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「ライトノベル=漫画を小説にしたもの」論

ライトノベルの特徴は、「小説文化」と「オタク文化」の境界にあって、その両方のカルチャーに食い込んでいるというところにあります。

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そのためか、ライトノベルはしばしば「漫画を小説にしたもの」と評されることがあるわけですが、これがなかなかセンシティブな話なのです。なぜなら「漫画を小説にしたもの」はだいたいネガティブな文脈で言われてきたからです。「大人の鑑賞に堪えない作品だ」「あれは『本物の小説』とは別物だよ」といったような。

かつてラノベは「字マンガ」などと呼ばれて馬鹿にされたとも聞きますが、そうした歴史もあって「漫画を小説にしたもの」という評価には、ラノベ関係者からは強い反発があったりするわけです。

ところで、「漫画を小説にしたもの」と聞くと、どんなものを思い浮かべるでしょう。「デフォルメされたキャラクターによる喜劇的で夢想的な子供向けの作品」といったようなものを思い浮かべることが多いような気がします。これはしかし、よく考えてみればおかしな話です。

現代の漫画界においては、老若男女の幅広い読者に向けて、さまざまな作品が描かれています。「デフォルメされた夢想的な作品」は当然として、社会問題をリアリスティックに扱った作品や、中高年男女の自意識を描くような作品だってまったく珍しくありません。

おそらく日本で最も多くのクリエイターが集まり、最も多様な物語が生み出されている業界です。小説で扱うような題材はたいてい漫画でも扱っている……というより「漫画で扱われていて小説では扱われていない題材」のほうが遥かに多いでしょう。

そう考えたとき、小説文化とオタク文化の中間に座す我らがライトノベルは、オタク文化、なかでも特に豊かな漫画文化を、小説に取り込むためのムーブメント」と位置づけることが可能なのではないかと思うのです。つまり「ライトノベル=漫画を小説にしたもの」という見方を積極的に肯定できるのではないかということです。

たとえば、漫画で大ヒットしているような題材が、なぜかラノベでは扱いが少ないということがあります。ライトノベルが「漫画を小説にしたもの」という前提からすると、それはつまり「漫画を小説にする」努力が足りていない、どんどん「漫画を小説にして」いきましょうよ、ということになるわけです。

あるいは、ライトノベルを「読者層」で定義するかどうかという問題があります。「メディアワークス文庫の読者層は電撃文庫とは違うからライト文芸ラノベじゃない」みたいなやつですが、これなんて漫画に置き換えれば「ヤンジャンの読者層はジャンプとは違うから青年漫画は漫画じゃない」という話になるわけですよ。そんなおかしなこと誰も言わないでしょう。

複数の異なる読者層をまるごと抱え込んでいるからこそ、漫画業界はその豊穣さを維持できるわけで、ならばそれを目指すライトノベルが、複数の異なる読者層を抱えて何の不思議があるでしょうか。

……といったわけで、「ライトノベル=漫画を小説にしたもの」論、あらためて考えてみるとそう悪くはないな、と思っている今日この頃です。よろしくお願いします。

悪役令嬢は「小説家になろう」において如何にして生まれたか?

悪役令嬢とは?

簡単に説明すると、

  • 異世界転生もの/異世界トリップものの一種である
  • 主人公が「乙女ゲームが現実化したような異世界」の「意地悪なライバルキャラ」に転生する
  • 原作ゲームでは「意地悪なライバルキャラ」は最後に没落して死亡したりする
  • なので原作どおりに進まないよう主人公が試行錯誤する

といったあたりが基本的な趣向である。

また隣接ジャンル的な感じで、

  • 主人公は王子様の許嫁だったのが「メインヒロイン」の登場で婚約を破棄される=婚約破棄
  • 最終的に主人公が幸せになる/婚約破棄した側は不幸になる=ざまぁ

といった要素も存在する。

この記事では「悪役令嬢もの」の原型としての「悪女もの」と「乙女ゲー転生」について考えてみたい。

「当事者が昔を振り返る」というよりは「よく知らないので改めて調べてみる」という記事なので、間違ったところがあれば遠慮なく突っ込んでもらいたい。

悪女ものとは?

通常は「悪女を主役とした物語」だが、「なろう」では「主人公が誤解から『悪女』として嫌われてしまう」といった、「嫌われ」や「勘違い系」の要素を含んだ類型のほうが多い気がする。紛らわしいので「勘違い悪女もの」とでも呼ぶべきかもしれない。ときには「聖女」によって王子様を奪われてしまい、聖女をいじめる「悪女」の濡れ衣を着せられて「婚約破棄」されてしまう…といった展開になる。

「なろう」内で最初に「悪役令嬢」という言葉を使ったのは、2012年2月12日投稿の『悪役令嬢後宮物語』であるが、この作品は乙女ゲームや転生とは無関係で、「悪人面の伯爵家とその令嬢が裏社会の帝王だとか冷酷な悪女だとか誤解されている」という勘違い悪女ものであった。この「悪人面なので周囲から誤解される」という設定は、のちの「悪役令嬢もの」でも定番となっている(まあ『エンジェル伝説』や『とらドラ!』なども考えればそもそも特異な設定ではないとも言える)。

悪役令嬢後宮物語 (アリアンローズ)

悪役令嬢後宮物語 (アリアンローズ)

  • 作者:涼風
  • 発売日: 2013/08/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

ちなみに、「なろう」以外で最初に「悪役令嬢」という言葉を使ったのは2009年発売の『悪役令嬢ヴィクトリア』であるらしいが、やはり乙女ゲームとは無関係である。どちらかというと森奈津子の『お嬢さま』シリーズ(意地悪お嬢様パロディの先駆けとも言えるライトノベル)との類似が指摘されているようだ。『悪役令嬢後宮物語』の作者がどこかで『ヴィクトリア』を見かけてその単語を用いた…という可能性もないではないが、とりあえずこの作品自体が後続に大きな影響を与えたというわけではないだろう。

悪役令嬢ヴィクトリア (ルルル文庫)

悪役令嬢ヴィクトリア (ルルル文庫)

閑話休題

他の人気作品で言うと、2013年7月25日投稿の『勘違いなさらないでっ!』などが挙げられるだろうか。こちらは逆に「主人公は悪女として振る舞っているつもりが周囲にはバレバレ」という話である。

勘違いなさらないでっ!  1 (アリアンローズ)

勘違いなさらないでっ! 1 (アリアンローズ)

  • 作者:上田 リサ
  • 発売日: 2014/07/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

私の知るかぎりでいちばん古いのが2010年8月31日投稿の『エルサティーナの笛吹姫』で、これは「王に嫁いだ主人公が悪女と呼ばれ、もうひとりの妃は皆から愛されていて、耐えきれなくなった主人公が宮廷から逃げ出す」という話である。前出の二作品とは違ってかなりシリアスなタイプの「勘違い悪女もの」だが、「婚約破棄」的な要素もあるのが興味深い。

女性向けの恋愛小説を扱う「ハーレクイン」では、「勘違い悪女」や「婚約破棄」といったジャンルが古くからあるらしい。

ハーレクイン人気漫画 悪女と呼ばれても 特集 | 特集 | ハーレクイン ライブラリ
遺産目当て?!誤解されたヒロイン特集 | 特集 | ハーレクイン ライブラリ
婚約破棄から始まる恋特集 | 特集 | ハーレクイン ライブラリ

私もさすがにハーレクインは詳しく語れないが、「なろう」では昔からハーレクイン的な現代ラブロマンスが地味に投稿されているので(自宅でできる趣味としてWeb小説を投稿している主婦層が多かったりするらしい)、意外に影響があるのではないかと思っている。

あるいは、ハーレクインに限らず女性向けの恋愛小説では、こうした「薄幸」「いじめ」「嫌われ」を前提としたシンデレラストーリーが普遍的に好まれるということでもあるのだろう。

乙女ゲー転生とは?

その名のとおり、乙女ゲームの世界に転生する話のことである。「悪役令嬢もの」の原型、というか悪役令嬢ものも含む大ジャンルと言うべきか。以下は「なろう」内の「乙女ゲーム」作品の年毎の投稿数である。

2009年:2作品
2010年:3作品
2011年:11作品
2012年:47作品
2013年:343作品
2014年:778作品
2015年:1,094作品
2016年:1,006作品

2012年に流行の兆しが見えはじめ、2013年から本格的流行、といったところか。

悪役令嬢ものの(「なろう」における)最大のヒット作品は、2013年7月投稿の『謙虚、堅実をモットーに生きております!』である。書籍化もされないまま一時期は累計ランキング2位まで上り詰め、この作品の人気をきっかけに悪役令嬢ものが流行したと言われている。というわけで次は『謙虚』までの「乙女ゲー転生」人気作品を並べてみよう。

初回掲載日タイトル総合評価ジャンル主人公の役柄書籍化備考
2012年2月7日ロザリアンの庭14,821pt現代ヒロインの友人
2012年7月13日結構ハードな乙女ゲーの世界31,284ptファンタジーヒロインのライバル 死亡フラグあり
2012年10月23日漆黒鴉学園25,719pt現代ヒロインの友人
2013年1月05日転生少女は自由に生きる。18,911ptファンタジー攻略対象の異母姉
2013年1月13日だから彼女はキューピッドになりたい17,954pt現代攻略対象の親友の妹
2013年3月11日乙女ゲーム世界で主人公相手にスパイをやっています16,407pt現代攻略対象の従妹
2013年6月9日ヤンデレ系乙女ゲーの世界に転生してしまったようです96,850ptファンタジーヒロインのライバル死亡フラグあり
2013年7月3日幸せな脇役17,796ptファンタジーヒロインと共に育った妹的ポジション
2013年7月21日謙虚、堅実をモットーに生きております!375,988pt現代ヒロインのライバル 乙女ゲーではなく少女漫画 / 没落フラグあり
(この表は横にスクロールできる)

まずひとつの特徴として、『謙虚』も含め「現代もの」が多いことが挙げられる。私も、この時期に「乙女ゲー転生」をいくつか読んで「現代の学園が舞台」という印象を持っていたので、数年後に「悪役令嬢もの」のブームを知ったとき、それらの大半が「ファンタジー」だったことに違和感を覚えたものだった。

実際の乙女ゲームではファンタジーと現代ものはどちらが多いのだろうか。元祖の『アンジェリーク』はファンタジーで、そのフォロワーもかなり出ていたと思うけど、2000年代に入ってからは現代もの・学園もののほうが多いイメージがある(あくまでイメージで語っています)。

まあいいや。

さらに、主人公が「脇役」志向であるという点も特徴である。ほとんどが「乙女ゲームの主人公」ではなく「主人公の友達」や「攻略キャラの家族」が主人公となっているのである。「乙女ゲームの主人公」や「召喚された聖女」の物語から、やがてパロディ的に「脇役」「悪女」の物語へとスライドしていくあたり、「二次創作」の空気を引き継いでいるような感じがする。

これは「乙女ゲー転生」に限ったことではなく、「外れスキルを引いてゲーム攻略から脱落する(が実は有用なスキルだった)」とか、「争いを嫌って辺境でのんびり暮らす(が結局争いに巻き込まれる)」といった「主役になるのを避ける」話は、「なろう」全体で人気がある。直近の流行である「追放もの」もその一種と言えるだろう。

一時は猛威を奮った「勇者召喚もの」でも、友人や兄弟が勇者に選ばれて自分は脇役に回る、というタイプの類型があった。たとえば2010年6月13日投稿の『義妹が勇者になりました。』などがある。

義妹が勇者になりました。 (アリアンローズ)

義妹が勇者になりました。 (アリアンローズ)

  • 作者:縞白
  • 発売日: 2013/07/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

こちらの記事によると、2011年2月18日投稿の『脇役の分際』や、削除済みだが2011年10月17日投稿の『ジュディハピ!』なども大きな影響を残したらしい。

脇役の分際 (フェザー文庫)

脇役の分際 (フェザー文庫)

  • 作者:猫田 蘭
  • 発売日: 2011/11/10
  • メディア: 文庫

ジュディハピ!

ジュディハピ!

