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ライトノベルネタブログ

異世界チートでも異能バトルでもない「最近のラノベ」30選

Twitterを見ていると、「最近のラノベは異世界でチートするような作品しかない」みたいなツイートがよく流れてきてイライラするので、おうそれやったらファンタジーとか異能バトルとか以外でオススメのラノベを紹介したろうやないか、と思って書いたのがこの記事です。

最初は「異」で韻を踏もうと思って「異性ハーレム」という新語を爆誕させたんだけど流石にちょっと無理やりだったので外しました。でもなるべくハーレムラブコメも避けてるよ。

あといわゆる「ライト文芸」系は、私があんまり読んでないので入ってないよ。

という感じでいきます。


この恋と、その未来。

まずは鉄板の作品からいきましょう。作者は森橋ビンゴ。過去にも『三月、七日。』『東雲侑子』シリーズなど、恋愛ものの名作を送り出し、一方で漫画原作やゲームシナリオなども手がけているマルチな作家さんである。『この恋と、その未来。』は、性同一性障害FtM)の少年(少女)と、彼に恋をしてしまった主人公の苦悩を描いた作品。広島のご当地ネタがたっぷり。主人公周りの男子校ノリも楽しいです。

青春ブタ野郎シリーズ

アニメ化もされた『さくら荘のペットな彼女』の作者による青春ストーリー。「思春期症候群」と呼ばれる少し不思議な病にかかったヒロインたちを主人公が救っていくという構成。その主人公がめちゃくちゃかっこいいんですよね。ふざけた感じに見せておいて気が利くし察しも良いタイプの有能イケメン。ちなみに、ヒロインは巻ごとに代わるけど、主人公は恋人一筋ですよ。

りゅうおうのおしごと!

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

中学生でプロ棋士となり、史上最年少で「竜王」のタイトルを獲得した主人公が、あるとき自宅まで押しかけてきた女子小学生を弟子にすることになる…という話です。作者は『のうりん』の白鳥士郎。豊富な取材に裏打ちされた馬鹿馬鹿しいギャグとシリアスの共演。ラノベ読みによる人気投票でもトップを独走しており、現在最も注目されているライトノベルと言っても過言ではありません。

王手桂香取り!

王手桂香取り!  (電撃文庫)

王手桂香取り! (電撃文庫)

将棋ラノベと言えばこちらも忘れちゃいけません。高校の将棋部に所属している主人公が、将棋の駒たち(の擬人化キャラ)に指導されて強くなっていく、いわばラノベ版将棋版の『ヒカルの碁』のような話。最初は「将棋で強くなって憧れの先輩に近付く」みたいな動機もあったりするんですが、もともと生真面目な主人公のこと、根底にあるのは純粋な成長物語です。

ヴァンパイア・サマータイム

一巻で完結。ラノベ読みからカルト的な人気を誇る作家・石川博品が贈る恋愛ストーリー。人間の主人公と吸血鬼のヒロインの話なんですが、種族の違いはあっても、二人ともごく普通のお馬鹿な高校生。同性の友達とは明け透けな話をしているくせに、二人きりになればかっこつけたり、相手を美化したり、そういう思春期的な描写が非常に上手いんですよね。

俺の教室にハルヒはいない

四巻で完結。何故だか次々にアニメ業界人とコネができていく普通の高校生(普通の感性をしているとは言いがたいけど)の捉えどころのない恋愛模様が描かれる青春ラノベ。作者である新井輝自身が、最近はアニメの脚本もこなしているということで、リアルなのかどうなのか分からないようなエピソードがてんこもりです。ちなみに『ハルヒ』は作中でキーアイテムとして使われるだけでパロディとかではないです。

男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。

作者は『キノの旅』の時雨沢恵一で、なるほどこのクソ長いタイトルも喜々として付けそうだなという感じ。東京へ行くための電車の中で主人公のラノベ作家がクラスメイトの声優にラノベについてあれこれと語るという話。それ自体は、興味深くはあっても面白いものではないのですが、「なぜ首を絞められているのか?」という謎を引っ張って引っ張って、最後にはちゃんと「物語」をぶつけてきてくれるので安心してください。

