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ライトノベルネタブログ

「ギャップ萌え」の功罪

「萌え」という言葉が一般に普及したのはいつ頃からだっただろうか。
Wikipediaによると『電車男』がヒットした2005年前後のようだ。
私の体感としてもそのくらいだったと思う。

さて、一般人に対して「萌え」を説明するとき、あなたはどうするだろうか?
2005年ごろ、ちょうどブームになっていた概念がある。

それが「ツンデレ」!

人々はこの「ツンデレ」を例に挙げて「萌え」を説明した。
「ツンツンしていた子がデレデレしはじめたらギャップがあって可愛いだろ? その気持ちが萌えだよ!」
みたいな。

このような例示とともに「萌え」文化は普及していった。
「ギャップ萌え」の分かりやすさがオタクの地位向上に貢献したと言っても過言ではないだろう。

しかし!

「ギャップ萌え」があまりにも分かりやすかったために、すっかり「萌え=ギャップ萌え」と勘違いされていないだろうか!?

姉は何故かぐーたら!
妹は何故かしっかり!

かっこいいヒロインは実は可愛いもの好き!
かわいいヒロインは実は腹黒!

ぶっきらぼうな女性は意外に優しく!
頼りない女性ほど意外にしたたか!

あまりにも定番すぎてすっかりお約束と化してしまったギャップ萌え。
もはやどこに「ギャップ」が残っているというのか。

特にかっこいいヒロイン=可愛いもの好きとか100%くらいの確率じゃないですか?
もっとかっこよさを貫きとおしたヒロインを見たくないですか?

正統派があってこそ、たまのギャップがまた映える!

というわけで、私はギャップに囚われないヒロインを待っています。
よろしくお願いします。

ライトノベルは月に200冊発売されています

ということでアンケートを取りました。

所詮はTwitterアンケートなのですが、やはりライトノベルの規模を小さく見積もっている人はそこそこいるのでは?と思ったので、そのあたりについての解説をさせていただきます。

まず最初に断っておきますが、これは「200冊も出ているのだからせめて100冊くらいは読め」といったような話ではありません。

いまから書くのは「規模感を把握してくれ」という話です。

たとえば2018年6月に国内で発売されたゲームは98本。
https://www.famitsu.com/schedule/calendar/all/2018/06/-/

2018年7月期に新しく始まるテレビドラマは44本。
https://thetv.jp/program/selection/251/

2018年6月に公開された映画は95本。
https://www.cinematoday.jp/movie/release/201806?format=text

2018年夏アニメは64本。
https://anime.eiga.com/program/

2017年に発売されたコミックスは1万2461点だから月あたりで約1000冊。
https://twitter.com/ryou_takano/status/968710298663378945

大昔ならいざしらず、さすがに現在では『ONE PIECE』や『進撃の巨人』あたりしか読まずに「最近の漫画は暴力的な作品ばかりだ」などと語り出す人もいない…めったには…そこそこいるかも…まあ、いないということにしておきましょう。

一方で、週刊少年ジャンプの現行連載は21作品。まあ半分の10作品くらい読んでいれば、「最近のジャンプは」などと語っても、よほど的外れでなければ許されるのではないでしょうか。

このように多くの人は「自分が知っている作品数」と「全体の作品数」を感覚的に照らし合わせて、適切な「話題の大きさ」を選択します。

ところがライトノベルの場合は、まだ多くの人にとって馴染みが薄いために「全体の作品数」を誤認したままで語り出すので、決定的に「話題の大きさ」を間違えてしまうのではないかと思うわけです。

というわけで、2018年6月に発売されたライトノベルは222点です。

ソースはラノベ読み御用達の「ラノベの杜」です。いつもありがとうございます。
http://ranobe-mori.net/db/release/2018

もちろんライトノベルの定義は明確に定まっていませんからこの数字は上下します。

細かい数字を見ていきましょう。

「男性向け文庫(86点)」はそのまんまですね。「電撃文庫」や「富士見ファンタジア文庫」などの男性向け文庫レーベルを指します。右側にレーベル別の刊行点数も出ていますね。電撃文庫なんて一時期は月20点近く出していたんですが、近年は月10点程度に落ち着いています。そのぶん同じ編集部でメディアワークス文庫もやってるんですけどね。