『謙虚』以前から「死亡フラグを回避する」という趣向が取り入れられていたことも興味深い。特に「ヒロインのライバル」に転生して「死亡フラグを回避する」という条件を満たした作品として、『結構ハードな乙女ゲーの世界』→『ヤンデレ系乙女ゲーの世界に転生してしまったようです』→『謙虚、堅実をモットーに生きております!』という流れが見てとれる。これを「悪役令嬢」の本流と見るべきだろう。

ただし、この段階では「悪役令嬢」概念はまだエクスキューズ抜きで使えるほどではなかったのか、代わりに「やたらキャラの死亡率が高い高難易度ゲー」「ヤンデレばっかりでキャラがすぐ刺される怪作」みたいな概念が(微妙に)広まっていたりした。「実際の乙女ゲームに悪役令嬢なんて登場しない」とは言われがちだが、「キャラがよく死ぬ乙女ゲーム」はけっこう実在するらしい。

ヤンデレゲー」で「主人公に死亡ルートがある」という設定では、2011年2月3日投稿の『Dear 狂愛』がおそらく「なろう」では最古だと思われる(もちろんそれより古い作品が削除されている可能性もある)。が、やはり、この作品が始祖というわけでもないのだろう。

既に知られているとおり、いわゆる「なろうテンプレ」は(女性向けの夢小説も含む)二次創作SSの影響を強く受けているし、さらに2000年代には個人サイトでも「異世界トリップもの」が盛んに書かれており、そうした書き手が「なろう」に流れ込んでいたと思われる。ただし、そうした2000年代の動向は「検索避け」「ホームページサービスの終了」「投稿日時の不明」「歴史を語っている人が少ない」などによって、とにかく把握しづらかったりする。ぶっちゃけよくわからんのである。

「悪役令嬢」は如何にして生まれたか?

ここまで悪役令嬢の「なろう」における源流とも言うべき二つの流れを説明してみたが、いずれにしても「なろう」のなかでゼロから生み出されたわけではないことが分かる。

  • 童話に登場する「意地悪な継母」
  • 史実のマリー・アントワネット(悪女とみなされて処刑される)
  • 少女漫画などで定番の「高飛車なお嬢様」
  • ハーレクインなどにも見られる「勘違い悪女」や「婚約破棄」
  • 乙女ゲームを題材にした「二次創作小説」
  • 夢小説などで流行した「嫌われ

といった要素が間接的に、あるいは直接的に「なろう」に注ぎ込み、組み合わされて、現在の「悪役令嬢」テンプレが生まれたのであろう。

「なろう」で悪役令嬢ものを含む乙女ゲームものが急増したのが2013年頃、「悪役令嬢」という呼称が定着したのは2015年頃となる。

おまけ

つまり「悪役令嬢もの」はけっこう古くからある流行なのだが、悪役令嬢ものの一つがようやくアニメ化されて「悪役令嬢もの」というジャンルの認知が進んだのが今年なので、『謙虚』から数えてもざっと七年くらいのタイムラグがあるわけだ。書籍化→漫画化→アニメ化と経由するうちにやたら時間が経ってしまうのは「なろう」あるあるである。

これは個人的な考えなのだが、悪役令嬢ものは書籍化ではなくコミカライズから一般的な人気が出てきた感じがする。悪役令嬢ではないが女性人気の高い『薬屋のひとりごと』もそんな感じ。女性向けのなろう作品がコミカライズ経由で売れるようになった。そうして他のなろう系と比べてワンテンポ遅れたぶん、特にタイムラグが大きくなったのではないだろうか。

なろう作品はこのあたりの時系列認識が狂いがちなので気をつけたいね。

「好きラノ 2020年上期」投票

『楽園ノイズ』杉井光

楽園ノイズ (電撃文庫)

楽園ノイズ (電撃文庫)

自作曲を動画サイトにアップするときに女装で釣ってみたら思った以上に再生数が伸びてズルズルと女装をやめられなくなったというなかなか業の深い主人公が、それぞれに問題を抱えつつも音楽の才能に溢れる少女たちと出会い、あることをきっかけにバンドを結成して最後にライブ、というシンプルな構成。
ヘタレだけど才能があってやたらモテる主人公。音楽を彩るエモエモな文章に大量のウンチク。まさに素晴らしく濃厚で最高の杉井だ。バンドメンバーたちはどの子もクセがあって可愛いけどメインヒロインは華園先生で間違いないでしょう。ひとつだけ言うなら、最後のライブでは女装してほしかったな!

【20上ラノベ投票/9784049131574】

『こわれたせかいの むこうがわ』陸道烈夏

いわゆるコージー・カタストロフみたいな感じかと思ったらばりばりに危険を冒しての国外脱出譚でしたね。統制国家の最貧困層の少女が、ふと手に入れたラジオを聴いて学問を学び、その知識を活かして商売を始め、そして出会った人造人間の少女と共に、存在するかもわからぬ他国への亡命を目指すという。
主人公の賢さと幼さ、絶望と孤独にまみれても生き抜く強さと、ひとつずつ増えていく大切なものを抱える弱さにグッときますし、そのひとつのクライマックスである主人公の手紙が届くシーンがもうほんと最高なんですよね。人物描写や世界設定がしっかりしていて地力の高さを感じます。面白かったですね。
「ひとつ海のパラスアテナ」「ヒトの時代は終わったけれど、それでもお腹は減りますか?」「こわれたせかいの むこうがわ」を三大ポスカリ百合ラノベとして崇め奉っていこう。

【20上ラノベ投票/9784049130157】

『探偵くんと鋭い山田さん』玩具堂

玩具堂ひさびさの「日常の謎」ミステリ、いやあ最高だったな。探偵の息子/いじられ/人畜無害タイプな主人公、天才/気まぐれ/人懐こいタイプな双子の姉・雨恵、秀才/堅物/人見知りタイプな妹・雪音――の三人が、クラスメイトから依頼されるちょっとした謎を三人でわいわい話し合って解決する話。
「丸く収める」方向に推理が働くのでとにかく平和度が高いっすね。そして三角関係ラブコメとしても非常にレベルが高い。個人的には第一話時点で雪音さんのポテンシャルの高さを直感しましたが…姉妹で取り合ってボロボロになったぬいぐるみが示唆する主人公の未来、是非とも続きを読みたいですね!

【20上ラノベ投票/9784040646619】

『継母の連れ子が元カノだった』紙城境介

っかーっ、今回も最高だったな。夏休み、父方の実家に帰省するということで、連れ子である結女さんにはアウェーな場所に乗り込んでいったところ、水斗くんと仲良さげな親戚のお姉さんに遭遇…ということで、水斗くんの生い立ちというか、アイデンティティ形成の歴史を掘り下げつつ、それを結女視点で描くことで、結女自身のターニングポイントを描くことになっている。もう甘酸っぱ切な尊い描写が満載で、読んでるだけで悶え死にしてしまう。サブキャラたちの恋模様もさらっと描かれて、それがまた単体でも破壊力抜群なんだよな。竹真くん視点の短編とかも読みたいです。

【20上ラノベ投票/9784041091647】

りゅうおうのおしごと!白鳥士郎

いや本当に面白いな。天ちゃん好きの俺が、天ちゃんカッケー!なあのシーンのことを、読み終わった瞬間は完全に忘れていたくらい。というわけで、ヒロインたちの盤外戦と、八一のタイトル挑戦と、三段リーグ決着までの話。姉弟子、鏡洲さん、椚、辛子さんの四つ巴。勝ってプロになれるのは二人。
どの組み合わせもありそうなんだよなこれ。人間性ガリガリ削り捨てて足掻きまくる奨励会員たちが描かれるのを見ると「こいつは勝つでしょ」という予定調和の匂いが消えていくというか。個人的にいちばん響いたのは意外にも(?)椚創多くんで。わざとらしいくらい悪役に振った藤井聡太パロディだと思ってたのに、最後のシーンがめちゃくちゃ心に刺さってしまった。ここまで良いキャラに化けるとは。もちろん姉弟子も本当にね、素晴らしかったですね(見開きはめがイラストにしとけ〜と思ったが)。

【20上ラノベ投票/9784815605339】

『犬と勇者は飾らない』あまなっとう

異世界に召喚された勇者が現世に戻ってきて無職として世知辛い生活を送っていたところ妖魔との戦いに巻き込まれてしまうという現代ファンタジー。というかフォーマットとしては異能バトル。しかも異能の存在が世間から隠されているタイプの異能バトルだ。やったぜ。文章があまりこなれてないのと、他作品のパロディを遠慮なく突っ込んでくるあたりが好みの分かれそうなところだけど、単純明快で突き抜けたストーリーと、その裏に張り巡らせてそうな設定の数々、そして主人公周りの三角関係は実にキャッチー。まだまだ一巻だけでは世界観を出し切ってないぞ!という感じ。これは楽しく読めるなあ。

【20上ラノベ投票/9784865546101】

『亡びの国の征服者』不手折家

これは面白い。何の目標もなく虚無った人生を送ってきた主人公が、異世界の裕福な牧場の息子に転生して、前世には無かった親からの愛情を受けて育ち、実家のお家騒動に巻き込まれたりしつつ、騎士学校に入るところまでを、細かな世界設定も含めてとにかくじっくり丁寧に描いていくという、このスローペース・ロングスパンっぷりはまさにWeb小説の醍醐味ですよ。なにせ一巻の段階では「亡びの国」も「征服者」も「魔王」も何を意味するのか分からんという。これは好きなタイプの転生ものですね。魔法要素がないので、いわゆる知識チート寄りなんですが、いまのところドラスティックに社会を変えていくわけでもなく。本当にまだ本題に入ってない感じがするんですが、しかし現時点で相当に面白いんですよね。将来的には戦記ものっぽくなっていくのかな。楽しみですな。

【20上ラノベ投票/9784865546477】

『ダイブ・イントゥ・ゲームズ』佐嘉二一

いろんな架空のフルダイブVRゲームを扱ったプレイ日記的な連作短編集。コンセプトは「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」と「僕と彼女のゲーム戦争」を混ぜ合わせたような感じか。熱心なゲーマーであると同時に極端な非コミュの男子大学生が、海洋生物シミュレータ、ロボット操縦アクション、モンハンなどといったVRゲームを、ひたすらソロプレイで踏破していくなかで、わずかながら友達ができていくという。ひとつひとつのゲームとそのエピソードはさらっと描かれて、むしろ想像を掻き立てられるのがいいっすね。様々な料理の美味しいところだけを摘み食いするようで、とても楽しい作品でした。

【20上ラノベ投票/9784065199770】

『帝都異世界レジスタンス』遠藤浅蜊

帝都異世界レジスタンス

帝都異世界レジスタンス

最高に面白かったですね。『魔法少女育成計画』の作者で、DeNAによるゲーム化前提の企画らしいですが、もちろん単体で読んでもまったく問題ありません。舞台は大正、しかもエルフやオークが闊歩する日本。主人公は華族の令嬢にしてハーフエルフの少女。いきなり「刃牙」になるプロローグで笑う。
まずは女学生たちの冒険ジュブナイルといった趣きで、そこに「はむすぴあ」と呼ばれる謎のアイテムとそれにまつわる政治的陰謀、そして「異世界」でのサバイバルが加わる、といったところ。設定だけ見れば完全に「よくばりセット」なんですが、詰め込みすぎという印象がないのは作者の巧さでしょう。
いろんな異世界(?)に転移して冒険しながら、それが現実世界の謎へとつながっていく。主人公がお転婆どころではなく、グリフォン素手でぶっ殺すような戦闘民族なので、まずそこが最高に楽しいし、その仲間たちも見るからに胡散臭い連中ばかりなのが素晴らしい。間違いなく2020年ベスト級ですね。

【20上ラノベ投票/9784299001931】

『さよならの言い方なんて知らない。』河野裕

『ウォーター&ビスケットのテーマ』が新潮文庫nexに移ったもので、とりあえず移籍前の二巻からちゃんと話が繋がっているので、こちらの一・二巻を書い直す必要はない。でもタイトルは『ウォーター&ビスケットのテーマ』のほうが断然にかっけーよな。この作品を売り切れなかった靴は猛省すべきだよ。
そしてやはり最高の能力バトル。最大のチームと二番目のチームが手を組んで最強のプレイヤーと戦う。最強の彼を追いつめてついに詰ませた状態からさらに主人公が盤面をひっくり返すまでノータイムで鬼手が指され続ける感覚。一気に読まされる。続きが楽しみ。nexでちゃんとラストまでやってくれ。

【20上ラノベ投票/9784101801780】

『日和ちゃんのお願いは絶対』はセカイ系なのか?

