WINDBIRD::ライトノベルブログ

ライトノベルブログ

ファンタジーにおける「聖女」の類型について

「聖女」とは何か

「聖女」と言えば、現代日本においてはキリスト教における「聖女」を指すことが多いだろう。

カトリックで「聖女」あるいは「聖人」(英語では区別なく「saint」)と認められるための条件ははっきりと決まっていて、もちろん敬虔であることは大前提だが、まず「殉教」、つまり信仰のために亡くなっていること、あるいは「奇跡」、科学では説明できない現象が起きたこと、が教会によって認定される必要がある。

殉教者であれば奇跡を一度、殉教者でなければ奇跡を二度、起こしたと認定されれば「聖人」「聖女」となれるらしい。「奇跡」なんてどうやって調べるんだ、そんなポンポンと起きるもんなのか、と思ってしまうが、たとえば、

アクティスさんは2020年、膵臓(すいぞう)に先天性疾患のあるブラジル人の子供を癒(いや)したとして、すでに福者に列せられていた。
そしてローマ教皇フランシスコは今回、アクティスさんが、頭部の外傷から脳出血を起こしていたイタリア・フィレンツェの大学生を癒したことを、第二の「奇跡」と認定した。

「神のインフルエンサー」の少年がカトリック教会の聖人に ミレニアル世代で初 - BBCニュース

といった感じで、意外に奇跡はよく起きているものらしい。

ともあれ、こうしたキリスト教的「聖女」がフィクションに登場すること自体は何の不思議でもない。

たとえば有名なジャンヌ・ダルクカトリックの「聖女」なので、ジャンヌ・ダルクが絡んでいればすべて「聖女が登場するフィクション」ということになる。あるいはFGOでもおなじみの「聖マルタのタラスク退治の伝承」などは、ある種のファンタジーと言えなくもないだろうから、それをもって「ファンタジーにおける聖女の元祖」ということもできるかもしれない。

それはそれでいいとして、私の興味は、そのキリスト教的「聖女」から逸脱した、近年のファンタジーに登場する「聖女」類型がどのように確立されてきたのか、というところにある。

女性向けなろう作品における「聖女」

「逸脱した聖女ってなんじゃらほい」という人のために、「小説家になろう」に投稿されている、「聖女」が主人公の人気作品(多くは女性向けの作風である)をいくつか見てみよう。

たとえば2016年に投稿され、「なろう」の累計ランキングでも12位につけている人気作品『聖女の魔力は万能です』の設定はこうである。

スランタニア王国では数世代に一度、国が瘴気に覆われ魔物が大量発生する時代がやって来る。これまではそのたびに、魔を祓う力を持つ「聖女」が現れ、国を救ってきた。過去一度だけ聖女が現れなかった時は、儀式により聖女を召喚した。

この作品の「聖女」は、瘴気を祓う特別な魔法を使えるから「聖女」なのであって、教会に「聖女」として認定されているわけではないし、神への信仰が奇跡を起こしているわけでもない。「聖女」を召喚するのも、聖職者ではなく魔道師である。これがつまり「キリスト教的な聖女から逸脱している」ということである。

他の人気作品も見てみよう。2019年に投稿された『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す』では、こういう設定である。

前世の私は、「大聖女」だった。聖女の中でも、飛びぬけた力を持つ者、具体的には、あらゆる傷を瞬く間に治し、欠損を補い、ほとんどの病気を快癒させる力を持つ者に与えられる尊称。私が生きていた間は、私にしか与えられなかった呼び名だ。「大聖女」としては敬われていたと思うけれど、「聖女」自体は、そもそも尊敬される職業ではなかった。なぜなら、聖女の数がとても多かったから。当時、女性の半分以上は聖女だった。攻撃魔法とは異なり、回復魔法には、精霊との契約を必要とする。そして、精霊との契約は簡単に与えられた。

