WINDBIRD::ライトノベルブログ

ライトノベルブログ

【結果発表】マニアック・ライトノベル・オブ・ザ・イヤー2021

レギュレーション

・「2021年内に読んだライトノベル」の中で面白かった10作品に投票してください。発売日や購入日は関係なく「読了日」を基準とします。
・「重複なし」で「10作品」必須です。
・「シリーズ名」で投票してください。
・ただし「スピンオフ」は別シリーズとみなします。たとえばSAO本編に対する「プログレッシブ」や「オルタナティブ」など。
・あなたがそうだと思うものがライトノベルであり他人の同意は必要ありません。

今回の投票者は21人、すなわち全体では210票でした。少ねえ。

それでは投票結果です。

4票

『キミの青春、私のキスはいらないの?』
『公務員、中田忍の悪徳』

3票

『嘘と詐欺と異能学園』
『楽園ノイズ』
『祈る神の名を知らず、願う心の形も見えず、それでも月は夜空に昇る。』
『僕が答える君の謎解き
『魔王2099』

2票

『エリスの聖杯』
『ここでは猫の言葉で話せ』
『サイレント・ウィッチ』
『シャークロアシリーズ』
『ストライクフォール
『スパイ教室
ミモザの告白
りゅうおうのおしごと!
『わたし、二番目の彼女でいいから。
『王様のプロポーズ
『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』
『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。』
『佐々木とピーちゃん』
『絶対にデレてはいけないツンデレ
『董白伝』
『亡びの国の征服者』
葉隠桜は嘆かない』
『霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない』
筺底のエルピス

1票
『《このラブコメがすごい!!》堂々の三位!』『3分間のボーイ・ミーツ・ガール』『Ghost ぼくの初恋が消えるまで』『VS!!』『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』『Y田A子に世界は難しい』『アンデッドガール・マーダーファルス』『いでおろーぐ!』『イリヤの空、UFOの夏』『インフルエンス・インシデント』『エゴに捧げるトリック』『オーク英雄物語』『オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!』『カレとカノジョと召喚魔法』『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』『きみは本当に僕の天使なのか』『クズだけど異能バトルで覇権狙ってみた』『クロス・コネクト』『クロバンス戦記 ブラッディ・ビスカラ』『ゲーマーズ!』『サキュバスニート』『シャドウテイカー』『スカートのなかのひみつ。』『ダークエルフの森となれ』『タクティカル・ジャッジメント』『ただ制服を着てるだけ』『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』『ティアムーン帝国物語』『とある飛空士への夜想曲』『どうでもいい 世界なんて -クオリディア・コード-』『ニンジャと司教の再出発!』『パパ活JKの弱みを握ったので、犬の散歩をお願いしてみた。』『ハル遠カラジ』『ブサメンガチファイター』『フシノカミ』『ふつつかな悪女ではございますが』『プリンセス・ギャンビット』『ブレイドスキル・オンライン』『フレイム王国興亡記』『プロペラオペラ』『ぼくたちのリメイク』『マグダラで眠れ』『ミスマルカ興国物語』『ムシウタ』『むすぶと本。』『やせいのいしおの!』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『ようこそ実力至上主義の教室へ』『ラ・のべつまくなし』『レイの世界』『レオ・アッティール伝』『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』『ロストマンの弾丸』『ロミオの災難』『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』『悪役令嬢、ブラコンにジョブチェンジします』『悪役令嬢の中の人』『椅子職人ヴィクトール&杏の怪奇録』『異修羅』『異世界とわたし、どっちが好きなの?』『異世界迷宮の最深部を目指そう』『育ちざかりの教え子がやけにエモい』『雨の日のアイリス』『黄金の鹿の闘騎士』『俺にはこの暗がりが心地よかった』『俺は知らないうちに学校一の美少女を口説いていたらしい』『我が驍勇にふるえよ天地』『外れスキル【地図化】を手にした少年は最強パーティーとダンジョンに挑む』『楽園殺し』『貴サークルは“救世主”に配置されました』『疑似人間メルティア』『義妹生活』『丘ルトロジック』『吸血鬼は目を閉じ、十字を切った』『虚構推理』『金星特急』『空よりも遠く、のびやかに』『空色パンデミック』『君は僕の後悔』『継母の連れ子が元カノだった』『月とライカと吸血姫』『月光』『元カノが転校してきて気まずい小暮理知の、罠と恋。』『元世界最強な公務員』『現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変』『五人一役でも君が好き』『後宮の百花輪』『護衛のメソッド』『公園で高校生達が遊ぶだけ』『康太の異世界ご飯』『才女のお世話』『四人制姉妹百合物帳』『死んでも推します!!』『私のほうが先に好きだったので。』『私立!三十三間堂学院』『七つの魔剣が支配する』『住めば都のコスモス荘』『春夏秋冬代行者』『女王の化粧師』『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』『蒸気と錬金』『神様のメモ帳』『神様は少々私に手厳しい』『推しが俺を好きかもしれない』『星詠みの魔法使い』『生徒会の一存』『声優ラジオのウラオモテ』『西野』『青春ブタ野郎シリーズ』『青春失格男と、ビタースイートキャット。』『双血の墓碑銘』『蒼と壊羽の楽園少女』『蒼海ガールズ!』『第四大戦』『探偵くんと鋭い山田さん』『探偵は御簾の中』『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)』『超世界転生エグゾドライブ』『転生!太宰治』『転生従者の悪政改革録』『伝説の勇者の伝説』『田中』『豚のレバーは加熱しろ』『薄幸な公爵令嬢(病弱)に、残りの人生を託されまして』『叛逆のドレッドノート』『美少年シリーズ』『髭と猫耳』『“文学少女”シリーズ』『変人のサラダボウル』『編集長殺し』『母親がエロラノベ大賞受賞して人生詰んだ』『放課後の宇宙ラテ』『僕の軍師は、スカートが短すぎる』『僕は天国に行けない』『僕は友達が少ない』『魔王の俺が奴隷のエルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』『魔法少女ダービー』『夢の国から目覚めても』『無職転生』『目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい』『野崎まど劇場』『幽霊たちの不在証明』『傭兵と小説家』『葉桜が来た夏』『理想の聖女? 残念、偽聖女でした!』『龍鎖のオリ』『麗しのシャーロットに捧ぐ』『煉獄姫』『貘』

