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ライトノベルネタブログ

これさえ読めば定義論も安心! ライトノベル周辺マップ!

ライト文芸だのキャラノベだの新文芸だの、いろんな呼び名が次々に出てきてわけわかんない、いったいぜんたいどーなってんのー!という声にお応えして、最近のラノベがどうなってるのか大雑把に解説しちゃうよというコーナーです。

まあ基本的に主観なので、補助線程度に受け止めて、あとは自分の目で確かめろ、というスタンスでお願いします。

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Inkarnateっていうファンタジーみたいな地図がつくれるサイトを利用しました。だんだん楽しくなっちゃって、あれこれ国名っぽく書いたり、意味もなく船とかタコとか追加したりしてしまった。

ライトノベル

さて、「ライトノベル」の特徴といえば、それは「小説王国」と「オタク連邦」の交易中継点であることだと思うんですよね。

しばしば「ライトノベルは小説ではなく漫画の仲間だ」などと言われますが、それは半分正しく、半分間違っていて、ある視点から見たときライトノベルは間違いなく「小説王国」の一地方にすぎませんが、別の視点では漫画・アニメ・ゲームと並ぶ「オタク連邦」の一員でもあるのです。

という意味を込めて地図では「ライトノベル公国」などとしてみました。封臣でありながら独立国。ノルマンディー公国的な。

細かいところを解説していきましょう。

少年向けラノベ

ライトノベルの中心地域であり、「最狭義のライトノベル」の範囲と言っていいでしょう。レーベルとしては電撃文庫角川スニーカー文庫富士見ファンタジア文庫MF文庫Jファミ通文庫小学館ガガガ文庫講談社ラノベ文庫集英社ダッシュエックス文庫GA文庫HJ文庫などがあります。

少女向けラノベ

こちらはちょっと複雑です。近年はアニメ化も少ないためかオタク側からは「少年向けラノベだけがラノベだと思ってた」と勘違いされることがあったり、あるいは小説側からは「あれは古くから『少女小説』と呼ばれているものであってラノベの一部ではない」などと言われてしまったりします。でもまあライトノベルです。レーベルとしては、集英社コバルト文庫角川ビーンズ文庫ビーズログ文庫などがあります。

ジュヴナイルポルノ

アダルト向けのライトノベルのことです。「エロライトノベル」だとか「アダルトラノベ」だとか「ライトアダルトノベルス」だとかいろいろ別名があります。レーベルとしては美少女文庫二次元ドリーム文庫が代表格ですが、近年は「小説家になろう」のアダルト版である「ノクターンノベルス」からの書籍化が増加しており、後述の「新文芸」と同様にWeb小説専門のレーベルが増えています。実はジュヴナイルポルノの大半は18禁ではないので中高生でも買えます。

ボーイズラブティーンズラブ

主に女性向けのカテゴリで、ボーイズラブは男性同士の恋愛を描いたもの、ティーンズラブは性行為の描写がある大人向けの作品となっています。ジュヴナイルポルノとして扱われることは少ないです。

新文芸

「新文芸」とは、カドカワが提唱した分類で、「ネット上でユーザーが生成したコンテンツを書籍化したもの」となります。要するに「小説家になろう」や「カクヨム」から書籍化された作品のことです。ついでに言うと、VOCALOID曲を小説化した「ボカロ小説」や、フリーゲームを小説化した「フリゲ小説」なども、実は新文芸に含まれます。

まあ読者のあいだでは全く知られていない呼称なのですが、書店ではそこそこ広まっているようなので、Web系の小説を探すときは「新文芸」という棚を探してみると良いかもしれません。絶対「ウェブ文芸」とか「ネット文芸」とかのほうが分かりやすいよなあ。

レーベルとしてはカドカワBOOKSMFブックス、アース・スターノベル、GCノベルズ、TOブックス、レジェンドノベルスなどがあり、アルファポリスエンターブレインから刊行されるノンレーベルの単行本もあります。「ブックス」「ノベル」「ノベルス」「ノベルズ」で統一してほしいですね。

新文芸は、その多くが四六判(文庫よりも大きめのサイズ)の単行本として、新文芸専門のレーベルから刊行されています。レーベルコンセプトとして「大人向け」を標榜することが多く、そのため後述の「ライト文芸」と混同ないし同一視されることもあるので注意が必要です(一時期、出版社の側から「ライト文芸」と名乗っていたという事情もある)。