去る5月9日、電撃文庫から『日和ちゃんのお願いは絶対』というライトノベルが発売されました。

この作品がにわかに注目を集めた理由のひとつに、作者から「セカイ系」との宣言がなされたことが挙げられます。

セカイ系

もちろん、このバズワードにロクな定義がないことは知っています。

私の「セカイ系」と、作者の「セカイ系」が重なっていないのは当然ですし、どちらかの「セカイ系」が否定される謂れもありません。

それはそれとして、「これはセカイ系ではない!」とか騒いでいるほうがセカイ系論壇っぽいと思ったので、私の考えを書いておきたいと思います。

以下、作品のネタバレもありますので、セカイ系というだけで興味をそそられた方は記事を読まず、すぐに作品を購入して読んでください。

日和ちゃんのお願いは絶対 (電撃文庫)

日和ちゃんのお願いは絶対 (電撃文庫)

  • 作者:岬 鷺宮
  • 発売日: 2020/05/09
  • メディア: 文庫

セカイ系の定義

最初に、こちら側の定義を明らかにするため、原典にあたりたいと思います。

●「セカイ系」のまとめ
・ぷるにえが一人で勝手に使ってる言葉で、大した意味はない。
エヴァっぽい(=一人語りの激しい)作品に対して、わずかな揶揄を込めつつ用いる
・これらの作品は特徴として、たかだか語り手自身の了見を「世界」という誇大な言葉で表したがる傾向があり、そこから「セカイ系」という名称になった

「セカイ系」関連の記述

成長して自立するのって、要はひとりぼっちになるってことなんだよなあ。「自分探し」のセカイ系に堕したりしない本物の話力(わりょく。画力に相当する言葉)に感服ですわ。あーすごい! すごい! すごすぎです!

「セカイ系」関連の記述

まずもって「一人語り」「自分探し」といったあたりがコアイメージですよね。

他にいくつか挙げられている作品も、いまの感覚ではセカイ系とはちょっと違う。

ここでのセカイ系は、主人公の内面の語り、その幼稚とも見える心情描写を重視するものであって、「世界の危機」といった道具立てを指し示すものではありません。

しかし、「思春期の自意識」を描くというだけでは散漫にすぎ、該当する作品が多すぎるので、定義の発散を防ぐための「枠」が求められました。

そこで登場するのがいわゆる「三大セカイ系」です。

最終兵器彼女』『ほしのこえ』『イリヤの空、UFOの夏』の三大セカイ系から、「世界の危機」「社会の省略」といった枠組みが抽出され、「思春期の自意識」と「世界の危機」を組み合わせた新たな「セカイ系」定義が生まれた、どころか、やがてその「枠組み」だけでセカイ系と見なされるようになっていきました。

このあたりまで書いてから「いちおう目を通しておかないとな」と思って前島賢セカイ系とは何か』を読んだんですけど、だいたい似たようなことが書かれていたので満足しました。

セカイ系とは何か (星海社文庫)

セカイ系とは何か (星海社文庫)

  • 作者:前島 賢
  • 発売日: 2014/04/11
  • メディア: 文庫

さて私としては、「思春期の自意識」と「世界の危機」とを組み合わせたものがセカイ系である、と考えつつも、あくまで「思春期の自意識」がメインディッシュであって、「世界の危機」はスパイスにすぎない、と思っています。

親への反発、大人への反抗、将来への不安、恋愛に対する視野狭窄、狭い教室が自分の世界のすべてであるような感覚、そういった思春期的な心理を思い切り強調してやるために、対比的に大げさで非現実的な世界設定を持ってくる。これが「セカイ系」ではないかと。

この定義では、セカイ系は極めて狭い範囲に限定されます。というか、ごく短期間に「セカイ系語り」が流行っただけで、作品としてのブームなんてものは存在しなかったと思っています。

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川文庫)

  • 作者:谷川 流
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫

たとえば『ハルヒ』もセカイ系ではありません。『ハルヒ』は思春期の鬱屈を乗り越えてまだ見ぬ非日常を探しにいくアクティブオタクの物語であり、心情描写どころかペラペラと韜晦を繰り返すだけの主人公の物語であり、そこには思春期のまま悩んでいるような青臭さが決定的に欠けているのです(念の為に言うと『ハルヒ』は私の中でオールタイムベスト3には入る思い出深い作品です)。

といったところを私の側の「セカイ系」定義として、『日和ちゃんのお願いは絶対』がどういう作品かを紹介していきます。ネタバレありです。

『日和ちゃんのお願いは絶対』とセカイ系の相違

『日和ちゃん』は、「絶対にお願いを聞かせられる」という超能力を持ったヒロインと、その彼女に告白されて付き合い始めた主人公を描いた物語です。

やがて主人公は、ヒロインが「天命評議会」なる組織を密かに作り、自らの超能力を活かして世界中の問題や紛争を解決していることを知るのです。

作者によると、特に『最終兵器彼女』から影響を受けているようで、確かに朴訥な交際風景など、序盤の雰囲気はよく似ているように思います。

ただ、この能力周りの設定ってモロに『DEATH NOTE』『コードギアス』の系譜じゃないですか。

子供らしい善意によって腐った世界を変革しようとするテロリストの話なんですよ。

デスノ』や『ギアス』をセカイ系に分類する人もいるみたいですけど、もちろん私はその考えには与しませんし、どちらかと言えば、あまり使いたくない言葉ですが「サヴァイブ系」の代表格ですよね。

ヒロインの秘密が明らかになっても、いまのところ主人公は「ヒロインを手伝いたい」と思うくらいで葛藤や苦悩というほどの感情は描かれませんし、ヒロインの周囲の大人たちはヒロインを崇拝していて、むしろ彼女の邪魔をしないように努めていたりします。つまり、どうも思春期的な要素が薄いように思えるんですよ。

そもそも、作者・岬鷺宮の作風からして、切ない恋愛を扱っていてもあまりネチっこい心理描写はせず、サラッと描いてみせるのが得意な方だと思いますし(とは言いつつも、すみません、あまり数を読んでいないので見当外れの可能性もあります)。

三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

  • 作者:岬 鷺宮
  • 発売日: 2018/05/10
  • メディア: 文庫

というわけで『日和ちゃん』は、「思春期の自意識」よりも「世界の危機」を描くことに寄った作品であり、しかも「世界」の描き方がセカイ系からはズレているので、セカイ系とは思えない、というのが個人的な見解となります。

最初に言ったとおり、これは作品批判ではありませんし、何かしら反論を受けても「ぼくはこう思うんだ」「きみはそう思うんだね」で終わってしまうような話でもあると思います。

ただ激しく熱いセカイ系語りは読んでみたいんですよね。

『日和ちゃん』の感想を検索してみても、「セカイ系って読んだことなかったけどこういうのがセカイ系なんだ!」とか「セカイ系の定義については明言を避けますがこの作品はセカイ系だと思います!」みたいな感想が多くて…。

いまだからこそセカイ系!について語りませんか!

電子書籍に移行したいラノベ読者のためのBOOK☆WALKER講座

ラノベ読みが使うべき電子書籍サービスといえば?

そう、BOOK☆WALKERですね。

は? Kindle???
クソAmazonなぞを使おうと言うのかね?

ラノベ業界はカドカワ帝国の支配下にあるんだよチミィ。
我々はカドカワ様のもとで楽しい御本を読ませてもらっているんだ。
電子書籍カドカワ様直営のBOOK☆WALKERに決まっているだろう?

というわけでBOOK☆WALKERのさまざまな使い方について解説していきたいと思います。

BOOK☆WALKERから金はもらっていません! ほんとだよ!

iOSアプリからは買うな!

これが最も重要な点です。

BOOK☆WALKERアプリの下部メニューには「ストア」という項目があって、そこから書籍を購入できるのですが、赤線で囲ったところを見ていただければ(字が小さいですが)わかるとおり、アプリ内ストアのほうがちょっと高いんですね。

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これはApple税というやつで「アプリ内でコンテンツを購入したらその価格の何割かをAppleに支払わねばならない」という決まりがあるんです。しかも「ブラウザで買えば安くなるよ!」と宣伝するのも禁止されているという。なんという独裁政治。

その他にもさまざまな違いがあるらしいです。

iOSアプリのストアとWebストアの違いはなんですか? | BOOK☆WALKER

というわけで電子書籍を買うときはウェブブラウザから購入しましょう。

あ、Androidでは関係ない(はず)です。

著者やレーベルをフォローしろ!

電子書籍は、いちど買ったシリーズの新刊を通知してくれたりするのが便利なんですが、さらに能動的に新刊チェックをするために「著者やレーベルをフォローする」という機能があります。

フォローすると、その著者やレーベルの新刊が発売されたときに「お知らせ」ページで通知してくれるのです(PC版なら「メッセージ」ページ。画面右上のメニューの「お知らせ」ボタンから行ける)。

こんな感じです。

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ちなみに表紙の右下についている✅ マークは「チェックリストに入れる」ボタンです。購入しようかどうか迷ってる作品とかをリストに入れておく機能です。画面右上のメニューの「Check」というボタンで一覧を見れます。

私は主だったラノベレーベルをすべてフォローしているので、ほとんどお知らせページしか見ていません。ずらっと並んだ新刊をざっと眺めてピンときた作品をどんどんチェックリストに入れていくだけです。お知らせページ上ではあらすじを確認できないのが難点ですが(何とかしろよBOOK☆WALKER)。

ともあれ未入荷も品切れもないのが電子書籍のいいところ。フォロー機能を駆使することで買い漏らしはぐっと減ることでしょう。

さて、そのフォローのやり方ですが、個別の作品ページを下の方にスクロールしていくと、以下のようにボタンが並んでいると思います。

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これをクリックすることで、その作品の著者、あるいはその作品の属するレーベルをフォローすることができます。

著者やレーベルで絞り込んだときの検索結果画面にも、いちばん下のほうに「フォローする」ボタンが設置してあります。

気軽にどんどんフォローしていきましょう。

予約購入を使え!

お知らせページでは「新刊配信日が決まって予約購入できるようになった」ことも通知してくれます。

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予約購入とはその名のとおり「発売前の作品を予約しておくと発売日に自動で購入してくれる」機能です。

「シリーズ予約」や「予約」とは何ですか? | BOOK☆WALKER

書籍に対するアクションを簡単にまとめると、

チェック:気になる作品をとりあえずリストに放り込んでおく。
カート:購入を決めた作品を入れておく。カート内の作品をまとめ買いできる。
今すぐ購入:その作品の購入画面へすぐさま飛ぶ。まとめ買いはできない。
予約:発売前の作品に対して行う。発売日になると自動で購入される。

といった感じですね。

後述しますが、予約購入は実質的な割引も受けられてお得です。

フォロー機能を使っていれば、基本的に「予約開始のお知らせ」で新刊チェックを行うことになるので、購入が決まっている作品ならその時点で予約購入しておくとよいでしょう。

コインを貯めろ!

BOOK☆WALKERの独自ポイントみたいなものですね。

コインを貯めると書籍購入のときにお金代わりに使えます。

BOOK☆WALKERコインについて | 電子書籍ストア-BOOK☆WALKER

BOOK WALKERでは「書籍自体の値段が下がるセール」と「コインが普段より多くもらえるキャンペーン」があるので、安く買いたい人はそうしたセール情報に目を光らせておきましょう。

「チェックリストのなかでセール中の作品」とか「チェックリストのなかでコインアップキャンペーン中の作品」とかを見ることができるので、やはり気になる作品はどんどんチェックリストに放り込んでいきましょう。

また予約購入をするとコインが多くもらえます。発売前から人気を推し量れるので出版社にもメリットがあるのでしょう。わざわざセール待つのは面倒くさいよという人は、どんどん予約購入を使っていきましょう(ちなみに私はこのタイプです)。

その他の便利な機能!

