ブログの場合
ブロゴスフィアでの論争は、基本的には一騎打ちです。ブロガーたちは自分のハンドルネームとプロフィールを公開し、エントリにパーマリンクを用意し、挑戦状代わりにトラックバックを送ってから、正々堂々と決闘します。それを見てブックマーカーたちは好き勝手なことを言いますが、あくまで野次程度のもので、彼らが闘技場まで降りることはありません。当事者間のことは当事者間で解決すべし、というスタンスです。
2chの場合
いわゆる2的空間*1では決闘は行われません。2ちゃんねらーはいちおう闘技場に上りますが、彼らは対戦相手を言い負かすことよりも観客席へのアピールを熱心に行います。たとえばそれらしいソースを用意してみたり、あるいはガイドラインによって相手の論理を詭弁っぽく見せたり。最終的には、より多くのROMを納得させた方が勝ちとなります。対戦相手を言い負かす必要はなく、2的空間での審判はROMの人たちに委ねられています。書き込みを読んでどう思うかは読者にお任せ、というスタンスです。
炎上した場合
さて、近頃はこの二つの空間が接近しすぎて、「2的空間のROMたち」が「ブロゴスフィアの闘技場」に乱入してしまうことがあります。それが「炎上」というやつです。このときの「2的空間のROMたち」はネットイナゴと呼ばれますが、彼らは大勢でやってきて、基本的にネガティブな、内容の薄いコメントを書き込んでいきます。
なぜネットイナゴが発生するのかと言えば、それはブロゴスフィアと2的空間の作法の違いに因ります。
ブログ上で発生した問題は、ブロガーにとっては「自分と相手」の問題ですが、ネットイナゴにとっては「自分たち」の問題となります。ですから、ブロガーが問題を自己解決しようとすると、「おいおいちょい待て俺たちは納得してない」となるのです。ブロガーはそれを「決闘に横槍を入れられた」と思うかもしれませんが、ネットイナゴからすれば「問題の是非は自分たちで決める」というのが当たり前なのです。
ネットイナゴたちの書き込みは、「俺はまだ納得してないぞ」というアピールに過ぎません。単なるアピールですから、既出の意見でも平気で書き込みますし、「おまえ最悪だな」くらいの内容でも十分なわけです。そして、ブロガーが自分たちを納得させるまで*2、ネットイナゴたちはコメント欄で「納得していないぞ」とアピールし続けるのです。