関連:「ライト文芸/キャラ文芸/キャラノベ」等の定義と呼称の歴史 - WINDBIRD

ライト文芸

一般向けのライトノベル、ライトな一般文芸、どちらでもいいですが、「ライト文芸」「キャラ文芸」「キャラノベ」といった複数の呼称があり、おおむね同じ範囲を指しているものの、ときどき違う意味で使われたりするややこしいジャンルです。

レーベルとしてはメディアワークス文庫富士見L文庫集英社オレンジ文庫講談社タイガ、メゾン文庫などがあり、新潮文庫nex小学館キャラブン!のように一般向け文庫のなかのサブレーベルとして区別されたものや、あるいは区別されてなくてもそれっぽい作品はライト文芸という括りに放り込まれたりします。講談社ノベルスハヤカワ文庫JA角川ホラー文庫あたりもライト文芸に入ったり入らなかったり。

私のようなラノベ読者からすれば「新文芸」も「ライト文芸」もライトノベルの一部なのですが、小説王国の住人には「ラノベと一緒にするな」という人も多いので、とりあえず地図では色を変えて区別しています。ラノベ定義論のややこしいところですね。

児童文学

明確な定義はないようですが、ティーン未満に向けた小説=「児童書」、ティーンに向けた小説=「YA(ヤングアダルト)」とされることが多いのではないかと思います。「児童書」と「児童文学」は概ね同じ意味です。

児童書

特に、青い鳥文庫角川つばさ文庫あたりは、「ライトノベルのご近所さん」として語られることが多いです。

大多数の人はライトノベルと見做さないだろうが、作家や絵師が行き来していて密接な関係にはある、といった感じです。

YA(ヤングアダルト

レーベルとしてはポプラ文庫ピュアフルやYA!ENTERTAINMENTがあります。

ティーン向けの小説」という意味でYAとライトノベルは被るわけですが、この二つは一緒くたに語られることもあれば、分けて語られることもあるという、やはり微妙な立ち位置にあります。

アメリカでは「ライトノベル」がないために『トワイライト』も『ハンガーゲーム』もYAとして扱われているようです。

ジャンル小説

ジャンル小説とは「ミステリ」や「SF」といった物語のジャンルによる小説の分類のことです。もちろん、ライトノベルにも一般文芸にも児童文学にも、ミステリやSFは存在しているわけで、本来であればその総体を「ジャンル小説としてのミステリ」「ジャンル小説としてのSF」として捉えるべきなのでしょうが、ここではもう少し狭い領域をイメージしています。

すなわち、ハヤカワ文庫や創元SF文庫/推理文庫、あるいは講談社ノベルスのように、そのジャンルに特化したレーベルがあり、そこに「SFファンダム」や「ミステリ論壇」といったファンコミュニティがくっついているような想定です。常連客が太い専門店みたいな感じでしょうか。

そのあたりの感覚にしたがって、今回の地図では「ジャンル小説」を島にしてみました。基本的には一般文芸の範囲に入りますが、ちょっと独立性が高くて、ちょっとライトノベルと親和性が高い、みたいなイメージです。

ライト文芸のところでもちらっと書きましたが、講談社ノベルスハヤカワ文庫JAへは昔からラノベ作家が出稼ぎに行ってますし、作品によっては完全にライトノベルとして扱われていたりしますよね。そういう意味では、児童文学以上にライトノベルと「近い」ところだと思います。

一般文芸

「一般文芸」ほど曖昧な言葉もなかなかありませんが、ラノベ読者としては「ラノベ以外の大人向け小説」くらいの漠然とした意味で便利に使わせてもらっています。とは言っても、ライト文芸の登場もあり、かつてないほどライトノベルと一般文芸の境界が曖昧になっていて、もはや区別する必要など無いのではないか、というところまで来ているようにも思えます。

「一般文芸」の意味で「純文学」という言葉を使う人がいますが、はっきり言うと間違いです。「純文学」は「大衆文学」とワンセットで使われる言葉で、大雑把に言えば、芸術性に重きを置いたものが純文学、娯楽性に重きを置いたものが大衆文学です。もちろん大衆文学と純文学の境界は曖昧ですが(笑)