「好きラノ 2021年下期」投票


『ストライクフォール』長谷敏司

久々の新刊だけどやっぱり素晴らしいっすね。至福。こんなん、フィクションのなかで架空のスポーツを作って、それにおける主流の戦術Aと、そのAを打ち破る破壊的新戦術Bと、そのBすら時代遅れにする革命的新戦術Cを、きっちりシミュレートして描いて、もうそれだけで面白すぎるじゃないですか。今回はますます「スポーツ」と「戦争」という対比が強調されて、そのために背景の政治描写とかもガチガチにやって、軍人も登場して、強化人間みたいなのまで出てきて、でも「スポーツは戦争を超える」という壮大な最終目的が明示されて、物語としてはスケールアップしつつも整理された感じだったな。

【21下ラノベ投票/9784094530254】

『オーク英雄物語』理不尽な孫の手

面白すぎるなあ。今回はドワーフの国で武闘大会に出る話。設定こそパロディ的な作品ではあるけれど、もっと時代劇めいたプリミティブな面白さがあるよな。諸国漫遊譚だし。達人がひたすら愚直に正拳突きをしてくるような強さがある。

【21下ラノベ投票/9784040741840】

『亡びの国の征服者』不手折家

学生たちで戦争見学に行ったところ、案の定のアクシデントで敵支配領域内に墜落、足を怪我したヒロインも抱えて、絶望的な脱出行がはじまる。というわけで、かなりひりついた展開が素晴らしい。なんでも卒なくこなす優秀な主人公だけど、決して無双というわけではないので、「状況はかなり厳しいけど、それでも主人公ならやってくれる…?」と疑問符がつくくらいの絶妙なハラハラドキドキ感がありますよね。展開の予想ができない。敵国側の視点がはっきりと描かれたのも初めてでしたっけ。世界観に深みを出すのが上手いなあ。図ったのか図らずもなのかクリフハンガー的な引きなので早く続きを読みたい。

【21下ラノベ投票/9784824000033】

『目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい』リュート

今回は銀河辺境の異種侵略戦に駆り出される話。いよいよヒロの活躍が衆目に晒されるというか歴史の表舞台に出ていくような感じで戦闘シーンたっぷり無双感マシマシとなっている。一方で勲章まわりの細かい話だとかレーション食べ比べみたいなミニエピソードを入れてディテールアップしているのもよい。もちろんヒロインごとのイチャイチャ描写も十分に入っていて申し分ない。釣った魚に餌を与えるハーレム主人公の鑑。メイさんのビジュアルマジでいいよね…。