主人公は、前世では精霊王の血を引く王女であり、精霊から好かれやすかったために「大聖女」となったという。前世では魔王討伐のパーティに参加し、兄弟に裏切られて死んでしまったというRPG的な要素もある。聖女たちを統括するのが教会であったりはするが、聖女である条件はあくまで「精霊と契約していて回復魔法が使えるかどうか」であるようだ。

同じく2019年投稿の『聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました』は、単純に『聖女の魔力は万能です』を踏襲したような設定になっている。

この世界は【瘴気】と呼ばれる物に覆われており、一定の濃度になると、魔物が何処からともなく出てきたり、そこに生きていた動物達を魔物化させるらしい。この瘴気により発生した魔物を、ある程度倒していれば瘴気は薄まったりするのだが、どういう訳か濃くなる時期があるようだ。その度に【聖女】または【勇者】が現れ、瘴気を浄化、魔物を殲滅させてきた。なのに、今世は一向に現れる気配がない。このままでは瘴気の影響を最も受けやすいこの国【ヴァルタール皇国】は、1番に滅んでしまうと考えた。そこで、この美少年。エギエディルス皇子は現れるのを待つのではなく、召喚という形で強制的に喚んでしまおうと、魔導師達を集い儀式を行った。

「聖女」と「勇者」が対になっているあたりもポイントである。なろうテンプレでは「聖女」が「女性版の召喚勇者」のような扱いであることも多い。

2020年投稿の『完璧すぎて可愛げがないと婚約破棄された聖女は隣国に売られる』では、

聖女は結界を張ったり、魔物たちの力を弱めたり、国を守る要のような役割を果たしていました。

と軽く説明されているだけで、「聖女とは何か」の具体的な説明がないままストーリーが進んでいく。ざっと斜め読みしたところでは、光属性の魔法を使って魔物を退治したり、結界を張って街を守ったりする、魔物対策の専門家、といったところだろうか。この「聖女」は基本的には世襲で、いちおう教会にも所属しているようだが、少なくとも主人公は聖職者という感じではない。

といったところでイメージを何となく掴めるだろうか。大雑把に要素を抽出してみると以下のような感じになる。

  • 回復魔法を使える
  • 瘴気を浄化できる
  • それらは聖女だけの特別な魔法である
  • (本来の聖女と比べると)宗教色が薄い
  • 聖女の血筋がある
  • あるいは召喚される存在である

聖女レベル

もちろん、「聖女」が登場するのは、女性向けなろう作品に限った話ではない。近年のファンタジー作品には、キリスト教的なものから、なろう的なものまで、さまざまな「聖女」が登場している。ただ、作品数が膨大だし、そもそも多岐に渡りすぎていて、そう簡単に「こっちはキリスト教ベース」「こっちは違う」と振り分けできるようなものではないだろう。

そのグラデーションを無理やり分類するために、ファンタジーにおける「聖女レベル」を考えてみた。

聖女レベル1 ごく普通の心優しく高潔な女性(修道女)が、比喩的に「聖女」と呼ばれている。ちなみにポルノではこの用法の「聖女」が頻出する。
聖女レベル2 宗教組織によって「聖女」と認定される。あくまで形式的な話であり、特別な能力を持っているかどうかは問わない。
聖女レベル3 RPG的な冒険者パーティの女性聖職者(多くは回復職)が、魔王討伐などの功績を挙げて「聖女」と称えられる。
聖女レベル4 「聖女しか使えない特殊能力」によって「聖女」という存在が規定されている。宗教や教会と関係が薄いことも多い。
聖女レベル5 レベル4のなかでも、特に聖女が「ほぼ一人しかいない」「世界の存否に関わるような存在」である。


つまり、レベルが上がるごとに「能力」が強力に、かつ特別なものになっていくイメージである。キリスト教的「聖女」のイメージがそのまま反映されているのがレベル1・2、キリスト教的「聖女」をRPG的世界観に導入したのがレベル3、キリスト教的「聖女」から逸脱した新しい類型がレベル4・5である、とも言える。