とりあえず、司馬遼太郎東野圭吾宮部みゆき池井戸潤も大衆文学作家として扱われていますし、ライトノベルもまとめて大衆文学の括りに入ります。ちなみに直木賞は大衆文学、芥川賞は純文学の賞です。このあたりは意外に知る機会がなかったりしますが、覚えておくといろいろ捗ります。

まとめ

以上から、自分なりの「狭義のライトノベル」と「広義のライトノベル」の感覚を掴んでくれればいいなあと思います。

私はこんな感じです。

「異世界転生・転移もの」の略称というか通称を考える

異世界転生とは「現実世界で死んで異世界に生まれ変わる物語類型」、異世界転移とは「現実世界から異世界に移動する物語類型」のこととする。

「勇者として異世界に召喚されるもの」や「現実世界と異世界が接続されて行ったり来たりするもの」などもそこに含めることとする。

また「VRゲームが実体化するもの*1」や「転生した先が戦国時代であるもの*2」なども含めることとする。

…と長々と説明してみたが、この「現実世界から異世界へ移動する物語類型」のしっくりくる呼び方が無い。

「転生もの」「転移もの」だともう片方が含まれないし、いちいち「転生・転移もの」と書くのも面倒だ。

しょうがないから適切な呼称を考えてみよう、というのが、この記事の企図するところである。

異世界ファンタジー

「ちょっと待って、それって異世界ものとか異世界ファンタジーって言うんじゃないの?」と思った方もいるかもしれない。

しかし「異世界ファンタジー」というのは本来「異世界を舞台としたファンタジー」という意味でしかなく、転生や転移は必須要素ではないのだ。

『ロードス島戦記』は異世界ファンタジーではない……のかもしれない。 - 前島賢のラノベ以外

むしろ、この誤用が広まりつつあってややこしいので(文脈を考慮しても区別をつけづらい)、その意味でも早急に新しい呼称が必要なのである。

ちなみに「誤用を採用しろ」という意見には与しません。

なろう系

「じゃあ、なろう系でいいんじゃない?」という人もいるかもしれない。

しかし、最近の「なろう」では異世界転生の人気が下火となり、代わって最初から異世界の住人を主人公とした、いわゆる「現地主人公」の人気が高まっている。

また、転生ものでも「偉大なる魔法使いが転生の秘法を完成させて数百年後の世界に生まれ変わった」といったような「異世界異世界」の転生が増えており、これだと最初に提示した定義から外れてしまう。

「なろう系」という言葉は、概ね「なろうに掲載されている作品」あるいは「なろうで流行しているジャンル」といった意味であろうし、その「なろう」の流行はものすごいスピードで移り変わっていくので、特定のジャンルのみを指して「なろう系」と呼ぶのは不適切だろうと思うのである。

異世界トリップ

古くからある呼称だが、どちらかというと女性向けの作品で使われることが多い印象がある。

そして、ひとことで「転移」も「転生」も含められそうな感じがする。

ただ、「trip」とは「旅行」という意味なので、深く考えると「行って戻ってくる」タイプの転移しか指していないのではないか?と思ってしまう。

候補としては残しつつも、別案を模索することとする。

ナルニア

ナルニア国物語』のようなファンタジーを「ナルニア型」と呼ぶ。

基本的には「異世界トリップ」と同義であると思われるのだが、「異世界に行く」「異世界に迷い込む」「現実世界と異世界を往復する」あたりで人によって微妙に異なる用法がある気もする。

つまりこちらも「転生」が含まれるか分からないので保留にしておこう。

ちなみに転生や転移はハイファンタジー(=異世界ファンタジー)に含まれないと言う人もいるが、『ナルニア国物語』はたいていハイファンタジー扱いされるので、別にハイファンタジーでいいと思います*3

ISEKAI

海外でも「異世界転生・転移もの」は大人気で「ISEKAI」だけで通じてしまうらしい。

Isekai - Wikipedia

つまり、普通の異世界ファンタジーと区別して、転生・転移系だけを「ISEKAI」と呼んで区別することもできそうに思える。

ちなみにVRMMORPGもの「LitRPG(=LiteraryRPG)」と呼ばれているらしいぞ。

LitRPG - Wikipedia

ただ、二次創作小説界隈ではアルファベット表記が蔑称的な意味合いを持つらしく、たとえば衛宮士郎がコテコテの最強主人公になったものを「EMIYA」、比企谷八幡が最強になったものを「HACHIMAN」、めちゃくちゃな内政チートのことを「NAISEI」などと書いたりする。