まる読み10分

「小説・ライトノベル10分読み放題「まる読み10分」」 | 電子書籍ストア-BOOK☆WALKER

まる読み10分に対応している作品限定ですが一日10分まで全ページを試し読みできます。

何十日間かけて一冊を読破する…みたいなことも出来てしまいますがセコいのでやめましょう。

全文検索

書籍検索結果一覧 | BOOK☆WALKER

BOOK☆WALKERで取り扱っている書籍すべてを全文検索できます。

ちなみに自分が購入した作品に限定して全文検索することもできます。
書籍検索結果一覧 | BOOK☆WALKER

再登場したキャラが誰だったか覚えていないとき、うろ覚えのセリフを探したいときなどに便利ですね。

未購入の書籍も検索できるので「この言葉ってどのくらい使われてるんだろう?」といった用例検索としても使えます。超便利。

ギフト購入

「ギフトとして購入」すると他人に電子書籍をプレゼントすることができます。

ギフトコードをメールで送るだけなので相手の本名や住所を知る必要はありません。

ネット上のプレゼント企画などでも使えるのではないでしょうか。

めがイラスト

めがイラスト | 電子書籍ストア-BOOK☆WALKER

見開きのイラストをデフォルトで拡大して表示してくれる機能です。

リンク先にあるとおり、めがイラストに対応していなければ見開きのイラストは半分に縮小されてしまい、わざわざダブルタップしないと拡大できません。

というわけでラノベではとても嬉しい機能なのですが、残念ながらKADOKAWAのレーベルですら対応してないところがあったりします。

電撃文庫! おまえのことだよ!! はよ対応しろ!!!

本棚機能

Kindleには無いらしいので一応。

BOOK☆WALKERのアプリでは複数の本棚を作って作品を並べられます。

私は基本的に「未読の本」だけを本棚に並べていて、それ以外は「未整理(=どの本棚にも入っていない状態)」にしています。

棚の分類は「直近で読むつもりの本」棚とか「積読」棚とか「マンガ」棚とかですね。

とはいえ、機能としてよくできているかと言うと首を捻ります。

特に不満なのは、最近の大画面化するスマホに対応できず、本棚の上下に広大な隙間ができていることです。ダサすぎる。

他のサービスみたいに背表紙で並べるのもできないし…とにかくアップデートが少ない。古い作りのままやってきて限界を迎えている感じですね。

本棚連携

他店との「本棚連携」機能について | BOOK☆WALKER

他の電子書籍サービスで購入したKADOKAWAの書籍をBOOK☆WALKERでも読めるという機能です。

とはいえ現在のところ「BookLive!」と「ブックパス」にしか対応していません。

いまBookLive!を使っている人ならBOOK☆WALKERへの移行がしやすいということですね。

こういう仕組みがもっと他の電子書籍サービスにも広がると「サービス終了して電子書籍が読めなくなる」みたいな問題も解決するんですけど…。

ラノベ読み放題

角川文庫・ラノベ 読み放題|1万冊以上のライトノベル・角川文庫が月額760円(税抜)から読み放題!電子書籍ならBOOK☆WALKER

私は加入していませんが、古い作品を中心にかなりの数が読めるようです。

人気シリーズについては、1巻だけ読み放題で2巻以降は購入してください、みたいな感じが多いらしいですね。

もちろん無料ではなく月額760円が別にかかります。

マンガ雑誌読み放題

bookwalker.jp

このあいだまでマガジンWALKERという雑誌読み放題サービスがあったのですが、そちらが終わってBOOK☆WALKER内であらためて開始されたものです。

KADOKAWAの「少年エース」や「電撃大王」「週刊ファミ通」といった雑誌だけでなく、他社の「ヤングキングアワーズ」「コミックバンチ」「月刊アクション」「まんがタイムきらら」などもラインナップに入っているのが特徴です。

こちらも月額760円です。

他にマンガ雑誌読み放題サービスと言うと、講談社マンガ雑誌をほぼ全て読める「コミックDAYS」(月額960円)がありますね。個人的には、雑誌のラインナップに限ればBOOK☆WALKERが上、サービスの使いやすさとしてはコミックDAYSが上、という印象ですね(KADOKAWAはそういうところほんとセンスがない)。

まとめ

というわけで、いろいろ文句も言ってますが、私はBOOK☆WALKERというサービスに愛着を持ってますし、ラノベ読者向けの施策をよく打ってくれるのも事実です。

ラノベ読みならBOOK☆WALKER!」ということは間違いないので、みんなもBOOK☆WALKERを使って、そして一緒に文句を言っていきましょう!

BOOK☆WALKERのお問い合わせはこちら! わりと真面目に回答してくれる印象です!

お問い合わせ・リクエスト受付│電子書籍ストア - BOOK☆WALKER

ライトノベル「完結」年表

最近「2020年はいろんな作品が完結して時代の節目のような年になるかも」的な言説を耳にしまして、確かにいろんな作品の完結が重なるタイミングってあるよなあと思ったので、主だったラノベを「完結年」に合わせて並べてみました。

基準としては「テレビアニメ化されている」かつ「10巻以上刊行された」かつ「完結している」ラノベです。

また、巻数は「本編のみ」、つまり短編集や番外編的なものを含まない数字になっています。いったん完結したあと十年後に復活、みたいなパターンをどう考えるかということで、とりあえず読者が「完結した!」と思うタイミングを狙ってみています。とはいえ、「本編かどうか」は機械的に分類できるものでもないので、あくまで参考程度のものということでお願いします。

完結年 タイトル巻数 備考
1999年
(1)
SMガールズ セイバーマリオネットJ12巻
2000年
(1)
スレイヤーズ15巻長編シリーズは15巻で一区切り、2018年から復活。
2001年
(0)
2002年
(1)
魔術士オーフェン20巻 2011年から新シリーズ開始、2014年に完結。
2003年
(1)
スクラップド・プリンセス13巻
2004年
(1)
炎の蜃気楼40巻
2005年
(0)
2006年
(0)
2007年
(3)
いぬかみっ!14巻
護くんに女神の祝福を!12巻
刀語12巻十二ヶ月連続刊行企画。
2008年
(4)
マリア様がみてる35巻
陰からマモル!12巻続編「もっと!陰からマモル!」を2009に開始。
ご愁傷さま二ノ宮くん10巻
吉永さん家のガーゴイル15巻
2009年
(5)
はっぴぃセブン21巻第四部までの数字。
しにがみのバラッド。12巻
BLACK BLOOD BROTHERS11巻
とらドラ!10巻
アスラクライン13巻
2010年
(5)
フルメタル・パニック!12巻スピンオフ「フルメタル・パニック!アナザー」を2011年から開始。
召喚教師リアルバウトハイスクール19巻続編「真・リアルバウトハイスクールXX」を2019年から開始。
けんぷファー12巻
戦う司書シリーズ10巻
とある魔術の禁書目録22巻シリーズとしては「新約」「創約」と続く。
2011年
(7)
灼眼のシャナ22巻
彩雲国物語18巻
狼と香辛料 16巻本編は16巻で一区切り。続編「Spring Log」を2016年から開始。
狂乱家族日記15巻
オオカミさんシリーズ12巻
GOSICK10巻 続編として「グレイウルフ探偵社編」を2013年から開始。
ドラゴンクライシス!13巻
2012年
(7)
魔法戦士リウイ20巻サードシーズンまでの数字。
乃木坂春香の秘密16巻続編「乃木坂明日夏の秘密」を2018年から開始。
生徒会の一存10巻
れでぃ×ばと!13巻
迷い猫オーバーラン!12巻
まよチキ! 12巻
R-1511巻
2013年
(13)
それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ12巻富士見Fのシリーズは2000年で刊行停止、2010年から朝日ノベルズで「完全版」を刊行して完結。
レンタルマギカ23巻
一つの大陸の物語19巻「アリソン」「リリアとトレイズ」「メグとセロン」の総称。
伯爵と妖精25巻
鋼殻のレギオス25巻
聖剣の刀鍛冶15巻
バカとテストと召喚獣12巻
俺の妹がこんなに可愛いわけがない12巻「あやせif」を2019年に開始。
いつか天魔の黒ウサギ13巻
C3 -シーキューブ-17巻
この中に1人、妹がいる!10巻
だから僕は、Hができない。11巻
さくら荘のペットな彼女10巻
2014年
(9)
ムシウタ15巻
デュラララ!!13巻続編「デュラララ!!SH」を2014に開始。
いちばんうしろの大魔王13巻
百花繚乱 SAMURAI GIRLS16巻
這いよれ!ニャル子さん12巻
ベン・トー12巻
ミニスカ宇宙海賊14巻続編「超ミニスカ宇宙海賊」を2019年に開始。
犬とハサミは使いよう10巻
勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。10巻
2015年
(11)
まぶらほ22巻短編で計算。長編は2006年に4巻で完結。
あそびにいくヨ!20巻
これはゾンビですか?18巻
ロウきゅーぶ!15巻
僕は友達が少ない11巻
パパのいうことを聞きなさい!18巻
問題児たちが異世界から来るそうですよ?11巻第二部「ラストエンブリオ」を2015年から開始。
魔法戦争12巻
星刻の竜騎士20巻
棺姫のチャイカ12巻
人生10巻
2016年
(6)
俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している12巻
彼女がフラグをおられたら16巻
龍ヶ嬢七々々の埋蔵金12巻
下ネタという概念が存在しない退屈な世界11巻
俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件11巻
対魔導学園35試験小隊13巻
2017年
(10)
ゼロの使い魔22巻作者死去により20巻から21巻まで五年間中断。
カンピオーネ!21巻設定につながりのある「神域のカンピオーネス」を2017年から開始。
アウトブレイク・カンパニー18巻
機巧少女は傷つかない17巻
魔弾の王と戦姫18巻スピンオフ「魔弾の王と凍漣の雪姫」を2018年に、「魔弾の王と聖泉の双紋剣」を2019年に開始。
銃皇無尽のファフニール15巻
冴えない彼女の育てかた13巻
アルスラーン戦記17巻1986年から30年かけて完結。
空戦魔導士候補生の教官14巻
ゼロから始める魔法の書11巻続編「魔法使い黎明期」を2018年に開始。
2018年
(9)
境界線上のホライゾン29巻
ハイスクールD×D25巻続編「真ハイスクールD×D」を2018年に開始。
異能バトルは日常系のなかで13巻
新妹魔王の契約者12巻
聖剣使いの禁呪詠唱22巻
ハンドレッド16巻
ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン14巻
天使の3P!11巻
グランクレスト戦記10巻
2019年
(10)
織田信奈の野望22巻
お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ12巻11巻は2014年刊行、5年越しに完結。
変態王子と笑わない猫。13巻
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。14巻
精霊使いの剣舞20巻
魔装学園H×H14巻
ようこそ実力至上主義の教室へ11巻「2年生」編を2020年から開始。
ゲーマーズ!12巻
ガーリー・エアフォース11巻
新約 とある魔術の禁書目録23巻シリーズとしては「創約」に続く。
2020年
(11)
デート・ア・ライブ22巻
俺、ツインテールになります。19巻
この素晴らしい世界に祝福を!17巻
妹さえいればいい。14巻
俺が好きなのは妹だけど妹じゃない11巻
超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!10巻
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?11巻
ストライク・ザ・ブラッド22巻
はたらく魔王さま!21巻
魔法科高校の劣等生32巻
フォーチュン・クエスト11巻無印(全8巻)→新(全20巻)→新II(全11巻)と推移。

2000年代に完結した作品が少ないのは単純にアニメ化作品が少なかったからですね。2010年代を見ると「2016年」がエアポケットみたいに少なくて不思議。たまたまでしょうけど。

こうして見ると2020年はまだ4月なのに続々と大物が完結してますね。確かに節目の年になるのかも。(2020年6月:お母好き・ストブラ・魔王さま・魔法科・フォーチュンを追記しました。やばいラインナップですね。)

他に「節目の年」というと、『シャナ』『彩雲国』『狼と香辛料』『GOSICK』などの人気作品に加えて『文学少女』なども完結している「2011年」と、奇跡の完結を迎えた『ゼロの使い魔』に『アルスラーン戦記』『破妖の剣』といった大長編作品も終わりを迎えた「2017年」あたりが、個人的には印象深いですね。

まあ、このあたりは作品への思い入れなども絡むところでしょうし、むしろ「あなたはどの年が『節目』だと思う?」と聞いてみたほうが面白いかもしれません。

「好きラノ 2019年下期」投票

lightnovel.jp

継母の連れ子が元カノだった

【19下ラノベ投票/9784041082645】

漂流英雄 エコー・ザ・クラスタ

漂流英雄 エコー・ザ・クラスタ (ダッシュエックス文庫)

漂流英雄 エコー・ザ・クラスタ (ダッシュエックス文庫)

【19下ラノベ投票/9784086313285】

董白伝 ~魔王令嬢から始める三国志

董白伝~魔王令嬢から始める三国志~ (ガガガ文庫)