同じく「女性向け文庫(21点)」も「コバルト文庫」や「角川ビーンズ文庫」などの女性向け文庫レーベルを指します。コバルト文庫がいまや月1・2点しか出ていないのが悲しいところですね。こちらも姉妹レーベルのオレンジ文庫に重心を移している感じです。

「男性向け単行本(71点)」は、MFブックスカドカワBOOKSのような、主に「なろう系」の書籍化レーベルです。文庫ではなく四六判サイズで出ているやつですね。もちろん文庫で出ている「なろう系」もありますが、大半はこういった単行本レーベルから刊行されているのが現状です。

「女性向け単行本(10点)」も、概ね「なろう系」のレーベルです。

「一般文庫(34点)」は、「メディアワークス文庫」や「富士見L文庫」などの、「ライト文芸」「キャラ文芸」「キャラノベ」と呼ばれるあたりですね。

さらに、この222点以外にも「ライトノベル的」な作品は出ていますし、
http://ranobe-mori.net/label/else/

美少女文庫二次元ドリーム文庫のような「ジュヴナイルポルノ」と呼ばれる作品や、
http://jp.ranobe-mori.net

BL小説もあります。
http://bl.ranobe-mori.net

ライト文芸ライトノベルに含まれるのか、ジュヴナイルポルノはライトノベルなのか、といった定義論はさておき、「だいたいそのくらいの規模なんだな」と感じていただければそれで結構です。

かつてのライトノベルは、「ファンタジーノベル」などと呼ばれていたこともあるようにミステリやSFのような「ジャンル小説」の一種、あるいは児童文学やヤングアダルトのような「読者年齢の区分」のひとつにすぎなかったかもしれませんが、現在では多様なジャンルと幅広い年齢層を抱える「漫画」のようなプラットフォームに近づいているように思います。

漫画の刊行点数の1/5ですから、まだまだ偏りは大きいですが、それでも、たかだか数作品から全体を説明できるものでもなければ、「昔と違って同じような作品ばっかり」になるようなものでもないのです。

そこのところ何卒ご理解よろしくお願いいたします。以上です。



「そんなに多いんじゃ何を読めばいいかわからない」という方へ。

当ブログではさまざまにオススメを紹介していますので参考にしてください。
kazenotori.hatenablog.com

「おまえのオススメなんて当てにならん」という方には、ラノベ読者の人気投票である「好きラノ」だとか、
lightnovel.jp

毎月開催の「ラノベニュースオンラインアワード」なんてのもあります。
ln-news.com

おそらくラノベ関係では最も知名度が高いであろうムック「このライトノベルがすごい!」も現在Webアンケートを受付中でして、11月に発売されるはずですので楽しみにお待ちください。
questant.jp

もっとSFが読みたい! 俺もSFライトノベル10作品をオススメする!

今回の記事はこちらにインスパイアされております。
blog.livedoor.jp

ストライクフォール

円環少女』『BEATLESS』の長谷敏司の新作。
人型ロボットに搭乗し、宇宙空間を超高速で飛び回りながら戦う架空のスポーツ「ストライクフォール」、速度と慣性に支配されたこのスポーツに「慣性制御」という新技術が持ち込まれたら…? 野球でもサッカーでもバスケでも、既存の戦術を革新的な新戦術が打ち破る瞬間というのは何にも代えがたい興奮があると思いますが、それを架空のスポーツの架空の戦術で完璧にやりとげている、という点にこの作品の凄みがあるんですよね。

86 -エイティシックス-

86―エイティシックス― (電撃文庫)

86―エイティシックス― (電撃文庫)

「帝国」が開発した無人兵器が暴走し、人類を四分五裂に追い詰めている世界。サンマグノリア共和国は自国で開発した無人兵器によってそれに対抗していたが、実のところそれは「無人兵器」に「人でないもの」――エイティシックスと呼ばれる被差別人種の少年少女たちを搭乗させていたのだった。凄惨な戦争SFであると同時に、ニヤニヤが止まらないボーイ・ミーツ・ガールでもあります。

月とライカと吸血姫

現実の宇宙開発競争を下敷きにした清々しいボーイ・ミーツ・ガール。人類初の有人宇宙飛行を前に、ロケットに人間を乗せて安全性を確かめたい、そうだ「人でないもの」を乗せればいいじゃないか、というわけで「吸血鬼」の少女が連れてこられる。何故か『86』とネタが被っているという偶然の一致が面白いですが、ぜんぜん違う話なので読んでみてください。コミックDAYSに掲載されている漫画版もめちゃくちゃ出来が良い。