80年代・90年代ファンタジーの「聖女」

では、こういった「聖女」類型がどのように生まれて、どのように変化してきたのかを考えるために、80年代から90年代にかけてのファンタジー作品を見ていきたい。

1974年に制作されたTRPGダンジョン&ドラゴンズ』のクラス(職業)のなかに「クレリック(聖職者・僧侶)」があるが、これが「聖女レベル3」のような、RPG的世界観における聖職者のイメージの元になっているのだろう。聖職者がメイスを武器にしがちなのもD&Dの設定に由来するらしい。とはいえ『D&D』には「聖女」と呼ばれるような存在はほとんど登場しないようだ。

ただし、1989年『ドラゴンランス伝説』(D&Dの設定をもとにしたファンタジー小説)には「パラダインの聖女」と呼ばれるクリサニアという人物が登場する。敬虔なクレリックだったが悪の魔法使いに魅せられていく……といったキャラらしいが、英語の説明を見ても「聖女」らしき肩書きはないので、邦訳の際に分かりやすいキャラ付けとして「聖女」とされたのだろうか。

初期の『ドラゴンクエスト』にも「聖女」は登場していないが、1989年に放送されたアニメ『ドラゴンクエスト勇者アベル伝説)』に「赤き珠の聖女」と呼ばれるティアラというヒロインが登場する。主人公アベルが「青き珠の勇者」なので明らかに「勇者」と「聖女」が対比されている。ティアラは僧侶などではなく、伝説の竜を復活させる巫女のような立ち位置らしい。つまり「レベル4」あるいは「レベル5」に分類される聖女である。

かの『ロードス島戦記』には小ニースとフラウスという二人の「聖女」が登場する。小ニースの登場はロードス島戦記の6巻なので1991年(雑誌連載は1988年?)、フラウスは『ロードス島伝説』なので1994年(漫画版なら1991年?)に初登場か。もちろんのことロードスはD&Dの多大な影響下において成立した作品であり、小ニース・フラウスとも敬虔なクレリックとして描かれている。特にフラウスは、先述の「パラダインの聖女」クリサニアの立ち位置に似ているような気もする(ワルい男に惚れてしまった聖職者…みたいな)。『ドラゴンランス』の翻訳を担当した安田均は、『ロードス』を世に送り出したグループSNEの中心人物でもあり、そこに影響関係を見出すのは容易だろう。

1991年に刊行されたライトノベル流星香『プラパ・ゼータ』の1巻の副題はずばり「聖女の招喚」である。この「聖女」ファラ・ハンは、世界滅亡の危機に天界から召喚された神的な存在であり、「レベル5」の聖女だと言える。彼女は勇者・魔道士・竜使いの三人とパーティを組むことになるのだが、少女向け作品ということもあって、物語の主人公およびパーティの中心は、勇者ではなくあくまで聖女自身である(三蔵法師ポジションだとも言えるかもしれない)。

1991年から連載された漫画『ハーメルンのバイオリン弾き』には「聖女パンドラ」が登場する。彼女は人間と天使のハーフであり、聖なる者として魔王の封印を解くことができた。それとは別に、メインヒロインにも「回復魔法を使える女王の血筋」の設定があり、そちらも聖女っぽい扱いを受けている。この作品の主人公は「魔王と聖女のあいだに生まれた勇者」であり、RPG的な設定を土台としつつも、かなり特徴的な世界を構築している。

1992年に発売されたゲーム『ファイアーエムブレム外伝』には、各ユニットの兵科や役割を示す「クラス」というシステムがあり、そのうち「シスター」の上位職として「聖女」が用意されている。ただし「聖女」クラスは以降のシリーズに引き継がれなかったようである。ちなみに2002年の『封印の剣』には「聖女エリミーヌ」という人物が登場する。彼女は竜を倒した八人の英雄のうちの一人で、エリミーヌ教という宗教の開祖であるらしい。こちらは聖女レベル3.5くらいか。