董白伝~魔王令嬢から始める三国志~ (ガガガ文庫)

【19下ラノベ投票/9784094518252】

前略、殺し屋カフェで働くことになりました。

前略、殺し屋カフェで働くことになりました。 (3) (ガガガ文庫)

前略、殺し屋カフェで働くことになりました。 (3) (ガガガ文庫)

【19下ラノベ投票/9784094518245】

アガートラムは蒼穹を撃つ

アガートラムは蒼穹を撃つ 1.三日月学園機関甲冑部の軌跡 (オーバーラップ文庫)

アガートラムは蒼穹を撃つ 1.三日月学園機関甲冑部の軌跡 (オーバーラップ文庫)

  • 作者:山口隼
  • 出版社/メーカー: オーバーラップ
  • 発売日: 2019/12/24
  • メディア: 文庫
【19下ラノベ投票/9784865545821】

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ)

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 2 (オーバーラップ文庫)

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 2 (オーバーラップ文庫)

  • 作者:黒留ハガネ
  • 出版社/メーカー: オーバーラップ
  • 発売日: 2019/08/22
  • メディア: 文庫
【19下ラノベ投票/9784865545333】

エリスの聖杯

エリスの聖杯 (GAノベル)

エリスの聖杯 (GAノベル)

【19下ラノベ投票/9784815603816】

異世界の名探偵

異世界の名探偵 1 首なし姫殺人事件 (レジェンドノベルス)

異世界の名探偵 1 首なし姫殺人事件 (レジェンドノベルス)

  • 作者:片里 鴎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/10/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
【19下ラノベ投票/9784065167120】

戦国昼寝姫、いざ参らぬ

戦国昼寝姫、いざ参らぬ (富士見L文庫)

戦国昼寝姫、いざ参らぬ (富士見L文庫)

【19下ラノベ投票/9784040732794】

【結果発表】マニアック・ライトノベル・オブ・ザ・イヤー2019

前回

レギュレーション

・2019年内に投票者が「読了した」ライトノベルのなかで面白かった10作品に投票してください(発売日や購入日は関係なく「読了日」を基準とします)
・「重複なし」で「10作品」必須です
・「シリーズ名」で投票してください
・ただし「スピンオフ」は別シリーズとみなします(たとえばSAO本編に対する「プログレッシブ」や「オルタナティブ」など)
・「あなたがそうだと思うものがライトノベルであり、他人の同意は必要ありません」
・投票は「2020年1月3日(金) 24:00」までの予定です

今回の投票者は50人、すなわち全体では500票でした。
それでは投票結果です。

8票

『夏へのトンネル、さよならの出口』

7票

『吸血鬼に天国はない』
『筐底のエルピス』

6票

86-エイティシックス-
『ヒトの時代は終わったけれど、それでもお腹は減りますか?』
『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求』
『錆喰いビスコ

5票

『Unnamed Memory』
『プロペラオペラ』
異世界誕生シリーズ』
『世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ)』
青春ブタ野郎シリーズ

4票

『つるぎのかなた』
『ハル遠カラジ』
異世界迷宮の最深部を目指そう』
『賭博師は祈らない』

3票

『これは学園ラブコメです。』
スイレン・グラフティ』
『ぼくたちのリメイク』
『むしめづる姫宮さん』
ようこそ実力至上主義の教室へ
りゅうおうのおしごと!
『陰の実力者になりたくて!』
『学園者!』
『月とライカと吸血姫』
五位鷺の姫君、うるはしき男どもに憂ひたまふ』
『子守り男子の日向くんは帰宅が早い。』
弱キャラ友崎くん
『千歳くんはラムネ瓶のなか』
『探偵はもう、死んでいる。』
『天才王子の赤字国家再生術』
『迷宮の王』
薬屋のひとりごと
『路地裏に怪物はもういない』

2票

『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』『AGI -アギ-』『アサシンズプライド』『あの日、神様に願ったことは』『イリヤの空、UFOの夏』『 -インフィニット・デンドログラム-』『エリスの聖杯』『お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。』『キミの忘れかたを教えて』『きゃくほんかのセリフ!』『クラスメイトが使い魔になりまして』『ゲーマーズ!』『ゲーム実況による攻略と逆襲の異世界神戦記』『この素晴らしい世界に祝福を!』『コワモテの巨人くんはフラグだけはたてるんです。』『サイコパスガール イン ヤクザランド』『さくら荘のペットな彼女』『スズメバチの黄色』『ソードアート・オンライン』『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』『ディスキャラ メグルくん』『デスペラード ブルース』『どうも、好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です。』『ニンジャスレイヤー』『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』『ヒマワリ:unUtopial World』『ボーズ・ミーツ・ガール』『やがてはるか空につなぐ』『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』『異修羅』『異世界拷問姫』『異邦人、ダンジョンに潜る。』『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い』『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』『虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん』『継母の連れ子が元カノだった』『言鯨16号』『罪人楽園』『三角の距離は限りないゼロ』『七つの魔剣が支配する』『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』『十二国記』『世界樹の棺』『嘆きの亡霊は引退したい』『地獄に祈れ。天に堕ちろ。』『東京レイヴンズ』『不死人の検屍人』『魔術士オーフェン』『無双航路』『竜魔神姫ヴァルアリスの敗北』『涼宮ハルヒシリーズ』『狼は眠らない』

1票

『15歳のテロリスト』『全肯定奴隷少女:1回10分1000リン』『29とJK』『2年B組は全滅しました』『Abyss 賞金2700億円のVRMMO』『BanG Dream! バンドリ』『神々のいない星で』『Fate/strange Fake』『GOSICK』『HELLO WORLD if』『NGな彼女。は推せますか?』『WORLD END ECONOMiCA』『アークエネミー・スクールライフ』『アオハル・ポイント』『アクセル・ワールド』『あなたのことを、嫌いになるから。』『アフターマン』『アルスラーン戦記』『いつかここにいた貴方のために/ずっとそこにいる貴方のために』『いつかのレクイエム』『いでおろーぐ!』『ヴァンパイア・サマータイム』『ウは宇宙ヤバイのウ!』『エスケヱプ・スピヰド』『オリンポスの郵便ポスト』『お狐様の異類婚姻譚』『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』『かくりよの宿飯』『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』『キキ・ホリック』『キノの旅』『キミとは致命的なズレがある』『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』『キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った』『キラプリおじさんと幼女先輩』『クズと天使の二周目生活』『クロハルメイカーズ』『ゴスロリ卓球』『ことのはロジック』『この世界がゲームだと俺だけが知っている』『さよならピアノソナタ』『ジャマしないでよ、大神くん!』『スーパーカブ』『スカイ・ワールド』『スキルが強すぎてヒロインになれません』『ストライプ・ザ・パンツァー』『ストレンジムーン』『スレイヤーズ』『ソシャゲダンジョン』『タイムリープ』『ただ、それだけでよかったんです』『ただの人間でも顔をエルフに整形したらモテモテになって大成功した話』『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語』『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』『ティアムーン帝国物語』『デューン』『とある飛空士への追憶』『とある魔術の禁書目録』『とらドラ!』『とんでもスキルで異世界放浪メシ』『なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?』『なれる!SE』『にわか令嬢は王太子殿下の雇われ婚約者』『ノームの終わりなき洞穴』『はじらいサキュバスがドヤ顔かわいい。』『パノラマ島奇談』『バブみネーター』『ファイフステル・サーガ』『フォーチュン・クエスト』『ブギーポップシリーズ』『ふしぎ古書店』『フシノカミ』『フレームアームズ・ガール 可愛いってどういうこと?』『ヘヴィーオブジェクト』『ホーリーハーツ!!』『ぼくは異世界で付与魔法と召喚魔法を天秤にかける』『マッド・バレット・アンダーグラウンド』『ミニスカ宇宙海賊』『メイデーア転生物語』『メグとセロン』『メニューをどうぞ』『モンスター娘のお医者さん』『やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい』『リビルドワールド』『リベリオ・マキナ』『リベンジャーズ・ハイ』『レールアテンダントガール』『ロータス戦記』『ロード・エルメロイII世の事件簿』『ロードス島伝説』『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』『わが家は祇園の拝み屋さん』『わたしたち、何者にもなれなかった』『悪役令嬢は旦那様を痩せさせたい』『安達としまむら』『威風堂々惡女』『異セカイ迷子の半透明とやさしい死神』『異世界でロリに甘やかされるのは間違っているだろうか』『異世界の名探偵』『異世界転生アンチテーゼ』『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』『異世界洋菓子店フォックステイル』『淫らで緋色なノロイの女王』『噂の学園一美少女な先輩がモブの俺に惚れてるって、これなんのバグですか?』『塩の街』『横浜ダンジョン』『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』『俺の現実は恋愛ゲーム?? ~かと思ったら命がけのゲームだった~』『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『科学オタクと霊感女』『火の中の竜』『我が家のお稲荷さま。』『GODZILLA -怪獣黙示録-』『海のカナリア』『灰と幻想のグリムガル』『灰都ロヅメイグの夜』『学園王国の没落王と12人の生徒会長』『完璧美少女な天才ショタがダダ甘お姉ちゃんと業界仰天のゲームを創りながらゲーム作りの怖いお話を聞かされています!』『艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します!』『気ままに東京サバイブ。』『義妹が勇者になりました。』『境界線上のホライゾン』『響け! ユーフォニアム』『金属バットの女』『銀河英雄伝説』『空の中』『熊本くんの本棚』『君がいた美しい世界と、君のいない美しい世界のこと』『君が僕を』『君は世界災厄の魔女、あるいはひとりぼっちの救世主』『君死にたもう流星群』『撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろ』『元勇者は静かに暮らしたい』『後宮妃の管理人』『紅蓮館の殺人』『行き倒れもできないこんな異世界じゃ』『黒猫のおうて!』『今日から俺はロリのヒモ!』『婚約破棄から始まる悪役令嬢の監獄スローライフ』『婚約破棄のために淑女になる方法。』『佐伯さんと、ひとつ屋根の下』『冴えない彼女の育てかた』『三日月邸花図鑑』『指輪の選んだ婚約者』『死者の奢り』『死体埋め部の悔恨と青春』『紫色のクオリア』『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』『七姫物語』『失恋文庫』『社会的には死んでも君を!』『秋山野要は愛されている。』『十三歳の誕生日、皇后になりました』『巡ル結魂者』『処刑少女の生きる道』『海賊と女王の航宙記シリーズ』『少女禁区』『昭和少女探偵團』『侵略性外来種『勇者』』『心造少女』『森のほとりでジャムを煮る』『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』『人類は衰退しました』『図書館の魔女』『世界の終わりの世界録』『世界は愛を救わない』『世界最強の復讐神官』『生ポアニキ』『生徒会探偵キリカ』『精霊の守り人』『精霊幻想記』『聖女二人の異世界ぶらり旅』『西野』『青春敗者ぼっち野郎、金髪尻軽ギャルのお気に入りになる』『昔勇者で今は骨』『絶対ナル孤独者』『絶対城先輩の妖怪学講座』『戦国小町苦労譚』『戦地調停士シリーズ』『浅草鬼嫁日記』『草食系サキュバスだけど、えっちなレッスンしてくれますか?』『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』『奪う者 奪われる者』『探偵AIシリーズ』『断章のグリム』『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』『泥の銃弾』『天才少女Aと告白するノベルゲーム』『天穹のカムイ』『転生したらスライムだった件』『転生者の私に挑んでくる無謀で有望な少女の話』『転生令嬢は冒険者を志す』『電波的な彼女』『東京×異世界戦争』『董白伝』『同棲から始まるオタク彼女の作りかた』『猫の地球儀』『破滅の刑死者』『彼女は死んでも治らない』『緋弾のアリア』『飛べない蝶と空の鯱』『美少年シリーズ』『百神百年大戦』『百竜殺しと武器屋の幼女』『漂流英雄』『封殺鬼』『編集長殺し』『辺境の老騎士』『宝石吐きのおんなのこ』『放課後アポカリプス』『放課後は、異世界喫茶でコーヒーを』『僕は何度も生まれ変わる』『堀川さんはがんばらない』『本屋の店員がダンジョンになんて入るもんじゃない!』『本山らのと、先生と』『魔界帰りの劣等能力者』『魔女と少女の愛した世界』『魔弾の王と凍漣の雪姫』『魔法科高校の劣等生』『魔法学校の落ちこぼれ』『魔法少女サマーキャンプ』『魔法少女育成計画』『魔法世界の受付嬢になりたいです』『未完結ラブコメと運命的な運命論』『夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去』『無双系女騎士、なのでくっころは無い』『明るい夜に出かけて』『明日の世界で星は煌めく』『迷宮キングダム』『迷宮クソたわけ』『ノラ猫マリィ』『勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした』『友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ?』『由比ガ浜機械修理相談所』『傭兵と小説家』『幼なじみが絶対に負けないラブコメ 』『妖姫ノ夜』『落第騎士の英雄譚』『裏世界ピクニック』『裏方キャラの青木くんがラブコメを制すまで。』『流れよわが涙、と孔明は言った』『竜騎士のお気に入り』『狼と香辛料』『茉莉花官吏伝』『軋む楽園の葬花少女』

