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ライトノベルネタブログ

マニアックなライトノベルは保護されるべきであるとかそういうような話

前回の続き。

マニアックな作品はいまでも出ているし、そういう類の作品が大きく売れる土壌も残っている。しかし、いまのライトノベル業界は、当たり外れの大きい博打のような売り方よりも、カジュアルな萌え作品を手堅く売る方を選択した。

では今後、マニアック作品は消えていくしかないのでしょうか。


まずこちらは、マニアック作品はとっても重要だという話。
マニアックなものが売れないのかという議論に反応してみる - 小説☆ワンダーランド

マニアックなところから、古くは古橋秀之秋山瑞人上遠野浩平が、最近では桜庭一樹とか沖方丁などが出てきた。

古橋・秋山・上遠野が後続作品に与えた影響は計り知れないし、桜庭一樹に至っては直木賞受賞、沖方丁もマルドゥックシリーズで大出世した感が強い。

同意同意。でも沖方じゃなく冲方な。付け加えるなら、近年のヒット作『涼宮ハルヒの憂鬱』なんかも意外にマニアック寄りだったりするわけで、そうした作家たちをまとめて切り捨てるようなことは誰も考えていないでしょう。


しかし、

初動的な売り上げよりもハヤカワがうえお久光を引き抜いたり、ダ・ヴィンチのプラチナ本やこのミスあたりに『15×24』が入ったりして非ライトノベル読者層にもじわじわと浸透していけばそれで結果オーライじゃないの?

というのも気の長い話であって、そんな先のことを考えられる余裕があるのは大手のレーベル、というか電撃文庫だけだと思います。


問題なのは、「影響力のある作品」とかが突然変異的にしか現れず、残りのマニアック作品の大半が売れていないというところ。なので、カジュアル作品を売って儲けた金でマニアック作品を保護するようなシステムを目指したら良いのではないでしょうか。つまりは赤字補填です。富の再分配です。息子が稼いだ金で道楽に耽る親父みたいなもんです。って書くと最悪ですね。


実例として、電撃文庫には「ヒットを出したら趣味に走った作品書いてもいいよ」といったご褒美制度があるようで、『灼眼のシャナ』をヒットさせた高橋弥七郎がデビュー作『A/Bエクストリーム』の新刊を出したのは有名な話です。そういう感じで、売れ線の作品と個性的な作品を完全に書き分けさせてしまう。というのはどうでしょうか。


とはいえ、いくらラノベ市場が好調だからといって、「とにかく萌え萌えさせればいっぱい売れて、マニアックなやつも出せる余裕が出てくるよ!」というほど簡単な話じゃないのは当然のこと。


HJ文庫などは、最初は硬派な感じだったのがいわゆるひとつのパンツ付きになって、それでようやく『いちばんうしろの大魔王』がアニメ化というところまでこぎつけましたが、おそらく中の人もまだまだ安心はしていないでしょう。『カッティング』とか『死なない男に恋した少女』とか超好きなので頑張ってほしいですね。


あるいは、作家層が薄いわりにマニアック寄りなスーパーダッシュ文庫ガガガ文庫の場合、玉砕精神とまでは言わないものの「己の身を削ってでも面白い作品を」みたいなところが感じられて、ちょっと心配になったりします。まあ天下の集英社・小学館だから大丈夫なのかもしれません。


ラノベは侮れないという話 - 脳髄にアイスピック

でまぁ、実際には売れてないのかもしれないけど、一応マニアックな新作を続々出版する体力がある分だけ、ラノベ業界ってのはまぁ比較的希望があるんじゃないかしらと思うわけですよ。

そう、結局のところ体力づくりが重要ということで、マニアックのためにカジュアルを、カジュアルのためにマニアックをばんばん書いてもらって、そうやって業界が盛り上がるのがいちばんでございます。