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2025年ライトノベル個人的ベスト10

1. 『悪役令嬢、宇宙を駆ける』

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家柄だけで地球帝国軍の提督になった少女が、異星人との戦いで大敗を喫し、左遷された先で老いさらばえ、とうとう死んだあとに何故か若い頃に生まれ変わって人生をやりなおす、という話。さらに、士官学校の演習中に戦艦がなぜか超長距離ワープして異星人とファーストコンタクト、優秀な同級生たちと協力しながら地球帰還を目指すことになる、というのが一巻の内容。スペオペ戦記としての王道的な面白さに、十五少年漂流記のようなジュブナイル風味もあり、それらを「悪役令嬢」+「やり直し」という今風のフォーマットを使って上手くまとめあげているんですよね。二巻はさらに怪しげな宗教や宇宙海賊、古代兵器など、ますますエッセンスてんこ盛り。素晴らしかったです。

2. 『退魔師転生』

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狐目で関西弁で性格が悪い退魔師の名門の御曹司。まあ『呪術廻戦』の禪院直哉なんですよ。ほぼ二次創作です。ただそれがめちゃくちゃおもしろい。フォーマットとしてはやはり悪役令嬢もの、というか悪役令息もので、転生した主人公は自らの「死亡フラグ」をなんとかしようとするのですが、しかし染み付いた性格の悪さは直らない。もともと「ノクターンノベルズ」に投稿されていたということもあってアダルトなシーンもかなり多く、それがダークヒーロー的な面白さを引き立てています。もちろん異能バトルとしても単純に出来が良い。戦闘シーンがかっこよくて痺れます。

3. 『若くして引退した銀河帝国元帥は辺境の星でオーヴァーロードと暮らしたい』

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瀬尾つかさといえば『クジラのソラ』の頃からSFには定評があったわけですが、まさに期待どおりの快作でした。表面上は「ファンタジー世界でスローライフ」といった感じなんですが、その主人公は銀河帝国の英雄であり、終盤には宇宙艦隊戦があるのはもちろん、その背景では広大な銀河帝国での政争が繰り広げられている。主人公の周囲にいるドラゴン娘やらエルフ娘やらも、しっかりしたSF的な設定に支えられているわけです。ファンタジー世界とSF世界の良いとこどりがとても美味しい作品でした。

4. 『スペースオーク』

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オークが宇宙を股にかけて戦うなろう系スペオペの第二弾。昨年のベスト10にも入れましたが、続編もやはり期待どおりの面白さで、今年はもう完全にSFラノベの年でしたね。一巻はオークの本拠地での話が中心でしたが、今回はオークのお姫様を戴いた新部隊を率いて、主人公が各地を転戦するという流れ。そのぶん新しいキャラ、更なるイベントが次々とやってくるのが楽しく、このごった煮な感じがスペオペの醍醐味ですね。

5. 『処刑大隊は死なせない』

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政治警察+暗殺部隊みたいな仕事をしている主人公たちが、貴族を粛清したり提督を暗殺したりする話。スパイものというほどハードボイルドではなく、ほどよく肩の力が抜けたアクションコメディになっています。やがて革命が成就し、帝国が崩壊するにいたって、そんな厄い職場からどうやってトンズラするかという話になっていく。2巻で完結なんですが、これがまた綺麗にオチがついていて最高でした。

6. 『フェイスレスドロップアウト

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引退した宇宙傭兵がファンタジー惑星で隠居する話。設定としては『若くして引退した銀河帝国元帥〜』と同じ系統ですが、こちらはSF戦記的な要素が無いかわりに、惑星開拓シム的な匂いが強くなっていますね。『最強宇宙船』の作者だけあって一夫多妻のハーレムなのですが、こちらのヒロインたちには「独自の生態がある原住民」感があってクセも強いです。面白かったです。

7. 『奇想怪談×天外推理』

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「天狗の神隠し」「男根を断つ妖刀」「人を狂わせる館」といった怪談の真相を、オカ研が推理していく連作短編ミステリ。作者・玩具堂の十八番である「作中作の読み解き」を活かした内容になっていて、民俗学ミステリ的なゾクゾクを味わうことができます。単に怖いだけではない、オカルトを否定するだけでもない、独特の「おかしみ」が作者の味ですね。

8. 『崩壊世界の魔法杖職人』

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現代文明の礎となる「電気」が天災によりすべて失われ、かわりに「魔法」が使えるようになった人類社会を描く、ポストアポカリプス復興もの。この作者は「こういう能力があったらどう使えるだろう」「こんな行動をしたら社会はどうなるだろう」という好奇心をくすぐるのが本当に上手い。個人が魔法を研究した成果が、社会に反映されて物語が動いていく、このスケールの広げ方、テンポの良さが魅力です。

9. 『カラフ撤退戦』

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ALL YOU NEED IS KILL』などを彷彿とさせるSFミリタリアクション。上下巻完結。ハードコアゲーマーの主人公が謎のVRゲームをプレイする。異種侵略者との戦争のなかで、ハリウッド映画の英雄のごとく活躍するにつれ、次第にその世界に没入していく。「これはリアルなのかゲームなのか」なんてどうでもいい。この絶望的な撤退戦にウジウジと考えている余裕は欠片もない。その吹っ切ったような展開が良かったですね。

10. 『斯くして彼は異能となった』

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前半は「ホラゲベースの現代ハクスラもの」、謎の廃村で悪霊を殺して食って強くなっていく話。そこから脱出した後半は「霊能系の異世界帰還もの」、芸能界やお嬢様学校の悪霊がらみの事件を解決していく話。「序盤の展開からそういう話になるとは思わなかった」という意外性があって、それは乱雑さと紙一重ではあるんですが、ある意味では独自性を感じて好きな作品です。今後の期待も込めて入れておきます。