世界の果てのランダム・ウォーカー

世界の果てのランダム・ウォーカー (電撃文庫)

世界の果てのランダム・ウォーカー (電撃文庫)

超科学を誇る空中都市から、文明の未熟な地上へ派遣される「調査官」のコンビを描いた、『キノの旅』的な連作短編集。地上の都市の文明度はバラバラで、古代の宗教国家的なものもあれば、VRが発達した近未来的な都市もあり、それぞれのお話にゾクッとするようなアイディアがあります。破天荒な上司とそれをフォローする生真面目な部下、という主役コンビの掛け合いも面白い。

偽る神のスナイパー

偽る神のスナイパー (ガガガ文庫)

偽る神のスナイパー (ガガガ文庫)

蘇った死者「レヴナント」によって地上を追われ、海上に造られた都市でかろうじて暮らしている人類。主人公・吹芽は、少女のカタチをした超兵器と出会ってそのマスターとなり、レヴナントと戦う「埋葬官」と呼ばれる部隊の一員となる。極めて絶望的な状況で、少年少女たちがカッコいい兵器を振るって戦う、近未来バトルアクションです。

ハル遠カラジ

ハル遠カラジ (ガガガ文庫)

ハル遠カラジ (ガガガ文庫)

ほとんどの人類が消え去った世界で、生き残りの少女・ハルと、その保護者である軍用ロボ・テスタの旅路が描かれる。ちょっと流行ってる気がしますよねポスト・アポカリプス。人間と機械のあいだで結ばれる家族の絆。「精神病」に蝕まれる人工知能。遠くない将来に示唆される別れ。そして明かされる過去。心が熱く、切なくなる物語です。

ひとりぼっちのソユーズ

幼い少年は、隣の家に引っ越してきた少女と仲良くなり、「付随するもの」――スプートニクと呼ばれるようになる。人工衛星のようにいつも彼女と一緒にいて、わがままな彼女に振り回され、ときには喧嘩をして、遠く離れて、それでも自分にとって特別な少女のために、やがて少年は宇宙飛行士を目指すことになる。美しい物語です。これ絶対に新海誠監督でアニメ化してほしいんですよね。

暗殺拳はチートに含まれますか?

暗殺拳はチートに含まれますか? ~彼女と目指す最強ゲーマー~ (ファンタジア文庫)

暗殺拳はチートに含まれますか? ~彼女と目指す最強ゲーマー~ (ファンタジア文庫)

VRゲームものはSFでしょ? そうだSFだ。SFに間違いない。というわけで、VR格闘ゲームの有力プレイヤーである主人公が、「暗殺拳」を習得した少女と出会い、その恋人となってVR格ゲーの世界へと導いていくというアクション&ラブコメ。まあ恋人にしては奥手で初々しい二人なんですが、そのゲームにかける情熱、対戦相手との一瞬の駆け引きに費やされる熱量は本物です。

青春デバッガーと恋する妄想 #拡散中

青春デバッガーと恋する妄想 #拡散中 (電撃文庫)

青春デバッガーと恋する妄想 #拡散中 (電撃文庫)

AR(拡張現実)が普及した秋葉原。周囲にいるオタクたちの深層心理が、その拡張現実に干渉してバグを発生させることを知った主人公は、彼女らの悩みを解決するために奔走することになる。というわけで「青春デバッガー」なんですね。シュタゲを思わせるような賑やかで楽しくてちょっと切ない青春ストーリー。旭蓑雄といえばデビュー作からSFスメル溢れる奇作を連発している鬼才。他の作品もおすすめですよ。

ドリームハッカーズ コミュ障たちの現実チートピア

ドリームハッカーズ コミュ障たちの現実チートピア (電撃文庫)

ドリームハッカーズ コミュ障たちの現実チートピア (電撃文庫)

インプラント・デバイスによる電脳技術が普及した近未来。地の文では威勢のいいこと言いながらリア充にパシリにされてるクズ主人公が、イジメの復讐のために電脳をクラックしようとするという話。しかしこれは決してスカッと終わる復讐譚ではないのです。出てくるキャラはサイコばかり。エゲツない展開に読者はドン引き。電撃が生んだもうひとりの鬼才・出口きぬごし。この恐ろしさはもっと知られるべきだと思います。そして続編を!

以上、10作品でした。
みんなでどんどん買ってSFラノベを増やしていきましょう!