よって「ISEKAI」も蔑称と勘違いされそうだという最大の弱点がある。

転世

異世界転生・転移」略して「転世」とかどう?っていう、これは私がいま考えたやつ。

ググったらグラブルとかで使われているらしいので、まったく突拍子もない言葉ではなさそう。

これは字面で「ああ、転生とかのことを指してんのね」ってわかるのがメリット。

デメリットは「上手いこと言ったつもりかもしれんがダサいぞ」って思われそうなところ。

というわけで

1. トリップ
2. ISEKAI
3. 転世

あたりを候補として、周囲の反応をうかがいつつ、普及を図っていきたいと思う。

*1:実体化しないVRゲームものはどう扱うべきだろうか。

*2:これは単なるタイムスリップやシュタゲのような並行世界移動も含むことになりかねないので検討を要するかもしれない。

*3:それを踏まえたうえでなおローファンタジーだと主張する人を止めようとは思わないが。

長文タイトル考

長いというだけでラノベのタイトルとAVのタイトルを一緒にするな!
同じ長文タイトルでもその性質の違いを見極めようじゃないか!
といった趣旨の記事です。

2時間ドラマの長文タイトル

愛妻を殺された刑事の執念!60km移動した変死体
満員のエレベーターで消えた容疑者か!? 全ての謎は瞬間移動!?

魔性の群像 - Wikipedia

死を呼ぶレジ係コンテスト!! 優勝候補が審査員を殺害!?
急に白髪になるアレルギーと割れた卵の謎

検事・朝日奈耀子 - Wikipedia

盗聴された殺人!! 容疑者声紋一致せず!? 焼き芋に謎!

京都南署鑑識ファイル - Wikipedia

はめられた男 不倫相手の女性を殺した!?
カメラに映らない逃亡者の謎 妻の証言で逆転法廷に!

事件 (テレビ朝日のテレビドラマ) - Wikipedia

2時間ドラマのサブタイトルが長いのは、ラテ欄に載せるための「あらすじ」だからですよね。本編の内容を適度に掻い摘みながら見どころを伝えています。映画の予告編などと性質が近いのではないでしょうか。

最大の特徴は、「60km移動した変死体」「死を呼ぶレジ係コンテスト」「焼き芋に謎」「カメラに映らない逃亡者」など、謎めいた単語が散りばめられていることです。こうした工夫によって「これはどういう展開なんだ?」と視聴者の興味を引こうというわけですね。

あ、最初に断っておくと、これは2時間ドラマのなかでも長めのサブタイトルをわざわざ探してきているのであって、短いサブタイトルもたくさんあるということはご留意ください。これ以降に挙げていく他のタイトルも同様です。「2時間ドラマは長いタイトルばかりwww」とか言ってると2時間ドラマ天狗に攫われてしまうので気をつけましょう。

ビーイング系の長文タイトル

このまま君だけを奪い去りたい

DEEN - Wikipedia

錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう

WANDS - Wikipedia

愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない

B'z - Wikipedia

いま見るとあんまり長くない気もしてきますが、長文タイトルの話題になると「ビーイング系」はよく挙がるので、やはり当時はインパクトがあったということでしょう。

ビーイング系の特徴は、すばり「歌詞の一部である」ということですね。すなわち、詩的な情感を垣間見せているだけで、どんな歌かを説明しているわけではない。タイトルを見ただけでは、その曲がロックなのかポップスなのか、アップテンポなのかバラードなのかは分からないわけです。

つまりビーイング系の曲名は「非あらすじ」的な長文タイトルと言えますね。

AVの長文タイトル

工場勤務で趣味はバイク 化粧っ気ないクールなおねえさんが巨根で陥落。むっつりドMの本性とガチイキっぷりを晒しちゃいました!

こっそり小悪魔淫語でアナタのチ○ポを寸止め焦らしエステサロン チ○ポと脳みそがとろける程のささやきVOICEで200%勃起してるのになかなかイカせてくれないみあの超密着快感エステ体験VR!!