1995年のOVA覇王大系リューナイト アデュー・レジェンドII』には「沈黙の聖女」ソフィーが登場する。彼女は神の血を引く一族で、意識を持つロボット「リュー」に命を吹き込んだり操ったりできる能力を持つという。聖女レベル4と言えるだろうか。

というわけで、綺麗な変遷が観察できたらよかったのだが、こうして初期の事例を眺めてみると、レベル4やレベル5の「聖女」はかなり唐突に登場している印象がある。キリスト教的な「聖女」が徐々に変化していったというよりも、実質的な役割としては「巫女」や「天使」や「宗教国家の女王」なのだが、そこでたまたま「聖女」というネーミングがチョイスされた、といった感じなのではないか。

設定だけ「聖女」っぽい例

逆に、「聖女」とは呼ばれていないものの、設定や役割が「聖女」っぽいキャラの例もいくつか思い浮かぶ。

1990年のアニメ『NG騎士ラムネ&40』では、主人公の勇者ラムネスを異世界に召喚するヒロインが、その姉妹と合わせて「聖なる三姉妹」と呼ばれている。この三人は一種の巫女であり、勇者を導く存在とされている。

1992年から連載された漫画『ふしぎ遊戯』では、主人公は中華風の異世界に「朱雀の巫女」として召喚される。朱雀の巫女が「七星士」を集めて神獣を召喚すればどんな願いも叶えてもらえるというが、実はそれは巫女の命と引き換えである。同年の『十二国記』や後の『エスカフローネ』などと共に「少女向けの異世界召喚ファンタジー」として影響力は大きそうだ。

乙女ゲームの名作『遙かなる時空の中で』(2000年発売)は、おそらく『ふしぎ遊戯』の影響を受けており、主人公は「龍神の神子」として和風異世界に召喚される。「龍神の神子」は怨霊を浄化する能力を持っており、なろう系の「聖女」の描かれ方に近い気もする。二次創作SSの題材としても人気だったというので、女性向けWeb小説に影響を与えた可能性は大いにある。

1993年から連載された漫画『魔法騎士レイアース』に登場するエメロード姫は「柱」と呼ばれる存在である。「柱」は世界を支えるために祈り続ける存在であり、「柱」がいなくなれば世界も崩壊してしまう。そしてエメロード姫は、世界を救うために異世界から「魔法騎士」を召喚することになる。

1996年発売のゲーム『ファイナルファンタジーVII』のエアリスは、古代種の血を引く存在であり、世界を救うために白魔法「ホーリー」を発動させようとする。のちの『ファイナルファンタジーX』に登場するユウナも「エボン教」における巫女のような存在として描かれる。

こういったキャラの肩書きが「巫女」となるか「聖女」となるか、あるいは独自の呼称になるかは、やはりコンパチブルな感じがある。

2000年代の「聖女」

2000年代に入ると、いろんなゲームに「聖女」が登場するようになる。

主だったところをいくつか挙げてみると、まず先述した2002年の『ファイアーエムブレム 封印の剣』の聖女エリミーヌ。

2002年発売の『ブレス オブ ファイアV』の聖女オルテンシアは「時間や空間を自在に操ると言われている統治者のひとり」らしい。

2002年発売の『テイルズ オブ デスティニー2』の聖女リアラや聖女エルレインは「神の御使い的な立場として生を受け、人々を幸福に導く使命をもって生まれてきた」。

2005年発売の『ドラッグオンドラグーン2』の聖女マナは「現在は封印騎士団の犠牲となっている弱き人々を救う解放者として日々を送っている。騎士団直轄区で生きる人々からは“聖女”と呼ばれ慕われている」。

2009年発売の『スターオーシャン4』の聖女イレーネは「占い師の女性だが、その力の占いという生ぬるいものではなく、神託により過去・未来など全ての時空を見通すことができる」。

2010年発売の『英雄伝説 碧の軌跡』の《鋼の聖女》アリアンロード、および《槍の聖女》リアンヌは、「250年前の獅子戦役の終結に多大な貢献を果たした"救国の聖女"」ということでジャンヌ・ダルクがモチーフっぽい。