【21下ラノベ投票/9784040742632】

『サイレント・ウィッチ』依空まつり

今回も面白かった。主人公が極端なキャラなのでいちいち反応が楽しいし、新キャラもやはりサドっけがあるので、軽くいじめられている主人公がかわいい。それでいて、主人公の友達の輪が広がっていて、温かな学園生活になっているのがいいなと。それを守るために勇気を振り絞って立ち上がる主人公の健気さもまた強調される。可愛がられすぎず、虐められすぎず、たくましく成長していってもらいたいですね。他国との関係なんかも絡んできて話が大きくなっていく雰囲気だけど、今のままのバランスで十分に楽しいのでどうなるかな、と思っている。

【21下ラノベ投票/9784040742243】

中野森高校文芸部のホームズ&ワトソン』波戸彼方

日常の謎系青春百合ミステリ。第一話のラストがすごく美しいんですよね。こんなん絶対に運命を感じちゃうし好きになっちゃうよな。「フィクションに憧れる探偵とそれに振り回される助手」の構図と思いきや、途中から唐突に助手のほうがヤバさを醸し出してくるんだけど、それも出会いの美しさに夢を見てしまったなら分かる。そりゃあフィクションのような名探偵が現実にいるんだから、さらに現実にフィクションのような美しさを求めてしまうわけですよ。探偵の責任論みたいなところにもやや踏み込んでるけど、とりあえずは若さ全開でやりたいようにやってくれ、という爽やかな気分で読んだ。面白かった。

【21下ラノベ投票/9784065261460】

『勇者刑に処す』ロケット商会

正統派に上手いな。かっこよくて、かわいくて、適度にケレン味があって、でも読みやすい。勇者と魔王というお約束タームは用いつつも、形式としては現場の兵士を主役とした泥くさい「異種侵略もの」のかたちを取る。主人公たちは言わば「死刑囚軍団」で、それぞれに異能を持つ、とんでもなく迷惑な人格破綻者ばかり、しかしどこか憎めない個性的な連中である。そしてドヤ顔が可愛い「女神」様、もとい人間に奉仕するよう造られた古代兵器であるらしいヒロイン。彼らが酷い戦場をしぶとく生き抜きつつ、しかし徐々に何かを失っていく、痛快さを感じつつも、同時に将来の破滅を予感させるような作品となっている。

【21下ラノベ投票/9784049139037】

乙女ゲームのハードモードで生きています』赤野用介

タイトルからは全く分からないだろうが、宇宙に満ちた「魔素」を用いた革新的技術によって超光速のワープ航法を実現し、星間国家を築き上げた人類が四分五裂して血みどろの戦争を繰り広げている遠未来で、その歴史が太古の乙女ゲームのストーリーに酷似していることに気付いた主人公(男)が、ゲームの知識を活かして軍人として出世していく宇宙戦記ものである。小説としてはややこなれていない印象だけど、ちゃんと設定は凝っていて、スペオペを求める気持ちに十分に応えてくれている。というか無理やり乙女ゲー転生フォーマットに押し込んだ感は否めない。でも結果的には面白かったので良し。

【21下ラノベ投票/9784065261514】

『偽典・演義』仏ょも

演義では董卓の参謀的な存在として知られる李儒、に転生した社畜が主人公で、この作品では若くして何進に仕えることになる。何進董卓を中心にして三国鼎立前の後漢朝廷を描いており、図らずも「董白伝」と微妙に被っているのだが、こちらはあちらほどぶっ飛んだ話ではなく、史実をなぞりながらも主人公がそれをちょっとずつ改変していく、オーソドックスな歴史転生ものとなっている。今回は黄巾の乱勃発から西園八校尉の成立あたりまでを扱い、外戚・宦官・名門・軍閥が生み出した泥沼の政争を悠々と泳ぎ切る李儒の活躍が描かれる。期待どおりの面白さだった。

【21下ラノベ投票/9784803015591】

『水の後宮』鳩見すた

良い。無愛想で知恵者の商家の娘が、姉の死の真相を追うために宮女として後宮に入り、いくつかの事件を解決しながら底知れぬ後宮の闇へと踏み込んでいくという、いわゆるひとつの中華後宮ミステリ。鳩見すたの描く少女を久々に堪能した。謎解きの部分では、商人的な目敏さで真相に辿り着く主人公と、証拠第一主義で地道な捜査を行う堅物の女官僚のバディものという感じ。そこにほんのりラブロマンスや、ほんわかグルメ的な要素が散りばめられている一方で、宮女たちの過酷な境遇や、後宮に渦巻く政治の恐ろしさも描かれている。重すぎず軽すぎずバランス良く仕上がっていて読みやすいなと。

