電撃文庫25周年・新文芸に参戦
電撃文庫が創刊25周年にあわせてついに「新文芸」に挑戦。
先行してカクヨムに公式チャンネルを開設したことも話題になりました。
電撃文庫(@dengekibunko) - カクヨム
ちなみに「新文芸」というのはKADOKAWAが提唱する造語で、大雑把に言えば「(「なろう」だけでなくボカロ小説やフリゲ小説なども含め)Webから書籍化した小説」の総称です。電撃文庫は、川原礫と佐島勤の二大作家を手中に収めて以降は、散発的にしかWeb小説のスカウトをしていなかったのですが、ここで大きく方向を転換したということになります。
富士見ファンタジア文庫30周年・『スレイヤーズ』の復活
富士見ファンタジア文庫の30周年にあわせては『スレイヤーズ』が復活。
といっても短編シリーズの新作は2011年まで刊行されていましたし、2008年と2009年にはアニメ化までされているので、世間で言われていたような「18年ぶりの復活」というのはちょっと誇大広告のように思えますね。
あと、なぜか公式がぜんぜん主張してきませんが『セイバーマリオネットJ』や『リアルバウトハイスクール』といった懐かしい作品の復活もアナウンスされています。
スニーカー文庫30周年・『ザスニLEGEND』刊行
スニーカー文庫30周年としては、2011年に休刊となった雑誌『ザ・スニーカー』が、『ザ・スニーカーLEGEND』として一号かぎりの復活。『涼宮ハルヒ』シリーズの新作短編が掲載されて、こちらも話題になりました。
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- 発売日: 2018/10/31
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さらに、同じく30周年となる『ロードス島戦記』の再始動も決まっています。
『錆喰いビスコ』がこのラノで一位
今年は『りゅうおうのおしごと!』がアニメ化、作者の結婚(おめでとうございます)、将棋ライターとしても活躍と、一年を通して存在感を見せつけていましたが、その『りゅうおう』の三連覇を阻んで「このライトノベルがすごい!」で一位となったのが『錆喰いビスコ』でした。
今年デビューの新人で、独特の世界設定が特徴の痛快バディアクション。古い作品が復活するばかりではなく、新しい芽も出てきた一年だったと思います。
- 作者: 瘤久保慎司,赤岸K,mocha
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『異世界テニス無双』パクリ論争
さて、こんなにたくさん燃えたことはこれまで無かった、というくらい多発した今年の炎上を振り返っていきましょう。
今年最初の炎上はこちら。
明白にテニプリのパロディとして作られた作品が「パクリ」だと糾弾されて打ち切りになるという不幸度の高い事件でした。作者の望公太がすぐさま『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?』をヒットさせているのがせめてもの救いか。
ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?~好きになったJKは27でした~ (GA文庫)
- 作者: 望公太,ななせめるち
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如月真弘プロモツイート騒動
富士見ファンタジア文庫から『山本五十子の決断』でデビューした如月真弘が、そのプロモツイートを流そうとしたところ「性的である」と判断されて禁止された件。
どっちかというと作者のほうが炎上気質…なのはともかく、「Twitter社の詫び老人」の真偽で盛り上がったり、「乳首が浮いてる」「浮いてない」で論争があったりしました。いま思うと後の騒動の前哨戦みたいなものですね。
ちなみに『山本五十子の決断』は富士見ファンタジア文庫で打ち切りとなったあとMC☆あくしずBOOKSから続編が刊行されるそうです。
- 作者: 如月真弘,珈琲猫
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ブギーポップ炎生
アニメ『ブギーポップ』に絡んで、原作イラストレーターの緒方剛志が「キャラデザの確認が回ってきていない」とTwitterで告発したことで、炎上気味に話題となりました。
のちに問題は解決したようですが、昨年の『けものフレンズ』の件も引き合いに出されて、カドカワの「悪者」度が進行することになりました。
- 作者: 上遠野浩平
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『二度目の人生を異世界で』ヘイトスピーチ事件
アニメ化が発表された一週間後に、作者の過去のヘイトスピーチが発掘されてアニメ化は中止、作品は出荷停止となりました。
ただ、ヘイトスピーチよりもむしろ「主人公が中国人を虐殺した」といったデマ(と言っていいでしょう)が中国において流通したことで問題が大きくなったところがあり、作者に落ち度があったとは言え、こちらも不幸度が高い事件でした。
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『境界線上のホライゾン』ポリコレ問題
そして最後にして最大の炎上。
「ラノベの表紙が気持ち悪い」という問題提起から、「Vtuberが」「児童文学が」「抱き枕が」「BLが」とひたすら論点が拡散して、もはやラノベがどうこうではなく日本のネット世論を二分する泥仕合になってしまいました。ぶっちゃけ関わりたくねーなーって感じですが。
そんな中で『境界線上のホライゾン』が無事に完結を迎えたことは素直に喜ばしいですね。
GENESISシリーズ 境界線上のホライゾンXI<中> (電撃文庫)
- 作者: 川上稔,さとやす(TENKY)
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いまどきの炎上は、そもそもの常識が違うクラスタ同士が角突き合わせて「我々の常識に照らし合わせると明らかに悪い」「いや我々の常識では悪くない」ってやりあってるので、これまでの炎上に多かった「明らかにこいつは悪いけど叩きすぎだろ」とか「明らかに悪いと思って叩いていたら冤罪だった」みたいな問題とはまた違うキツさがあります。
ラノベ系Vtuberが登場
最後に明るいニュースに戻りましょう。今年の流行といえば何と言ってもVtuber。ご多分に漏れずラノベ界隈でも多数のVtuberが出てきましたが、その中で特筆すべきはやはりラノベ好きVtuber「本山らの」でしょう。
5月にデビューしてからたちまち人気者となり、いまではプロ作家とのコラボを定期的に行うまでになっています。ここまでフォロワーが増えれば本当に打ち切り判定に影響があるんじゃないかな…と思ったりしつつ、さらなる活躍を祈念する次第であります。
というわけで2018年の10大ニュースでした。今年のラノベ業界をひとことで表すなら「炎上と復活」ということで、来年はフェニックスのように羽ばたいていただきたいですね。