夢の近親相姦 兄妹編 妹の発達したお尻!ミニスカからハミ出したパンチラに辛抱たまらずチ○コ突き立ててしまった。「お兄ちゃんパンティ破って入ってきそうだよ」って笑いながら小悪魔の誘い。親の目の届かない公衆トイレや図書館で挿入しちゃったよ~ん!

長え。AVはあらすじタイプの長文タイトルですね。しかも2時間ドラマよりも詳細度が上がっているように見えます。

思うにAVには「ネタバレがない」のではないでしょうか。2時間ドラマは「謎」を提示することで視聴者の興味を引いていましたが、AVではクールなおねえさんが実はむっつりドMであることが最初から明かされているのです。「クールなおねえさんが実は…!?」で寸止めするようなタイトルはあんまりない。

AVはかなり特殊なコンテンツですから、シチュエーションは事細かに説明してほしい、全ての展開が分かっていたほうが買いやすい、という視聴者の要望があるのかもしれません。

2ちゃんねるの長文タイトル

ゲーセンで出会った不思議な子の話

https://toro.5ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1326566620/

うまい棒配ってたら人生変わったでござるの巻

https://hayabusa3.5ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1328537904/

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない

https://yutori.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1195907887/

特にストーリー系スレのタイトルを並べてみました。

これらは「誰かに話しはじめるときの第一声がそのままタイトルになっている」…といった印象を受けます。あらすじタイプと言えばそうかもしれませんが、ものすごく詳細度が低いですよね。前提だけを示して過程をすっとばしているような。読者からすると「え、それでどうなるの!?」「なんでそうなったの!?」という感じでしょうか。

それと、スレタイって「素人」が書いているので、言葉遣いがすごく素朴なんですよね。プロみたいにかっこつけるのは気恥ずかしく、そのせいで言葉としては飾り気がありませんが、意外な単語の組み合わせなどで受けを狙ったりする、というイメージがあります。

エロゲの長文タイトル

恋する妹はせつなくてお兄ちゃんを想うとすぐHしちゃうの

オッパイたっぷん熟れ熟れボディ 保健のせんせ×2
えっちの悩みにこたえてあげる いっぱい出してね 〜精液過剰編〜

ツンデレ魔界プリンセス・アリサと孕ませ新婚生活!
〜全部出すまで抜いちゃダメ!ぜったい受精させなさいよね!〜

参考にしたサイト→旧エロゲ情報とりあえずまとめ:エロゲの長すぎるタイトルランキング

こうして眺めて気付いたんですが、エロゲの長文タイトルって「台詞」になっていることが多いんでしょうか。「いっぱい出してね」とか「ぜったい受精させなさいよね」とか、サブタイトルとしてヒロインの台詞を添えることで長くなっている感じがします。あまり「あらすじ」的ではないですよね。

ただ、同じ「非あらすじ」タイプとはいえ、ビーイング系ほど抽象的ではないというか、詩情(?)を抑えつつも、目を引くフレーズを入れようという感じがあります。

あるいは、そこまで長くはないですが『乙女はお姉さまに恋してる』や『夜明け前より瑠璃色な』といったあたりの文章系タイトルも、「非あらすじ」タイプのタイトルです。こちらは抽象寄りといえるでしょうか。

ライトノベルの長文タイトル

いよいよライトノベルです。
私が見るところ、ライトノベルの長文タイトルには三種類があります。
すなわち「俺妹系長文タイトル」「きみぼく系長文タイトル」「なろう系長文タイトル」です。

俺妹系長文タイトル

要するに、2008年の『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』あたりから始まって、2013年ごろまでブームが続いたラノベの長文タイトルのことです(2013年以降に長文タイトルがまったく無くなったわけではありませんが)。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない

https://www.amazon.co.jp/dp/4048671804

お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ

https://www.amazon.co.jp/dp/4840136769

俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる

https://www.amazon.co.jp/dp/4797363967

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

https://www.amazon.co.jp/dp/4094512624

参考にしたサイト→題名が長いライトノベル(2010〜2011年版) - 平和の温故知新@はてな

いずれも2010年前後にシリーズを開始して、のちにアニメ化された作品です。あらすじタイプではありませんね。強いて言うならエロゲの長文タイトルに近いでしょうか。

もちろん、ラノベの長文タイトルはエロゲが由来だ…とまでは言いませんが、たとえば『僕は友達が少ない』が「はがない」と略されるのは、エロゲの『月は東に日は西に』が「はにはに」と略されたことのオマージュだというのは有名な話です。このひらがなだけを拾う略し方を「ラノベっぽい」という人もいますね。元はエロゲ界隈の慣習なんですよ。

