簡単にまとめてみた。
このあたりも参考に。
これまでのライトノベル定義論の超大雑把な流れ - WINDBIRD::ライトノベルブログ
「大人向けラノベ」の誕生 - WINDBIRD::ライトノベルブログ
2004年10月 有川浩『空の中』がハードカバーで刊行される
有川浩は電撃小説大賞を受賞して『塩の街』でデビューしていたラノベ作家。電撃文庫にとって、これが最初のハードカバー作品というわけではないが*1、メディアワークス文庫へ直接的に繋がる動きとして、とりあえずここを起点としたい。以降、「富士見Style-F」などハードカバーのラノベが流行り、また「越境」と呼ばれたようなラノベ作家の一般文芸への進出も活発になっていく。2006年2月 有川浩『図書館戦争』のヒット
この作品を輩出したことをもって電撃文庫のハードカバー路線は成功に終わったと言っていいのではないだろうか。これに加え、2007年桜庭一樹『私の男』とそれによる直木賞受賞、2009年冲方丁『天地明察』のヒットといったあたりで、ムーブメントとしての「越境」は頂点に達した感がある。以降はあえて「越境」と言うこともなくなった。2009年12月 「メディアワークス文庫」創刊
ライト文芸史の画期をなす。メディアワークス文庫は電撃文庫編集部が担当し、電撃文庫の作家が書いた作品、電撃小説大賞への投稿作品が刊行されており、いわば「電撃文庫の副業」とも言えるレーベルである。その上であえて「ライトノベルではない」*2と宣言し、書店においてラノベとは別の棚を開拓することに成功した。
2011年3月 三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』のヒット
電撃ハードカバー路線における『図書館戦争』の立ち位置に近い。この作品によってメディアワークス文庫が軌道に乗り、それを見た他社もこの分野に参入していくことになる。2011年11月 「富士見ラノベ文芸大賞」創設
「ラノベ文芸」という概念が提唱される。要するに富士見版メディアワークス文庫である。
2012年7月 「キャラ立ち小説」
「ラノベとも違う! 今人気の“キャラ立ち小説”とは? | ダ・ヴィンチWeb」にて提唱された。
“キャラクター小説”というジャンルを知っているだろうか。かつては“ライトノベル”と同義だったが、今、一般文芸作品にライトノベルの手法をうまく盛り込んでキャラクターを立たせた“キャラ立ち小説”が読者を強くひきつけているのだ。『ダ・ヴィンチ』8月号では今、大注目のキャラ立ち小説を大紹介。
として『ビブリア古書堂の事件手帖』『彩雲国物語』『図書館戦争』『万能鑑定士Q』などが挙げられている。「ダ・ヴィンチ」はカドカワ系列の雑誌。
2012年8月 岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿』のヒット
『ビブリア』に続いて「お店もの」のミステリがヒット。二匹目のドジョウが捕まったなら本物だとばかりに「あやかしカフェのほっこり事件簿」と称される同系統の作品が増えていくことになる。2012年9月 「ヒーロー文庫」創刊
http://bukure.shufunotomo.co.jp/hero/
アルファポリスやイーストプレスといった先発組を別にすれば、フェザー文庫に次いでWeb小説の書籍化ブームの草分けとなる。ちなみに編集者が一人だけで切り盛りしていることでも有名。
2012年9月 「キャラノベ」
「マンガのような主人公が活躍、「キャラノベ」が人気のワケ|NIKKEI STYLE」にて提唱された。
「キャラノベ」とは、エンターテインメント小説のなかでも、読みやすい文体や言葉遣いで書かれ、舞台や人物がマンガ的に誇張されている作品のこと。
として『謎解きはディナーのあとで』『ビブリア古書堂の事件手帖』『舟を編む』『三匹のおっさん』などが挙げられている。呼称としては、一時は定着しつつあったが、現在は後発の「キャラ文芸」「ライト文芸」に押され気味。
2013年3月 「角川書店キャラクター文芸編集部」が発足
「キャラクター文芸」という概念が提唱される。それ以前から角川文庫で発売されていた『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』『ハルチカシリーズ』『ホーンテッド・キャンパス』といった作品を統括する編集部、ということなのだろうか。いまだによく分かっていない。以降、メディアで「キャラ文芸」という言葉が使われるようになる。
『ビブリア古書堂の事件手帖』に続く大ヒット作は出るか? いま「キャラクター文芸」がアツい | ダ・ヴィンチWeb
小説とラノベを分けるのはナンセンス!? 人気の「キャラ文芸」とは何か?【識者解説】 | ダ・ヴィンチWeb
【広角レンズ】大人向け「キャラ文芸」台頭 ライトノベルと一線 文庫品揃え厚く(1/4ページ) - 産経ニュース
2013年9月 「MFブックス」創刊
創刊時に「30代~40代男性に向けたエンターテインメント小説」と銘打たれたWeb小説系のレーベル。私も当時は「その年代がターゲットなのにWeb小説ってどうなんだ」と思っていたが成功を収めた。すみませんでした。
「小説家になろう」の読者層は若い方が中心なんですが、そこから書籍化されたものを購入するのは年齢層が高い方が中心なんですよね。
ラノベと何が違うの? 大人向けエンタ小説レーベル創刊!! | ダ・ヴィンチWeb
このあたりからWeb小説系の単行本レーベルが大きく増加し、また「大人に向けたライトノベル」という一点において、Web小説系レーベルとメディアワークス文庫あたりとが一括りに見られるようになる。
2014年6月 富士見L文庫創刊
「富士見ラノベ文芸大賞」の成果と言える。このあたりから「新潮文庫nex」「集英社オレンジ文庫」「講談社タイガ」など、メディアワークス文庫のフォロワー的なレーベルが急速に増加していく。
2014年10月 「ライト文芸」
2015年に創刊された集英社オレンジ文庫のプレスリリースにて提唱された。
近年、出版業界で活況を呈しているのが「ライト文芸」「キャラノベル」と呼ばれる作品群。
「ライト文芸」に特化した文庫レーベルが集英社から登場!! 集英社オレンジ文庫2015年1月20日(火)創刊!! | 株式会社 集英社のプレスリリース
漫画やライトノベルで育った世代の読者は、物語に出てくるキャラクターの魅力に敏感です。
「ライト文芸」と呼ばれる…とあるが、これ以前に「ライト文芸」と呼ばれた作品・レーベルはたぶん無いはず。
http://www.asahi.com/articles/DA3S11704883.html
2015年2月 「小説家になろう大賞」が「ライト文芸新人賞」に改称
http://mfbooks.jp/award/02/lp.html
「小説家になろう大賞」は、MFブックスとアリアンローズが「小説家になろう」とタイアップして開催していた新人賞だったが、それが「ライト文芸新人賞」に改称された。Web小説系のレーベルが明確に「ライト文芸」を名乗ったのはこれが初めてだと思われる。
2015年9月 「新文芸」
メディアワークス文庫系を「キャラ文芸」などとして推し進めてきたカドカワが、じゃあWeb小説系をなんと呼ぶのかで「カドカワBOOKS」創刊にあわせて捻りだしてきたのがこの「新文芸」。
我々の定義する「新文芸」とは、UGCと呼ばれる、ネット上で発表された作品を書籍・電子書籍化して出版する小説の総称であり、これが従来の一般文芸とは明確に異なる点です。いわゆるネット小説やボカロ小説、フリーゲームの小説化といったものがこのジャンルに含まれます。
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「ウェブ文芸」くらいのほうが分かりやすくて良いんじゃないかという気もする。