【21下ラノベ投票/9784049139549】

2021年ライトノベル個人的ベスト10

1. 魔王2099

勇者に倒された不死身の魔王が五百年を経て復活したら科学と魔法が融合した世界になっていた…というサイバーパンク魔王勇者もの。個人的に「上手い」と「面白い」と「好き」はそれぞれ微妙に違う評価だと思っているんですけど、この作品は「上手くて面白くて好き」なんですよね。しっかりとした技巧で土台を造り、その上に優れたアイディアを乗せて、さらにケレン味もたっぷりと含んでいる。だがしかし刊行ペースが…遅い…どうか続刊を頼む…。

2. サイレント・ウィッチ

自己評価がめちゃくちゃ低い天才魔女と、彼女を取り巻くちょっと意地悪なイケメンたち。構図としては女性向けに近いけども、いわゆる少女向けラノベレーベルではないところから発売されて、普通に男性読者も楽しんでいる、というのは近年のラノベ業界の傾向でもありますよね。強さを隠して学園に潜入する「俺TUEEE」系のテンプレではあるんですけど、むしろ主人公が卑屈すぎて常にいじめられてる形になるのが「かわいそうなのがかわいい」というやつで、バランスが取れてるなと思います。

3. ストライクフォール

ほぼ四年ぶりの新刊! 何度も書いてますけど、現代最高の宇宙SFラノベでありスポ根ラノベでありロボットラノベなわけですよ。競技の部分だけでも、めちゃくちゃ戦略的なサッカー漫画とかの読み味に近いんですが、そこに尽きせぬSF的アイディアと、太陽系規模の政治劇も盛り込まれてくるんだから、そりゃあ面白いに決まってるんですよね。いつまでも続刊を待ち続けますよ旦那。

4. 僕は天国に行けない

親友が自殺して放心状態の主人公の前に、ヘビースモーカーでメガネっ娘で僕っ子の謎の少女が現れて、共に親友の死の真相を探ることになる暗黒青春ミステリ。「死」と「宗教」というテーマで描かれる、この世界に取り残された者たちの物語。20年くらい前の、暗くて切なくて頭でっかちで露悪的な、あの頃の懐かしい空気を感じるんですよね。これは好きな作品です。

5. オーク英雄物語

ただでさえ『無職転生』を書ける人が、その連載過程で身につけた熟練の手腕をプラスして一から書いた新作なんですから面白いに決まってるんですが、それにしたって面白すぎるんですよ。物語類型としては要するに水戸黄門のような諸国漫遊譚で、太古から人類の心を捉えて離さないシンプルでプリミティブな面白さがありつつ、さらにそれを現代的にアレンジしているというか、ぜんぜん古臭さを感じないのがすごさですよね。

6. 亡びの国の征服者

最新第四巻で描かれる緊迫した逃亡劇は、これまでとはまた違った味わいがあって良かったです。平和な学園生活を描きながらも、すぐ鼻の先に戦争が迫ってきている、どう考えても国家としては末期であり、「亡びの国」になるのが見えている…というなかで、ついに主人公たちが体験する「戦場」。スローペース&ロングスパンの物語だからこその遠大で濃密な展開を楽しむことができますよ。

7. 目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい

これも昨年から引き続きなんですけど、マジでタイトル以外は最高のスペオペなんですよ。工夫されたSF設定に、安定した物語の進行で、作者の地力は相当に高いと思うんですが、それで美女を侍らせながら傭兵として無双するという、めちゃくちゃ俗っぽい話をやるのがまさにスペオペの魅力なんですよね。私は宇宙エルフと眼鏡メイドロボが好きです。

8. 声優ラジオのウラオモテ

三巻くらいから一気に面白くなったんですよねこのシリーズ。もともとは「声優の話」というより「声優ラジオの話」で、いわゆる「お仕事もの」としての濃度は低かったんですが、それが徐々に「声優の話」のほうに軸足を移し、完成度を高めていったのは、作家がプロデビューして現場を取材できるようになったからなのかな、と思います。いやもうお仕事ものとしても、喧嘩ップル百合としても、完全に一皮剥けたと思います。題材的にもアニメ化を期待したいですね。