ただ、90年代や2010年代と比べると、2000年代はファンタジーというジャンル自体が低調だった時期なので、アニメや漫画まで含めたときの代表的な聖女キャラがいたかというとあまり思い浮かばない。どのように2010年代のなろう系聖女へ繋がっていったかはミッシングリンクである。

なろう系に大きな影響を与えた『ゼロの使い魔』では、ヒロインのルイズは作中で「聖女」と崇められることになる。ルイズは始祖ブリミルの力を扱える「虚無の担い手」なのだが、「虚無の担い手」というだけでは「聖女」と呼ばれておらず、あくまで「聖女」という呼称は教会から与えられたものだった。いちおう聖女レベル2としておこう。最初に紹介したような女性向けなろう作品における「聖女」は、明らかに『ゼロ魔』的な設定ではないので、その影響は限定的だと思われる。

2010年代初頭のなろう作品

小説家になろう」において、大々的に「聖女もの」が広まったのは、『聖女の魔力は万能です』の影響が大きいのだろうが、もちろんそこが元祖だったわけではないだろう。というわけで『聖女の魔力は万能です』以前、というか「なろう系ブーム」以前となる、2010年代初頭の作品を調べてみよう。

いまも削除されずに残っている作品のなかで、総合評価が高めなのは、2011年に投稿された『裏切られた勇者のその後……』か。これは勇者として召喚された主人公が、パーティーの「聖女」に裏切られ、魔王もろとも殺されかけるという話。聖女レベル3である。この聖女は王女であり、また勇者を召喚した張本人でもあったりと、設定が盛り盛りだが、ただし作品自体は男性向けである。

「聖女」が主人公の作品としては、たとえば2010年投稿の『世界は無常に満ちている』は、主人公の友人が瘴気を浄化する「聖女」として異世界召喚され、主人公はそれに巻き込まれて召喚され、「バシレース」という聖女以上の存在になる、という話。

同じく2010年投稿の『ラダトリアの聖女異聞』は、戦争に疲弊した王が、異世界から「神子」を召喚し、王の伴侶にしようとする話。

やはり2010年投稿の『役割を終えた神の子』は、異世界から召喚された「神子」が、平和になってから王と結婚した、そのあとを描いた話。

2009年投稿の『正しい国の作り方』は、異世界に「巫女姫」として召喚され、五つの王国の王子のいずれかを伴侶として選ぶことになる、という話。乙女ゲーチック。

これらは『聖女の魔力は万能です』などの設定と繋がりを感じる。また、この頃の「聖女」や「巫女」は、現在よりも「召喚される存在」だったようで(そもそも「なろう」全体で召喚・転生が流行りはじめた時期でもある)、さらに王や王子と恋愛をするのがお約束にもなっている(がゆえに、いくつかの作品はその逆張りをしている)。

もちろん、これらの作品が、なろう系の「聖女もの」の元祖だとか、以降の作品にめちゃくちゃ影響を与えたとか、そういうわけではなさそうだ。やはり「なろう」よりもさらに以前、2000年代のあいだに女性向けのWeb小説などで「聖女」概念が育まれており、これらの作品はその影響下にあったのではないか、と思う。

まとめ

思ったよりだいぶ長くなったわりに散漫な感じがするが、調べながら結論を探っているので仕方がない。

80年代から90年代にかけてのファンタジーブームにおいて、TRPGクレリックなどから派生した「聖女」キャラは、「巫女」や「天使」などとのイメージの混同もあり、早々に多様化していったが、そのなかでも「聖女を主役にした作品」は、おそらく90年代の異世界召喚系の少女漫画から乙女ゲームなどを通じて、2000年代の創作界隈において「異世界召喚されて聖女になって王子さまとラブロマンス」的なテンプレとして発展していき、さらに2010年代になって「小説家になろう」という器を得て爆発的に拡大していった。

みたいな仮説でどうだろうか。特に2000年代以降は確証がないが。