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「谷川流褒めちぎり計画」の前置き

涼宮ハルヒ』というシリーズを「『消失』以前・以降」ではなく「『憂鬱』以前・以降」と分類します。受賞作である『憂鬱』を執筆した時点では、あとのことなど考えていなかっただろうからです。『涼宮ハルヒ』シリーズは『憂鬱』で完膚なきまでに終わっていて、そこから続けるための基礎構築が『溜息』で、基礎完成が『消失』です。であるからして、『憂鬱』と『憂鬱以外』を明確に分けちゃったほうがいいと思います。

涼宮ハルヒのドーナツ

まず、物語に登場するキャラクターを「干渉者」と「観察者」という二つに分類して、それを図に描いてみます。


たとえばミステリにあてはめると、こうなります。



赤い●が干渉者、青い●が観察者。そしてそれを囲む大きな○がキャラクターの階層、黄色い部分が「物語の起こる範囲」というふうになります。


つまり。


中心の赤●は探偵さん。彼らは積極的に「事件」(=黄色い部分)に干渉する「干渉者」。その隣の青●は助手さん。事件を観察してメモったりしている「観察者」。その二つの●の周りにある●は事件の関係者で、そのうちの一つが「干渉者」、つまり犯人さんです。


さて本題。
上のモデルを『涼宮ハルヒ』シリーズの『憂鬱以外』に当てはめてみます。



中心の周りにある4つの赤●は、キョンと長門と古泉とみくる。さらにその周りの●のうち、青いものが喜緑さんとか森さんとかみくる(大)とかの「穏健派」の人たち。まあ、みくる(大)とかは結構ストーリーに手を出したりしてますが。そして赤い●がナイフ委員長*1とか誘拐少女とか未来少年とかの「過激派」の人たちです。黄色の外にある3つの青●は情報統合思念体とか大元の未来人とか超能力組織とか。


そして中央の青●がハルヒです。


結局のところ、ハルヒは物語の傍観者です。実際に物語を紡いでいるのはキョンたちであり、ハルヒは黄色い部分――「物語」に入れてもらえない観察者に過ぎないのです。


なんとかしてドーナツを食べようとするハルヒに対して、キョンたちは必死にハルヒの目からドーナツを隠している。自分の周りでみんながドーナツが食べているのに、ドーナツがあることを知らされず、それでも見えないドーナツを求めている可哀想なキャラがハルヒなのです。


だから、『涼宮ハルヒ』の物語を語るにあたってハルヒに焦点をあわせるのはなんか違うような気がするんですよね。『シャーロック・ホームズ』の語り手はワトスンで、主人公はホームズです。しかし、『涼宮ハルヒ』の語り手はキョンで、主人公もやっぱりキョンなんですよ。

*1:アニメではもう登場したの?

20××年憂鬱な旅

20××年。都市はコンピュータの管理下に置かれ、人々は息苦しい生活を送っていた。平凡な高校生・ジョン=スミスはある日、道端に捨てられていた女性型ロボット『N-GA10』を拾う。それが人間とロボットの奇妙な同居生活の始まりだった――。禁断の愛を描いたSFラブストーリー!


における「都市管理コンピュータ」がハルヒ