9. インフルエンス・インシデント

インターネットの悪意に焦点を当てた青春ミステリ。いわゆる「本格ミステリ」よりはサスペンス寄りかな。とにかく「女装して人気配信者になっている美少年」とか「キックボクシングの達人でめちゃくちゃ強いおねショタ発情女」とかキャラが良かったですね。すべては暴力が解決する。なんかこう主役サイドも含めて、わりとみんな癖が強くて露悪的な感じがして、お行儀の良い作品に収まっていないのが良いところです。

10. 我が驍勇にふるえよ天地

ここは悩んだんですけど、完結記念ということも含めてこの作品で。読み終わってあらためて巻数を見て「たった11巻なんだ」と思うほど、すごいテンポでどんどんスケールが大きくなっていったのが印象的ですね。シリーズ全体で最大の盛り上がりはぶっちゃけ七巻だったと思うんですが(三国志演義の最大の盛り上がりは赤壁の戦い的な)、この完結巻の落ち着いた雰囲気には「歴史」を感じましたね。巻末に「アレクシス二十八神将」の一覧が載ってて、彼らのその後の話なんかがちらっと紹介されてるんですよ。オタクなのでそういうのも最高でした。

2021年ライトノベル10大ニュース

YouTube「マンガ動画」のノベライズが増加

現在は「漫画エンジェルネコオカ」からの書籍化が多いでしょうか。ネコオカのマンガ動画には、脚本としてラノベ作家が協力していることも多く、単純な「ノベライズ」というよりは「共同企画」のような形になっているようにも感じます。

マンガ動画の第一人者だった「フェルミ研究所」が更新を終了するといったニュースもありましたが、まだどう転ぶかわからないマンガ動画が、これからラノベ業界とどう関わっていくのかは気になるところです。「小説家になろう」と違ってYouTubeには収益化機能があるので、有名投稿者ほど書籍化を目指すインセンティブがないんじゃないかとも思いますが。

あと、このあたりはMF文庫Jがかなり積極的に動いていて、マンガ動画やボカロ小説を矢継ぎ早に刊行し、さらに先ほど発表されていましたが、にじさんじVtuber来栖夏芽の小説家デビューも手掛けるということで、そうした冒険的な試みには注目ですね。

TikTok売れ」の本格化

特にライト文芸と親和性が高いということで興味深いですね。昨年は「TikTokでクチコミが広がって売れた」という自然発生的なヒットの話題だったのが、今年は出版社とTikTokerが組んで企画を展開するなど、出版業界が積極的にTikTokでのプロモーションを仕掛けていったように思います。

そんな中で、小説紹介系TikTokerとして活発に動いていた「けんご」氏が、書評家の豊崎由美からdisられたことにショックを受けて、TikTokでの活動休止を宣言するといった騒動もあったりしましたが…。

『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』のヒット

「2021年(にKADOKAWAから刊行された新作ラノベの第1巻限定)で一番売れたライトノベル」とか「(当時はまだアニメ化前だった)ハルヒシリーズ(の第2巻の初版発行部数)級の勢い」とかわりと無理やりな宣伝しているあたり、このすば完結後の看板作品を求めるスニーカー編集部の必死さが漂っている気もしますが、もちろん発行部数などからしてめちゃくちゃに売れているのは確かです。

ヒロインのアーリャさんがVtuber化して宣伝していたことも、『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』がVtuber化で話題になったことと合わせて(あるいはマンガ動画やTikTokといったトピックも含めて)、ラノベの販売戦略の多様化というか、なんか変なふうに金をかけるようになった感がありますね。

コミカライズからのアニメ化?

原作小説は続刊が絶えて久しいのに何故か唐突にアニメ化が発表される…とか、アニメ化の発表があったのに原作小説を出していたレーベルはほとんど無反応…といった、おそらく「ラノベのアニメ化」というより「ラノベのコミカライズのアニメ化」なのだろうな、と思われる事例が増えている気がします。

ラノベ原作コミカライズの急増はここ数年のトレンドだったわけですが、その結果として「書籍化とコミカライズを同時に開始したらコミックだけ売れた」とか「別の出版社でコミカライズしてもらったらそっちの方でアニメ化企画が進んじゃった」みたいなことが起こってるのかなーと思います。

無料ラノベアプリ「電撃ノベコミ」リリース

漫画アプリではお馴染みの「いろんな作品を無料で公開して、一話ごとに購入もできるアプリ」のラノベ版みたいなやつですね。無料ラノベといえば、これまでは「小説家になろう」なんかがその役割を担ってきたと思うのですが、ノベコミが軌道に乗ってWeb小説とは別の窓口が出来ればいいですよね。

