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ライトノベルネタブログ

『アルデラミン』『グラウスタンディア』『アルティーナ』三大戦記ラノベ大進撃!

近年、ラノベ業界で盛り上がりを見せている戦記ファンタジーですが、その代表格とも言える『天鏡のアルデラミン』『グラウスタンディア皇国物語』『覇剣の皇姫アルティーナ』の「共通点」と「相違点」について、語りたくなったので語ります。ちなみに見出しで「三大」とか書いてるのはあくまで個人の感想なので、皆さんも「魔弾の王を忘れんな」とか「グランクレストはどうした」とか「いまこそアルスラーンだろ」とかどんどん言ってください。

なぜこの三作品なのかと言えば、もちろん自分が好きだからというのもありますが、先に述べたとおりいくつかの共通点があるからです。

  • ほぼ同時期に始まったこと
  • 魔法的なものがほとんど出てこないこと
  • ヒロインが皇帝の娘であること
  • 主人公がその軍師であること
  • 帝国は大陸最強国であるが、それ故に問題を抱えていること
  • 周辺国との戦いを繰り広げながら、同時に他の皇子たちと後継争いをすること。
  • トリックスター的な、不気味な敵役が登場すること
  • 皇帝の死が物語の転換点となっていること

特に、帝政の軍事国家を舞台とし、主人公は帝国側に味方している、という点は興味深いと思います。他のファンタジーでは、そういう国ってたいてい悪役だったりするイメージですしね。

さて、それぞれの作品を紹介していきましょう。


ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (1) (電撃文庫)

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (1) (電撃文庫)

『天鏡のアルデラミン』は、精霊たちと共生していた古い時代と、科学が勃興する新しい時代のちょうど過渡期を舞台に、幼い皇女の下に集った五人の優秀な若者たちが協力して戦い、成長し、絆を育み、拭いがたい不穏な香りを漂わせつつも、激しい戦いに身を投じていく群像劇です。
主人公のイクタ・ソロークは、「全ての英雄は過労で死ぬ」を座右の銘として、英雄主義を批判する怠け者の青年です。ヤン・ウェンリーと違うのは、国家にさえ何の期待もしていないことでしょうか。しかし、彼がやってのけることは「国家の英雄」そのものなのです。彼が考え出す作戦は「肉を切らせて骨を断つ」というものが多いように思います。少勢で不利を強いられつつ、敵軍には強力なライバルが存在している、という状況が多いため、互いに手の内を読み合いながら最後にギリギリで凌ぐという、手に汗握る戦いが展開されます。
単純な出来の良さだけで言えば『アルデラミン』は三作品の中で随一でしょう。各種投票でも常に上位に入っており、特にマニア層から高く評価されているタイプの作品です。
ちなみに、知っている方はタイトルだけでピンとくるかもしれませんが、ピンとこない方は一巻を読んだあとでWikipediaの「ケフェウス座アルファ星」のページを見てみると良いと思います。


グラウスタンディア皇国物語1 (HJ文庫)

グラウスタンディア皇国物語1 (HJ文庫)

『グラウスタンディア皇国物語』は、先の大戦で活躍した「皇国七聖」と呼ばれる者たちが皇女の下に集い、再び激しい戦いを繰り広げていくという作品です。と書くと、ほら、『アルデラミン』とけっこう似てるじゃないですか。しかし、こちらは「七聖たちの群像劇」というよりは、大陸に割拠する三国の動向が物語の中心となっています。
主人公はクールな肉体派軍師クロム・ジャレット。イクタと違うのは、物語開始時点で軍の指揮を任されていることでしょう。そのため、特に大軍勢を率いての一大決戦が描かれる第三巻以降、個人の能力だけでは戦況を打開できなくなってくるあたりから、ぐっと面白くなってくるのです。相手がどう進軍してくるか、相手の行動のうちどれが陽動でどれが本命なのか、といったあたりの心理戦は、その点に限れば『アルデラミン』を凌ぐのでは、とさえ思います。
また、「世代交代」というテーマもあり、かっこいい老将・名将が次々に登場して、かっこいい散りざまを見せていくというのが、ちょっと反則的な魅力を醸し出しています。三作品の中では最もファンタジー度が高く、残虐な描写もままあるということで、『アルデラミン』よりも尖った印象を受けますが、独自の面白さを確立していることは間違いありません。


覇剣の皇姫アルティーナ (ファミ通文庫)

覇剣の皇姫アルティーナ (ファミ通文庫)

『覇権の皇姫アルティーナ』は、辺境に追いやられた妾腹の皇姫が、読書狂の軍師を見出し、皇帝即位を目指して目覚ましい功績を挙げていくというストーリーです。舞台となる「ベルガリア帝国」は近世あたりのフランスがモチーフとなっています。とにかく分かりやすく、読みやすく、楽しい作品です。
主人公レジス・オーリックは、三作品の中では最もオーソドックスというか、つまりは奇策を使って大軍を軽々と打ち破るような「軍師」です。本人は虚弱で、臆病で、自信もなく、ただひたすら本を読むことが大好きなだけのモヤシですが、一方のアルティーナは人並み外れた膂力を持つ脳筋ヒロインなので、まったくお似合いのカップルですよね。
この作品の特長については、各巻の冒頭に必ず「これまでのあらすじ」を挿れつつ、巻末に「設定資料」を載せているあたりが象徴的ですね。設定をきちんと作りこんだ上で、同時に分かりやすい物語を心がける。平原に、海に、攻城に、政争にと、各巻で異なる戦いを扱っているあたりも、サービス精神旺盛だなあと思うところです。


いずれのシリーズも(いまのところ)(まだ)(なんとか)10巻以内に収まっていますので、手を出すなら今がチャンス。戦記ラノベの実りの秋。是非とも読み比べてみてください。