2019年ライトノベル個人的ベスト10

1. 世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ)

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 1 (オーバーラップ文庫)

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 1 (オーバーラップ文庫)

  • 作者:黒留ハガネ
  • 出版社/メーカー: オーバーラップ
  • 発売日: 2019/02/22
  • メディア: 文庫
弛まぬ研鑽の末に世界最強の超能力者となった男が、自分の能力によって謎の「組織」をつくりあげ、自分の能力をいたいけな若者にこっそり分け与えて、自分の能力でつくった「敵」を彼らに倒させて、自分の能力でさまざまなドラマを演出してみせる…という「自作他演」のお話。小学生が妄想するような悪巧みを大真面目にやっていく主人公たちと、その裏側をこっそり覗き見ることになる読者が抱く「共犯」的な感覚が何よりも楽しい。そして作者の演出の上手さ、「小説」の上手さも光る。完璧な面白さでした。
世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ)|株式会社オーバーラップ

2. 無双航路

無双航路 3 転生して宇宙戦艦のAIになりました (レジェンドノベルス)

無双航路 3 転生して宇宙戦艦のAIになりました (レジェンドノベルス)

  • 作者:松屋 大好
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/06/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
巻を重ねるたびに飛躍的にスケールアップしていくスペースオペラの傑作。「皇女様と一緒に撤退戦」から「宇宙を二分する大国同士の一大決戦」まで、SFギミックまみれのお化け屋敷のなかを超光速のジェットコースターで突っ切っていくような激動の展開。2010年代のベスト宇宙SFラノベの座を『ストライクフォール』と争うのではないかと思います。

3. 継母の連れ子が元カノだった

紙城境介、「ひねくれ喧嘩ップルのイチャイチャ描写」を誰よりも上手く書ける才能を持ってこの世に生まれてきたんだと思います。「かつて付き合ったことがトラウマになってる幼馴染の元カップル」のエピソードが良すぎましたね。天才の所業です。
継母の連れ子が元カノだった | シリーズ紹介 | スニーカー文庫(ザ・スニーカーWEB)

4. 絶対ナル孤独者

絶対ナル孤独者5 ―液化者 The Liquidizer― (電撃文庫)

絶対ナル孤独者5 ―液化者 The Liquidizer― (電撃文庫)

  • 作者:川原 礫
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/05/10
  • メディア: 文庫
敵組織の女幹部と共闘するとか最高じゃあないっすか……というわけで2010年代に残された学園異能の最後の希望、『絶ナル』です。異能を隠して日常を過ごし、闇に紛れて非日常と戦う。まさに王道。2020年代はぜひともこういった学園異能が復活してほしいと思います。
絶対ナル孤独者≪アイソレータ≫|作品紹介|電撃文庫公式サイト

5. アサシンズプライド

アサシンズプライド9 暗殺教師と真陽戴冠 (ファンタジア文庫)

アサシンズプライド9 暗殺教師と真陽戴冠 (ファンタジア文庫)

この第九巻が大きなストーリーの一区切りだったんですけど、まさに何巻分も文章を積み重ねてきたからこそできる究極の盛り上がりという感じでした。さまざまな勢力、さまざまな登場人物が入り乱れる、狂気的な騒乱の果てに、クーファとセルジュの二人が対峙するクライマックスの良さよ。アニメを観た人も観ていない人も、ぜひとも小説でじっくりと読んでいただきたいですね。
アサシンズプライド | 特設ページ | ファンタジア文庫

6. 学園者!

学園者!: ~風紀委員と青春泥棒~ (ガガガ文庫)

学園者!: ~風紀委員と青春泥棒~ (ガガガ文庫)

マンモス校を舞台に巻き起こるちょっとした事件をデコボコ風紀委員コンビが解決していく、明るく楽しく、でもちょっとビターなミステリ風味の学園青春コメディ。奇人変人が次々に登場する賑やかさや、彼らと交わす軽妙な会話で読ませる作品なんですけど、そのなかには主人公も含めてはみ出し者も多くて、なんというか、「光が強ければ影もまた濃い」みたいな、青春が持つ光と影が交差する感じがたまらないんですよね。
キミの青春がここにある――かもね?新時代の青春譚『学園者!』好評発売中! | ガガガ文庫編集部ログ

7. 気ままに東京サバイブ。

日本に密かに現れるようになったモンスターを、ワイルドでイケメンなお姉さんが狩っていく現代ハクスラもの。現実世界にゲーム的なレイヤーをかぶせたタイプの作品で、徐々に能力を獲得して少しずつ強くなっていくレベルアップ描写がとても楽しい。タイトルの気楽そうなノリとは裏腹に、がっつり人が死んだりしてわりとシビアな描写が多いんですけど、それと主人公のサバサバとした語り口が非常にマッチしているんですよね。ヤバい状況をたくましく乗り切っていく主人公がかっこよすぎる。

8. エリスの聖杯

エリスの聖杯 (GAノベル)

エリスの聖杯 (GAノベル)

底抜けに善良な貧乏貴族の娘・コニーに、かつて処刑された悪名高い美女・スカーレットの霊が憑依したことで、二人はスカーレットの「冤罪」を晴らすために行動することになる、いわゆる悪役令嬢ものを下敷きにしたファンタジー・サスペンス。婚約者に浮気されても強く言えないどんくさいコニーが、スカーレットに憑依された途端にズバズバといけすかない連中を切り捨てていく痛快さと、腐敗した貴族社会の陰湿さ、そして次第に深まっていく二人の少女の友情のコントラストが素晴らしいんですよ。
【特集】『エリスの聖杯』刊行記念特別企画 常磐くじら先生×大森藤ノ先生スペシャル対談インタビュー – ライトノベル総合情報サイト ラノベニュースオンライン

9. 漂流英雄

漂流英雄 エコー・ザ・クラスタ (ダッシュエックス文庫)

漂流英雄 エコー・ザ・クラスタ (ダッシュエックス文庫)

敵国同士の少年と少女が機動兵器のなか二人きりで宇宙を漂流することになるSFボーイ・ミーツ・ガール。最初は互いにツンツンしてるんですけど、二人とも根が素直で優しいからすぐに打ち解けて仲良くなって、もちろん惹かれあっていくわけです。どこか幼さを感じさせる二人が、生き残るために一生懸命なのが、可愛らしく微笑ましい。そして笑ってしまうほど幸せなオチがつくという。最良の読後感でしたね。
独占インタビュー「ラノベの素」 森月真冬先生『漂流英雄 エコー・ザ・クラスタ』 – ライトノベル総合情報サイト ラノベニュースオンライン

10. スイレン・グラフティ

「しっかり者のお姉ちゃん」と「顔のいい不良少女」がひょんなことから一緒に暮らすことになる青春百合グラフティ。いやあ王道の組み合わせですよね。正反対な二人が互いに影響されてかけがえのない親友になっていくやつな。そして友人連中が心配して「あんな子と付き合うのやめなよ」とか言ったりするやつ。あと、個人的には主人公の弟妹の悪ガキどもが大好きなので、彼らの大暴れを見るだけでニヨニヨしてしまうのです。

2010年代のライトノベルを振り返る

はい、というわけで2010年代のライトノベルを振り返る記事です。

とりあえず
・後知恵で整理された歴史ですよ
・個人の「史観」が入ってますよ
というエクスキューズをしておくのでご了承ください。

では一年ずつ見ていきましょう。

ちなみに「*1」みたいなやつは、だいたい作品の発売年が注記として入っていて、PCならマウスカーソルをあわせるだけで表示されます。スマホは知らん。

2010年

2010年代のライトノベルを語るならば、まず間違いなく「Web小説」と「ライト文芸」がキーワードとなるだろう。奇しくも2000年代最後の年に起きた「ソードアート・オンラインの発売」と「メディアワークス文庫の創刊」という二つのトピックスは予言的だったと言える。

まず、Web小説については『まおゆう魔王勇者*1から始めるべきか。

2009年9月に始まった2chのスレッド『魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」』が、2010年3月ごろからバズりはじめ、2010年5月にはゲームクリエイター桝田省治が音頭を取るかたちで書籍化が決定した。

この『まおゆう』の出版が、同作者の『ログ・ホライズン*2と、その掲載サイトである「小説家になろう」、そして当時の「なろう」累計ランキング一位である『魔法科高校の劣等生*3に注目が集まるきっかけとなった。
「エヴァSS」から「小説家になろう」までのWeb小説年表 - WINDBIRD::ライトノベルブログ

先行してWeb小説の書籍化を手掛けていた「アルファポリス」や「イーストプレス」も忘れてはいけないだろう。アルファポリスは、それ以前からWeb小説の書籍化を行っていた出版社だったが、2010年11月発売の『リセット』から特に「なろう」作品の刊行を本格化させている。

リセット (レジーナブックス)

リセット (レジーナブックス)

また、もうひとつのWeb発ムーブメントとして「ボカロ小説」がある。その元祖である『悪ノ娘』は2010年8月に発売されており、そこから『カゲロウデイズ』*4や『告白実行委員会*5『厨病激発ボーイ』*6などのヒット作が生み出されていくのである。

悪ノ娘 黄のクロアテュール

悪ノ娘 黄のクロアテュール

  • 作者:悪ノP
  • 発売日: 2010/08/09
  • メディア: 単行本

2011年

2011年、『ログ・ホライズン*7魔法科高校の劣等生*8が発売され、「なろう」への注目度がますます高まっていたときに現れたのが「フェザー文庫」であった。

フェザー文庫は2011年11月に創刊されたレーベルで、「ライトよりも軽いからフェザー」というありがちな発想から名付けられている。発売元は沖縄の観光ガイドなどを出している出版社だったが、そこの編集者がいち早く「なろう」に目をつけてめぼしい作家に声をかけてレーベルを立ち上げたのである。

と聞くと先見の明がある気もするが、その実は自費出版に毛が生えた程度の待遇で、ラノベのノウハウなどもなく作家や絵師とトラブルを起こしまくり、早々に「地雷レーベル」と認定されてしまった。ただ初期の売上はなかなか良好だったらしく、翌年以降に大手出版社が「なろう書籍化」に参入していくきっかけの一つになったのではないかと思う。

2011年3月には『ビブリア古書堂の事件手帖』が刊行を開始している。

いわゆる「ライトミステリ」としては『心霊探偵八雲*9万能鑑定士Q*10謎解きはディナーのあとで*11などの先行作が挙げられるが、「ライト文芸」というムーブメントを生み出したのは間違いなくメディアワークス文庫と『ビブリア』の大ヒットだったろう。
「大人向けラノベ」の誕生 - WINDBIRD::ライトノベルブログ

ライト文芸」「キャラ文芸」「キャラノベ」などの違いについてはこちらの記事を参照のこと。
「ライト文芸/キャラ文芸/キャラノベ」等の定義と呼称の歴史 - WINDBIRD::ライトノベルブログ

さて、2010年代のメインストリームが「Web小説」と「ライト文芸」だったとするなら、フリンジストリーム、隠れたブームは「青春」と「戦記」だったと思う。

この二つのジャンルは、アニメ化を連発するような派手な盛り上がりこそなかったが、2000年代よりも着実に増加してラノベ業界の一角を占めるようになった。それぞれの代表格として『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。*12と『魔弾の王と戦姫*13を挙げておきたい。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』は、2010年代の青春ラノベの代表格であり,このラノで三連覇を果たしたように、かなり特異な人気を得た作品である。ガガガ文庫内においては今でも『弱キャラ友崎くん*14『千歳くんはラムネ瓶のなか』*15といった青春ものの系譜が続いている。