SとSの不埒な同盟

二巻で完結。窓越しに想い人を眺めて嗜虐的な妄想を語りあう、サディスティックな二人を主役にした学園恋愛もの。二人は協力しあい、本性を隠して相手に近付くが…という話。作者の野村美月は、確かな実力はもちろんのこと、最近は単巻もしくは上下巻の作品を連続で出しており、「長いシリーズものは買いづらい」という人におすすめですよ。

アルジャン・カレール

一作者一作品のつもりだったんですが野村美月作品からもう一つ。王都に店をかまえる凄腕の菓子職人――実はかつての戦争で活躍した軍人である、その彼を主人公とした連作短編集。要するに、アントナン・カレームをイケメンの元軍人にして、女王陛下とのラブロマンスをプラスしたような歴史ファンタジーです。こちらも上下巻できっちり完結しています。

路地裏バトルプリンセス

路地裏バトルプリンセス (GA文庫)

路地裏バトルプリンセス (GA文庫)

四巻で完結。女装してコスプレして廃ビルで自撮りしていたら、いつのまにか路上格闘の頂点に君臨する「魔王少女」と呼ばれていた――そんな主人公が、「魔王少女」に憧れる少女を弟子にするところから始まる、格闘と師弟と、そして恋の物語。読んでのとおり変態な主人公ですが、ラブもバトルもビシっと決める格好良い奴ですよ。

ひとつ海のパラスアテナ

ひとつ海のパラスアテナ (電撃文庫)

ひとつ海のパラスアテナ (電撃文庫)

全ての陸地が海に沈んだ遠未来を舞台に、遭難したり海賊に襲われたりしながらも、逞しく生きる少女たちを描いた海洋冒険SF百合ラノベ。そう、百合です。百合ハーレムです。壮絶なサバイバルが描かれつつも、根っこのところはけっこうコミカルな話だったりもします。「現代」の言葉や慣習が、彼女たちの時代に間違った意味で伝わっているのが面白かったり。

いでおろーぐ!

恋愛至上主義の撲滅を掲げ、学生運動ばりに過激に活動するヒロインと、その彼女を補佐する主人公のコンビを描いた青春ラブコメ。打倒リア充を掲げてはいるけれど、こいつら自身がバカップルじゃん、だめじゃん、とツッコミつつも、不器用すぎる二人の関係が微笑ましい。二巻からぐんと面白くなるタイプの作品なので是非とも既刊一気買いを。

きんいろカルテット!

きんいろカルテット! 1 (オーバーラップ文庫)

きんいろカルテット! 1 (オーバーラップ文庫)

三巻で完結。日本的な「吹奏楽」に溶け込めないものの、才能に溢れた四人の女子中学生に、やはり実力はあるが日本の音楽界に馴染めない主人公がコーチを引き受ける…という話。作者はプロのユーフォニアム奏者で、その名も「遊歩新夢(ゆうほにうむ)」。ユーフォニアムと言えば『響け!ユーフォニアム』を思い出される方も多いと思いますが、発行時期はほとんど同時なので本当にただのシンクロニシティです。

ゲーマーズ

生徒会の一存』の葵せきな最新作。誤解と偶然を積み重ね、ひたすら擦れ違いと勘違いを繰り返す、これぞラブコメという感じの王道ラブコメ。ギャグかコントかというくらい、思い通りにはいかない登場人物たちの行動に、「なんでそうなるんだよ!!!」と叫んでしまうこと請け合いです。サブタイトルも素晴らしいんですよね。

彼女が捕手になった理由

彼女が捕手になった理由 (一迅社文庫)

彼女が捕手になった理由 (一迅社文庫)

