の電撃文庫は、萌え戦略においてMF文庫Jに遅れを取っている感がありますが、もしかすると今後、電撃文庫MF文庫Jとの正面決戦を避け、この「青春ラブコメ」のラインナップを強化していくのではないでしょうか。


というわけで、「青春の電撃文庫」VS「萌えのMF文庫J」というアングルで眺めてみると、何かプロレス的に楽しめるかもしれません。果たして2011年も萌えが席巻するのか、それとも?