電撃文庫もまた、鴨志田一の『さくら荘のペットな彼女*16青春ブタ野郎』シリーズ*17や、入間人間の『電波女と青春男*18安達としまむら*19などのアニメ化作品を輩出しており印象が強い。

とはいえ青春ラノベの本流といえばファミ通文庫だ。2000年代の桜庭一樹野村美月の活躍から引き続き、『ココロコネクト*20ヒカルが地球にいたころ……*21『ヴァンパイア・サマータイム*22『この恋と、この未来。』*23近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係*24など、ラノベ史に残る傑作を次々に送り出している。

あるいはライト文芸でも青春ものは大きな勢力を持っている。特に『古典部』シリーズ*25をはじめとして『ハルチカ』シリーズ*26や『櫻子さんの足下には死体が埋まっている*27などが出てきている青春ミステリは、ライト文芸の拡大とともにますます人気を獲得しているように思える。

一方「戦記ファンタジー」も、「いわゆる異世界転生以外でファンタジーをやるなら戦記ものが手堅い」というような扱いで、じわじわと増えていった印象がある。

魔弾の王と戦姫』あたりから勢いが出始めて『天鏡のアルデラミン*28覇剣の皇姫アルティーナ*29グランクレスト戦記*30『我が驍勇にふるえよ天地』*31『天才王子の赤字国家再生術』*32など連綿と人気作が出てきている。

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 (MF文庫J)

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 (MF文庫J)

  • 作者:川口 士
  • 発売日: 2011/04/25
  • メディア: 文庫

ファンタジーではもう一つ、「魔王勇者もの」の代表格である『はたらく魔王さま!*33もこの年に発売されている。このジャンルについては「ドラクエ的な勇者と魔王の構図を借りたファンタジーパロディ」と説明できるだろうか。他に『いちばんうしろの大魔王*34はぐれ勇者の鬼畜美学*35勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。*36などが挙げられる。

はたらく魔王さま! (電撃文庫)

はたらく魔王さま! (電撃文庫)

2010年代に入ってファンタジーが復興していったなかで、「魔王勇者もの」ブームはその先駆けだったと言えるかもしれない。もちろん、Web小説にも「勇者召喚もの」や「魔王に転生した系」などは多くある。ただ、現在の「なろう系」ではドラクエよりもTRPGネトゲの影響が強く感じられるし、実のところどれがどのように影響し合ったのかはよくわからない。
2ch発の魔王勇者系SSの隆盛と魔王勇者系ライトノベルの増加は関連しているのか? - WINDBIRD::ライトノベルブログ

ともあれ、2010年代のファンタジーといえば「なろう系」が真っ先に出てくるが、それとは別系統の「戦記もの」や「魔王勇者もの」といったジャンルもきっちり人気があったのだということは述べておきたい。

その他のトピックスとして、KADOKAWAメディアファクトリーを買収したのがこの年である。ラノベ業界的には「非KADOKAWA系の最右翼」とみなされていたMF文庫JKADOKAWAの軍門に降ったわけで、なんか私も「ジャンプとマガジンとチャンピオンを持ってる会社がサンデーを買収したようなもんだよ!」とか言って騒いでいた記憶がある。
角川系出版社の統廃合の年表(ラノベ中心) - WINDBIRD::ライトノベルブログ

2012年

この時期のヒット作としては『ノーゲーム・ノーライフ*37と『冴えない彼女の育てかた*38が挙げられる。前者は漫画家・イラストレーター、後者は著名エロゲライターが作者ということで、どちらも新人賞出身ではないのが興味深い。このあたりから数年間は「新人賞はオワコン」「新人はWeb小説サイトで探せばいい」とか言われていた時期だった気がする。

まおゆう魔王勇者』『ログ・ホライズン』をヒットさせたエンターブレインが、Web小説の書籍化に力を入れて『オーバーロード*39や『ニンジャスレイヤー』*40などを刊行しはじめた時期でもある。

オーバーロード1 不死者の王

オーバーロード1 不死者の王

  • 作者:丸山くがね
  • 発売日: 2012/07/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

エンターブレインラノベレーベルの「ファミ通文庫」を保有しているが、Web小説についてはあえて単行本として刊行している。編集者へのインタビューなどを見ると「コレクションアイテムとしての見栄えの良さ」にこだわったということらしい。この頃はまだ「Webで無料公開されているのに書籍が売れるのか?」とか「書籍化したならWeb版は取り下げるべきでは?」とか言われていた時期だったので、装丁にこだわることで付加価値をつけようとしたのだろう。現在では多くの作品が書籍化後もWeb版を取り下げていない。

ちなみに、アルファポリスは「書籍化するときにWeb版を非公開にする(あるいはダイジェスト版に差し替える)」という戦略をとっており、それが後に「なろう」との対立を生むことになったりした。詳しくは以下参照。
小説家になろう - Wikipedia

2012年9月には「ヒーロー文庫」が創刊されている。

この時点では、『SAO』『魔法科』の電撃文庫にしろ、『ログホラ』『オバロ』のエンターブレインにしろ、既にラノベを取り扱っていた出版社がその範疇で出したものであったので、「ラノベを扱っていなかった出版社」による「Web小説専門のラノベレーベル(以下「Web文芸レーベル」と書く)」であるところのヒーロー文庫(とフェザー文庫)の創刊は非常にインパクトがあった。個人的にはこのヒーロー文庫創刊を「なろう(の書籍化)ブーム」の起点とすることが多い。

珈琲店タレーランの事件簿*41にも触れておきたい。前年の『ビブリア』に続いて「お店ミステリ」のヒットが続いたことで、そのブームが「点」から「線」になった感がある。こうした動きにより「あやかしカフェのほっこり事件簿」と呼ばれるようなライト文芸の方向性が徐々に定まっていった。

ちなみに2012年は『ソードアート・オンライン』のアニメ第一期が放送された年でもある。2009年の第一巻発売から数えると三年のタイムラグである。
Web小説が原作のライトノベルのWeb版・ラノベ版・アニメ版の開始時期 - WINDBIRD::ライトノベルブログ

2013年

この年には『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか*42幼女戦記*43この素晴らしい世界に祝福を!*44といったWeb発のヒット作が発売されている。

ダンまち』がGA文庫、『幼女戦記』がエンターブレインの単行本、『このすば』がスニーカー文庫から書籍化されていることからも分かるように、この時点ではまだ既存のラノベレーベルの力が強い。Web文芸レーベルが猛威を振るうのは翌年以降となる。

また『アクセル・ワールド』『オバロ』『ダンまち』『幼女戦記』あたりは「なろう」ではなく「Arcadia」で連載されていた作品である。この時点での出版社の意識は「Web小説の名作を書籍化していこう!」といった感じであって、後年のような「なろうのランキング上位争奪戦!」みたいなノリではなかったと思われる。

この年に発売された『エロマンガ先生*45は、のちの『妹さえいればいい。*46とあわせて「ラノベ作家もの」ひいては「クリエイターもの」の人気を高めた感がある。

そういえば、前年発売の『冴えカノ』は、著者らしく「ゲーム制作」をテーマとしている。ゲーム制作を題材にした作品は他にもいくつか発売されているが、「個性的なメンバーが集まったチーム」としての側面が強調されるので、「作家もの」とは異なる読み味になる印象がある。が、いずれにしても「クリエイターもの」ひいては「お仕事もの」の範疇だろう。

2013年8月「MFブックス」が創刊。創刊ラインナップには『盾の勇者の成り上がり』があり、また当時の「なろう」総合ランキング1位だった『無職転生*47を年明けすぐに刊行していることも見逃せない。

盾の勇者の成り上がり 1 (MFブックス)

盾の勇者の成り上がり 1 (MFブックス)

MFブックスはターゲットを「30代~40代男性」と設定しており、またアルファポリスなどに学んで単価の高い四六判を選択している。文庫とは売り場が変わることで、従来とは異なる読者を開拓することができたものと思われ、ライト文芸とあわせてラノベ市場の拡大に貢献したと言える。
「小説家になろう」の読者層は「10代20代が過半数」! - WINDBIRD::ライトノベルブログ

メディアファクトリーフロンティアワークスが共同で立ち上げたレーベルだが、企画の提案はフロンティアワークスからだったらしい。同社は「アリアンローズ」「ノクスノベルス」といったWeb文芸レーベルを続けざまに立ち上げたり、「なろう」の公式WEB雑誌「N-Star」の運営を任されたりと、Web小説ブームにおいて精力的に立ち回っている印象だ。

2014年

GCノベルズ」*48モンスター文庫*49HJノベルス*50「アース・スターノベル」*51といったWeb文芸レーベルの創刊ラッシュが起きた。すなわち「なろう」ブームの本格化である。

ヒーロー文庫MFブックスの成功を見た出版社がこぞって参入したかたちだが、いずれも一定の成功を収めたと言っていいだろう。特にGCノベルズは創刊ラインナップの『転生したらスライムだった件*52がいきなりヒットを飛ばしている。

転生したらスライムだった件1 (GCノベルズ)

転生したらスライムだった件1 (GCノベルズ)

  • 作者:伏瀬
  • 発売日: 2014/05/30
  • メディア: 単行本

Web文芸レーベルの特長は、このように「作品を集めやすい」ということだと思われる。従来は、実績ある編集者が過去の担当作家を引っ張ってきたり、「傭兵作家」と呼ばれるようなあちこちのレーベルで書いている作家を集めてくるしかなく、いずれにしても作家とのコネがなければ立ち上げることすら困難で、しかも新人賞が軌道に乗るまでは似たような顔ぶれになりがちだった。

しかしWeb小説であれば、既にまとまった分量があり、一定の読者がついている作品に対して、なんのコネがなくても出版を打診することができる。つまり創刊当初からオリジナル作品を取り揃えたうえで、ハイペースで続編を刊行して、さらには宣伝力不足を補うことまでできるのである。こうした点が、ラノベ出版のノウハウを持っていなかった中小出版社に恩恵を与えたのではないだろうか。

その他、2014年1月に『Re:ゼロから始める異世界生活』が発売されている。メディアファクトリーは前年にMFブックスを立ち上げているのに、『Reゼロ』だけはちゃっかり自レーベルで抱えているのだから面白い。

Re:ゼロから始める異世界生活 1 (MF文庫J)

Re:ゼロから始める異世界生活 1 (MF文庫J)

ライト文芸では、メディアワークス文庫の後追いで「富士見L文庫」が2014年6月に、「新潮文庫nex」が2014年8月に創刊している。富士見L文庫富士見ファンタジア文庫の姉妹レーベルであり、新潮文庫nex新潮文庫のサブレーベルであるため、ラノベと一般文芸の双方が歩み寄ったような形である。

これまでのライト文芸は、ラノベと一般文芸の「境界線」だったのが、次第に周辺領域を巻き込んで「緩衝地帯」となり、拡大および多様化していった、といったところか。

ミリオンセラーとなった『ぼくは明日、昨日のきみとデートする*53の発売もこの年である。作者の七月隆文は、2002年に電撃文庫からデビューしたベテランだったが、『ぼく明日』のロングヒット、さらに『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件*54のアニメ化と、この年から翌年にかけて一気に飛躍している。

タイムスリップ/タイムループ系の青春ものとしては、アニメがヒットした記憶も新しい『青春ブタ野郎』シリーズ』*55や、なぜか実写映画化された『二度めの夏、二度と会えない君*56などもこの時期に出ており、根強い人気をうかがわせる。

アニメでは『星刻の竜騎士*57『精霊使いの剣舞*58が放送されて「石鹸枠」なる蔑称が誕生した。2000年代の異能バトルは「異能者が人目を忍んでこっそり戦う話」が多かったが、2010年代には「異能が当たり前となった世界の学園ファンタジー」がトレンドとなった。「石鹸枠」もそのあたりの流れに含まれるものだろう。
「石鹸枠」とはなんだったのか - WINDBIRD::ライトノベルブログ

その源流としては、「巨大な異能学園」を描いた大ヒット作品『とある魔術の禁書目録*59、「なろう系」の異世界転生ものにも大きな影響を及ぼした「学園ファンタジー」の記念碑的作品『ゼロの使い魔*60、「俺TUEEE」「無双」というジャンルが認識されはじめた頃*61の代表的な作品で学園都市を舞台としたバトルファンジー鋼殻のレギオス*62、学園+バトル+萌えラブコメの代表格『IS<インフィニット・ストラトス>』*63、といったあたりが思いつく。