ラノベでは少ない少ないと言われながらも、意外に定期的に刊行されている「野球ラノベ」です。尖ったメンバーたちが上手く噛み合っていなかった中学野球チームが、一人の女子の加入によりチームとしてまとまり快進撃を開始する、という話。主人公とヒロインの中学生らしい甘酸っぱい関係も素敵。

たま高社交ダンス部へようこそ

たま高社交ダンス部へようこそ (角川スニーカー文庫)

たま高社交ダンス部へようこそ (角川スニーカー文庫)

週刊少年ジャンプで連載されているのは『鹿高競技ダンス部へようこそ』、こちらは『たま高社交ダンス部へようこそ』。競技ではなく社交ダンスだというところに力点が置かれている感じです(でも競技はするんですけど)。初心者がダンスを始めるときのドキドキを丁寧に描いた良作です。

されど僕らの幕は上がる。

二巻で完結。「若者たちがシェアハウスで暮らす」というリアリティ番組を舞台にした、ちょっと痛めな青春もの。番組の台本によって実際とは異なる「キャラ」を演じる主人公たち。やがて無理やりに番組を卒業させられるメンバーが出てきて…という話です。登場人物たちの言動にはけっこうイライラさせられることもあるのですが、それも青春という感じ。

放課後のゲームフレンド、君のいた季節

一巻で完結。MMORPGを通して始まる廃ゲーマー同士の恋。甘々な展開にニヤニヤしていると、やがて不穏な雲行きに…ラストは賛否が分かれるかもしれません。ちなみに作中で登場するゲームは、同作者の別作品の舞台だったりします。

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 (ファミ通文庫)

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 (ファミ通文庫)

二巻で完結。超然としていて、クラスの中で浮いている少女と、地道に仲良くなっていく主人公たち。しかし、彼女には秘密があって…という、ちょっとオカルティックな恋愛もの。刺激的な展開はありませんが丁寧な良作です。

二度めの夏、二度と会えない君

二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)

二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)

夏といえばタイムリープだ!…というわけで、難病+ロックバンド+やり直しという青春恋愛もの。一巻で完結。ヒロインと出会った日に戻って、彼女との思い出を追体験していくという、ベタと言えばものすごいベタな話なんですが、何が驚きかってこれを書いたのが『下ネタが存在しない退屈な世界』の作者だということなんですよね。この落差よ。

あの夏、最後に見た打ち上げ花火は

あの夏、最後に見た打ち上げ花火は (ガガガ文庫)

あの夏、最後に見た打ち上げ花火は (ガガガ文庫)

夏といえばUFOだ!…というわけで、田舎町を舞台にしたボーイミーツガール。謎の少女の正体を探っていくうちに、昔の小説と現在の状況がリンクしていきます。はたして過去に何があったのか。良くも悪くも新人らしい荒削りな作品で、スマートな『二度めの夏〜』と好対照な感じです。この作家は「小説家になろう」で投稿もしていた人で、『シュガー・シュガー・シュガー(!)』も北海道の大学を舞台にボカロPを主人公にした話で面白かったです。

夏の終わりとリセット彼女

夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫)

夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫)

夏といえば記憶喪失だ!…というわけで、ダメ人間の主人公とクソ真面目なヒロインが付き合うことになった…と思ったら、彼女が記憶喪失になってしまうという話。一巻で完結。記憶を失う前の彼女はどうして自分に告白してきたのだろうか、彼女は本当に自分のことが好きだったのだろうかと、主人公が悩みながらも関係を再構築していく。第1回ライトノベル・フロイントライン大賞にも選ばれていましたね。

俺より強いあの娘を殴りに行く

俺より強いあの娘を殴りに行く (ファミ通文庫)

俺より強いあの娘を殴りに行く (ファミ通文庫)

「小説家になろう」発の作品は異世界転生だけじゃないんだぜということで、こちらはゲーセンを舞台にした青春小説。タイトルから分かるとおり某格ゲーが題材になっています。昔からゲーセンやゲーマーを題材にしたラノベは名作揃いで知られていますが、その系譜に連なる作品と言えるでしょう。