ついでに言うと、この俺妹系の長文タイトルには、2ch的な定型句(「〜〜な件」「〜〜した結果」「〜〜なんだが」など)がほとんど見られません。特に「〜〜な件」は、やたらラノベっぽいって言われてますけど、実際はかなり少ないですからね。ほぼ『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件』と『転生したらスライムだった件』だけから作られた風評です。

きみぼく系長文タイトル

ライト文芸でよく見られる長文タイトルです。

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

https://www.amazon.co.jp/dp/4800226104

僕は何度でも、きみに初めての恋をする。

https://www.amazon.co.jp/dp/4813700438

君に恋をするなんて、ありえないはずだった

https://www.amazon.co.jp/dp/4800270294

これは見るからに「非あらすじ」タイプですね。ビーイング系に似ていて、詩的というか、叙情的な印象です。

おそらく『世界の中心で、愛をさけぶ』あたりからの流れで、切ない恋愛ものにこういった長文タイトルが多い気がします(セカチューのタイトルはSF小説が元ネタですが)。

なろう系長文タイトル

俺妹系長文タイトルと入れ替わるようにして増加してきた「小説家になろう」由来の長文タイトルです。ちなみに、小説家になろうの作品タイトルがなぜ長いかについては「なろうのスマホ向けデザインだとランキングでもあらすじが折り畳まれてタイトルしか見えないから」説を個人的には推しています。

とりあえず「小説家になろう」の今週のランキングから適当に引っ張ってきてみました。

一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた~落第剣士の学院無双~

https://ncode.syosetu.com/n1474fh/

最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い~帝位に興味ないですが、死ぬのは嫌なので弟を皇帝にしようと思います~

https://ncode.syosetu.com/n2377fh/

始祖魔法師の最強生活 ~未来の魔法を学びたくて転生したのに古代魔法の劣化版なんですけど!?~

https://ncode.syosetu.com/n8765fg/

なろう系と一括りに言っても、期間によって細かく流行が変わっているのですが、最近はメインタイトルを短く、サブタイトルを長くするパターンが多いなあ、と思ったりします。

さて、もう何度もこのブログで書いてることなんですけど、なろう系の長文タイトルって「本編の内容」を明かしているわけではないんですよね。なろう系のタイトルが説明しているのは「プロローグ」なんです。ここ、めちゃくちゃ強調したい。「一億年ボタンを連打して最強になるまで」を描くんじゃなくて「一億年ボタンを連打して最強になったあと」を描くんですよ。

つまり、本編の内容を紹介する2時間ドラマやAVのタイトルとは、明確に異なるんです。前提だけを示して読者の興味を引くのは、2ちゃんねるスレタイに近いかなと思います。

もうひとつ言うと、小説家になろうの作品は(いまはプロが増えたとは言え)基本的にはアマチュアが書いているのであって、だから言葉遣いも2ちゃんねるスレタイに近いように思います(というか自然と似てしまう?)。

まとめ

  • あらすじタイプ
  • 非あらすじタイプ

ちょっと無理やり感もありますが、こんな感じの分類でいかがでしょうか。

ビジネス書の長文タイトルも入れたかったんですが、調べてみるといろいろ種類があって分類しづらかったので除外しました(「なぜ〜〜なのか?」「〜〜なら〜〜しなさい」「〜〜をするための10の方法」など、抽象的な「釣りタイトル」もあれば、内容を端的に説明したものもあるという印象)。

ちなみに、ビジネス書のタイトルの長文化は2005年の『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』がターニングポイントであり、「最近の書籍はタイトルが長すぎる」みたいなツッコミがあったのも、ラノベよりビジネス書のほうが早かった記憶があります。

ともあれ、私の分類を受け入れてもらう必要はありませんが、できれば「長文タイトルにもいろいろ種類があるんだなあ」ということだけ頭に入れていただければと思います。よろしくお願いします。