「なろう系」でも学園ファンタジーは人気ジャンルなので、このあたりは相互に影響しあっているのかもしれない。

2015年

この年のヒット作としては『ようこそ実力至上主義の教室へ*64と『りゅうおうのおしごと!*65を挙げておきたい。

ようこそ実力至上主義の教室へ (MF文庫J)

ようこそ実力至上主義の教室へ (MF文庫J)

  • 作者:衣笠彰梧
  • 発売日: 2015/05/25
  • メディア: 文庫

『よう実』については、先行する『ノゲノラ』やその後の『自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?』*66などとあわせて、MF文庫J内で「頭脳バトル」系の流れを形成しているようだ。

一方で『りゅうおう』は、ライト層とマニア層のどちらからも根強い人気を得て「このラノ」を連覇したあたり、『俺ガイル』と似た支持のされかたという印象がある。また題材としては前作の『のうりん!』*67とあわせて「お仕事もの」「業界もの」の側面があるように思う。

Web小説レーベルとしては「カドカワBOOKS」が2015年10月に創刊され、2015年12月に『蜘蛛ですが、なにか?』が刊行されている。モンスター転生ものとしては『転生したらスライムだった件*68と並ぶ有名作であり、アニメでもヒットが期待される。

蜘蛛ですが、なにか? (カドカワBOOKS)

蜘蛛ですが、なにか? (カドカワBOOKS)

  • 作者:馬場 翁
  • 発売日: 2015/12/10
  • メディア: 単行本

ライト文芸では、「集英社オレンジ文庫」が2015年1月に、「講談社タイガ」が2015年10月に創刊されており、このあたりで主要なプレイヤーが出揃った感がある。オレンジ文庫は少女向けラノベの嚆矢である「コバルト文庫」の姉妹レーベルであり、講談社タイガは日本の推理文壇において存在感を発揮してきた「講談社ノベルス」の兄弟レーベルであるが、それぞれ兄姉が活動を弱めているので実質的な後継レーベルになりつつある。

『紅霞後宮物語』*69は「なろう」発の中華ファンタジーだが、富士見L文庫でヒットしたことで、同じく「なろう」発の『薬屋のひとりごと*70とあわせて、女性向けライト文芸における中華ファンタジー人気を引き上げた感がある(もともと少女向けラノベでは『十二国記*71彩雲国物語*72など中華ファンタジーが人気ではあったが)。

紅霞後宮物語 (富士見L文庫)

紅霞後宮物語 (富士見L文庫)

  • 作者:雪村花菜
  • 発売日: 2015/05/15
  • メディア: 文庫

そういえば、女性人気の高さで共通する『本好きの下剋上*73の発売も、悪役令嬢もので初めてアニメ化される『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』*74の発売もこの年である。

さらには、ライト文芸において『ぼく明日』とならぶ大ヒット作である『君の膵臓をたべたい』*75も発売されている。こちらも「なろう」発である。『キミスイ』によって「なろうはファンタジーだけではない」といった気運が生まれ、青春恋愛ものの書籍化が増加していった。「なろう」の女性向け作品にとっては2015年がターニングポイントになるのかもしれない。

君の膵臓をたべたい

君の膵臓をたべたい

アニメでは『冴えカノ』『ダンまち』『オバロ』などが放送されて人気を博した。これで2012年〜2013年ごろの「既存のラノベレーベルがいちはやく人気のWeb小説を確保した」時期の作品がアニメにまで伝播したことになる。

2016年

2010年代後半の傾向はずばり「ラブコメの復活」である。

前年の『ゲーマーズ!*76妹さえいればいい。*77に引き続き、この2016年には『俺を好きなのはお前だけかよ*78弱キャラ友崎くん*79『29とJK』*80『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』*81『友人キャラは大変ですか?』*82などが好評を博し、ラブコメ復活の前兆として捉えられたりした。

弱キャラ友崎くん Lv.1 (ガガガ文庫)

弱キャラ友崎くん Lv.1 (ガガガ文庫)

特に『俺を好きなのは〜』や『友崎くん』が新人賞出身であるという点で、ラブコメ需要の高まりが感じられた。とはいえ本格的にラブコメが勢いを取り戻すのは2018年ごろということになるだろう。

アニメでは『この素晴らしい世界に祝福を!*83と『Re:ゼロから始める異世界生活*84が相次いでヒットを飛ばした。実はいわゆる「転生チート*85」を扱ったアニメは『このすば』が初めてなので、わりと重要なマイルストーンでもある。

前年放送の『オバロ』『ダンまち』とあわせて、Web発の作品が連続でヒットしたことで、「アニメでもいけるやん!」という空気になった(んじゃないかな)。

その他のトピックスとしては、2016年2月にKADOKAWAの小説投稿サイト「カクヨム」がオープンしたことが挙げられる。前述のアルファポリス・ダイジェスト騒動も2016年である。この頃から各出版社が自前の小説投稿サイトを抱えて積極的に作品発掘にいそしむようになっていった。

「出版社は『なろう』のランキングを上から順に書籍化しているだけ」なんて揶揄されることもあるが、現在の小説投稿サイトは「常設の新人賞」とでもみなすべきで、出版社はそこでさまざまなコンテストを開催したり、作品発掘用の人員を配置したりすることで、次にヒットしそうな作品を掬い上げることに注力しているように感じられる。

たとえばカクヨムは、当初から『横浜駅SF』*86や『ひとりぼっちのソユーズ*87のようなSF、あるいは『おにぎりスタッバー』*88『佐伯さんと、ひとつ屋根の下』*89スーパーカブ*90などの青春もの・青春ラブコメを積極的に書籍化しており、小説投稿サイトとして「なろう」との差別化を図ると同時に、出版社の意識としても「流行っているものを書籍化する」から「自分たちが求めているものを探し出して書籍化する」に変わってきたように思う。

スーパーカブ (角川スニーカー文庫)

スーパーカブ (角川スニーカー文庫)

もちろん、この間に「なろう」のほうも随分と様変わりしている。特に2016年のジャンル変更により「異世界転生/転移」が区別されたのが大きいと言われているが、「転生/転移」を伴わない「現地主人公」および「パーティ追放もの」が流行ったり、現代世界にダンジョンが出現する「現代ダンジョンもの」が増えたりしている。

みんないろいろ頑張ってるんだなあ、ということである。

2017年

これ以降は、どの作品もまだ評価が定まっていないこともあり、さらに胡乱な話が多くなるのでよろしく。

86-エイティシックス-*91のスマッシュヒットは、新人賞に漂っていた閉塞感を吹き飛ばしたように思う。電撃小説大賞からは翌年も『錆食いビスコ*92のような話題作が出ており絶好調といった感じだ。

86―エイティシックス― (電撃文庫)

86―エイティシックス― (電撃文庫)

このあたりから「なろう」ブームが落ち着いて、と言っても衰退したというよりは「定着した」「滑空に入った」という感じだが、「次のトレンドは何だろう?」と囁かれるようになった気がする。ラブコメもそうした流れから出てきたものだろう。

「コミカライズ」の増加が取り沙汰されるようになったのもこの頃か。「なろう系の作品が第一巻発売と同時にコミカライズ開始」といった形式も増えた。いわば「Web小説」を原作として「ノベライズ」と「コミカライズ」を同時にこなしているような感覚だろうか。

これはおそらくWeb漫画サイトおよびアプリの増加が関係していて、紙の雑誌なら連載枠に限りがあるところ、Web漫画ならその制限がかなり薄く、むしろ日刊ペースで更新を求められるので弾数が必要とされている、ということがあり、刊行点数が飽和するなかで少しでも新作を目立たせたいラノベレーベルと利害が一致したのだろう。

アニメでは『ナイツ&マジック*93異世界食堂*94異世界はスマートフォンとともに。*95などが放送された。これらはいずれもヒーロー文庫HJノベルスといった「Web文芸レーベル」の作品である。すなわち、ついに「なろう」ブームの波がアニメにまで到達したのである。ばんざーい。

ナイツ&マジック 1 (ヒーロー文庫)

ナイツ&マジック 1 (ヒーロー文庫)

  • 作者:天酒之瓢
  • 発売日: 2013/01/30
  • メディア: 文庫

2018年

『高2にタイムリープした俺が、当時好きだった先生に告った結果』*96『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』*97『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?』*98などの年の差ラブコメが急増したのが印象的である。

2000年代のラブコメの特徴が「ハーレム」「萌え属性」「部活」だったとすれば、現在のラブコメは「固定カップル」「年の差」「お仕事」といったあたりが特徴になるだろうか。「萌え属性」重視で特徴の強いヒロインたちを次々に増やしていくようなラブコメから、ある状況下における主人公とヒロインの関係性を掘り下げていくようなものへと変化したようなイメージである。

これについては漫画のほうで『からかい上手の高木さん』や『宇崎ちゃんは遊びたい!』のような「○○さん」系ラブコメが流行っていることの影響があるのかもしれない。

2000年代に「年の差ラブコメ」と言えば「ヒロインが小学生」のロリコンものが大半だったが、いま流行っているのは、主人公が高校生/ヒロインが社会人だったり、主人公が社会人/ヒロインが高校生だったりするものである。

これは以前なら「ラノベの主人公は若くないとダメだから」とか「年上ヒロインは売れないから」とか言われていたのが、「なろう系」のおっさん主人公や、ライト文芸の社会人主人公などを経由したことによって、作り手が「慣れた」ことが大きいと思われる。

「お仕事もの」についても同じことが言えると思うが、前述したとおり「お仕事もの」には「クリエイターもの」なども含まれてくるわけで、いわゆる「学園ラブコメ」にとどまらない幅広い物語背景が描かれるようになった結果と言えるだろう。

「なろう」のほうでも、2018年12月に投稿された『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』の人気のおかげで、微妙に現代ラブコメが増加していたりするらしい。今後に期待である。

この年はとにかくラノベ絡みの炎上が多かった。『異世界テニス無双』パクリ問題、『山本五十子の決断』プロモツイート問題、『ブギーポップ』キャラデザ問題、『二度目の人生を異世界でヘイトスピーチ問題、『境界線上のホライゾン』イラスト問題……いわゆるポリコレ的な問題についてはオタク業界全体に影響を及ぼしそうだ。

2019年

今年のことなのでどうにも語りづらいが。

『友達の妹が俺にだけウザい』*99『幼馴染が絶対に負けないラブコメ*100『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』*101『娘じゃなくて私が好きなの!?』*102と、引き続きラブコメが話題となることが多かったように思う。

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

それと「スレ発ラノベ」として、いわゆる「やる夫スレ」を翻案した作品が立て続けに刊行されたことが挙げられるか。やる夫スレのラノベ化といえば『ゴブリンスレイヤー*103という前例があるが、これが新しい潮流になるかは分からない。やる夫スレも、まだ投稿が途絶えているわけではないとは言え、往時の勢いは失われていると思うので、一過性の企画にしかならない気もする。

あとは先日の10大ニュースでも読んでいただければ。
2019年ライトノベル10大ニュース - WINDBIRD::ライトノベルブログ

まとめ

というわけで、この十年間を振り返ってまいりました。だ・である調は解除します。

私は、あくまで少年向けラノベを主戦場としているので、触れられていないところも多いと思います。あらためて、「私はこういうふうに見てきたよ」以上のものではない、ということでよろしくお願いします。

で、こうして振り返って思うのは「十年前のラノベになかった部分をWeb小説が補完してくれた」ということですね。

2000年代には低調だったファンタジーの復活はもちろんのこと、青春ものやラブコメの増加にも影響を与えてくれていますし、「グルメ」とか「歴史」とか「おっさん主人公」とか「女性主人公」とか、これまで「ラノベでは売れない」というレッテルを貼られてきた様々な要素が、小説投稿サイトのなかでその人気を証明して書籍化されているわけです。

文庫のラノベ市場が頭打ちになったことで、一般文芸の売り場なり(=ライト文芸)、単行本の売り場なり(=Web小説)に打って出て、そこでこれまでとは違った作品が生み出されていった、ということで非常にラノベが多様化した十年間だったと思います。

そうして範囲が拡大したぶん、いよいよもってラノベの全体像を把握している人間などいなくなった…という感じもあります。はたして十年後、「2020年代ライトノベルを振り返る」なんて記事は書けるんでしょうか。

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*9:2004年10月発売・2008年に角川へ移籍

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