あじさいの季節に僕らは感応する

一巻で完結。どこの誰ともわからぬ少女の五感を「共有」してしまうという、不思議な能力を持った少年が、その少女と出会うところからはじまるボーイミーツガールもの。伝奇っぽさオカルトっぽさを多分に含んでいる超能力ジュブナイル。わりと懐かしい感じではないでしょうか。

未来/珈琲 彼女の恋。

未来/珈琲 彼女の恋。 (GA文庫)

未来/珈琲 彼女の恋。 (GA文庫)

未来から自分の娘がやってきて様々な騒動を巻き起こす…という感じのファミリーコメディ。ファザコンな双子姉妹が可愛らしいのはもちろん、主人公とヒロインの愛の強さが良いんですよね。文字通りの意味での正妻力…いや、母親の力か…。

愚者のジャンクション

前後編で完結。同じ部活の仲間が殺された事件の謎を追うサイコサスペンス。登場人物は主人公も含めて異常者ばかり。誰も彼もが黒幕に見えてくるような狂った状況。主人公は追い詰められ、やがて暴走していきます。後編では、同じ事件が別の視点から描かれるという仕掛けになっております。

サディスティックムーン

感情の希薄な主人公を行動力に溢れるヒロインが振り回すラブコメ…というとありがちな設定に聞こえるかもしれませんが、この作品は恐ろしくおぞましい何かですよ。他人の復讐に勝手に首を突っ込んでは、あまりにも、あまりにも凄惨な仕打ちを行うという、本当に狂っているとしか言いようがない傑作。大好きです。

ようこそ実力至上主義の教室へ

就職率100%と評判のその学校は、充実した施設に10万円のお小遣いが支給され、ガリ勉を強要されることもない夢のような環境だ…と思ったらやっぱり罠でした、という話。いや罠と言っても、「校内で殺し合いじゃー」みたいな怖い展開ではありませんが。クラスメイト同士で協力しあって這い上がろう、という話になります。

パラダイスレジデンス

パラダイスレジデンス1 (講談社ラノベ文庫)

パラダイスレジデンス1 (講談社ラノベ文庫)

月刊アフタヌーンで連載されている藤島康介の漫画作品のノベライズ。作者はあの野梨原花南ですよ奥さん。原作漫画も読んだことがあるんですが、女子校のおとぼけ日常系といった感じの原作と比べると、こちらは少女たちの様々な心の機微をより深く描いている感じ。漫画と小説という媒体の違いを感じさせます。

こうして魔女は生きることにした。

こうして魔女は生きることにした。 (ノベライドル)

こうして魔女は生きることにした。 (ノベライドル)

竹達彩奈ボイスのバーチャルアイドルが小説を書いている」という面白コンセプトのラノベレーベル「ノベライドル」からこちらの作品。天才作家に振り回される見栄っ張りな少女を描いた切ない青春ストーリー。ちなみに自分が読んだもう一つはアメコミ風のダークヒーロー学園アクションでした。これほど作風が違う小説を書き分けるなんて、ふみのんはやっぱりすげえぜ。




かなり疲れましたが、これで30作品です。

改めて強調しておきますが、これらは、この数年のあいだに私が実際に読んで、その中でオススメのものだけを、しかも30作品に絞って紹介しているに過ぎません。

「非ファンタジー」「非異能バトル」なライトノベルはいくらでもあるのです、と声を大にして主張したいところです。

もちろんファンタジーや異能バトルだって元気ですけどね。

今は十年前と比べても、ラノベ全体の刊行数は増えており、また続々と隣接領域へと進出していったこともあって、より幅広いジャンルがカバーされていると感じます。

「どれも同じように見える」と諦めたりせず、是非ともお好みのラノベを探してみてください。よろしくお願いします。


追記。
紹介するのを忘れてた。ラノベ読者による人気投票イベントが半年ごとに行われています。作品選びの際にはそちらも参考にしてください。そして次回には投票も!

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