と言いつつ、ノベコミが軌道に乗っているようには見えませんけども。

Twitter Spaceでラノベ談義

音声SNS「Clubhouse」を速攻でパクった「Twitter Space」でしたが、Twitterからそのまま使える簡便さもあってかそれなりに利用されていた印象があります。ラノベ作家の対談や、若いラノベ読者の雑談など、貴重なお話を聴くことができました。

私も「ラノベ定義論スペース」という企画を夏鎖さんにぶん投げたりしたのでなかなか印象深いものがあります。
ラノベ定義論スペースのメモ - WINDBIRD::ライトノベルブログ

でもまあ「定着した」とは言い難いですし、緩やかに使われなくなっていくのかな、と思います。個人的にはiPadアプリから使えなかったのがわりと致命的でしたね。

スマホゲーム『ファンタジア・リビルド』サービス終了

「人気のラノベを集めたスパロボ的ゲームアプリを作る」っていう方向性は絶対に正解だと思うんですよ。ファンリビの失敗は、よりにもよってFGOのゲームシステムを流用してしまったことと、そして電撃・スニーカー・MFJといった他のKADOKAWA系レーベルを巻き込まなかったことに尽きるんですよ。やっぱり「カドカワ・リビルド」を作るべきだと思います。期待してます。

「次にくるライトノベル大賞」開催

ニコニコがやっている「次にくるマンガ大賞」のラノベ版といった趣きです。似たような企画としては数年前までBOOK☆WALKER主催の「新作ラノベ総選挙」というのがありましたが、今回はキミラノが主催しているようですね。ノミネートされた作品が多すぎるとか、1日1票なので信者力勝負になりそうとか、いろいろ問題点も思い浮かぶのですが、とりあえずこの企画によって一つでも新作が打ち切りを免れるといいですね。

結果発表は来年2月18日だそうです。

ライトノベルEXPO 2020」開催

カドカワの5大ラノベレーベルが集まるリアルイベントということで、「2020」という名前からもわかるとおり、本来なら去年開催されるはずだったのが、コロナ禍で延期になってしまっていたやつですね。結局はネットでの動画配信を中心としたイベントに生まれ変わり(リアルでの展示もあったみたいですが)、アニメ化の発表などもあって盛り上がっていたみたいです。来年も開催されるんでしょうか。

個人的には「ラノベのイベント」というより「ラノベアニメのイベント」だったのがかなり不満でした。

「エンタメ for around 20」連載終了

朝日新聞で十年間にわたって連載されていたラノベ紹介コーナーが終了しました。著者の前島賢は、筋金入りのオタクライターであると同時に、ラノベ作家・大樹連司としても著名。選書のほうも「わかってる」感じのラインナップであり、こういった書評がマスな媒体に掲載されることで果たした役割は大きかったと思います。お疲れ様でした。


去年までの年間ニュースはこちらからどうぞ。
10大ニュース カテゴリーの記事一覧 - WINDBIRD::ライトノベルブログ

「クーデレ」はいかにして素直クールをやめて普通にデレるようになったか

「クーデレ」とは何か?

「クーデレ」というオタク用語がある。

Wikipediaピクシブ百科事典・ニコニコ大百科では、それぞれ以下のように説明されている。

クーデレは、「クール」に「デレデレ」の略から作られた造語で、初見ではクールで近寄りがたいものの、打ち解けていくうちに好意的な態度、いわゆる「デレデレした態度」をとるタイプのことを指す言葉である。

クーデレ - Wikipedia

普段はクールだが、口数が少なく感情を表に出さなかったり、感情表現が苦手だったりするため、その分好意を抱く特定の人に対して親しくなるとデレデレ甘えたり、可愛らしい面を見せる、内心の愛情が人一倍熱い人物のこと。

クーデレ (くーでれ)とは【ピクシブ百科事典】

ツンデレがパターンこそいくつかあれどツンとデレのギャップに萌えるという概念があるのと同じように、基本的にクール時のそっけなさとデレのギャップに萌える属性である。

クーデレとは [単語記事] - ニコニコ大百科

これらの記述を読んだとき、私は知らぬ間にスタンド攻撃を受けていたかのような違和感を覚えた。

なぜなら「クーデレ」は、もともと「素直クール」と同義語だったからだ。

いつのまにか意味が変わってしまっているのである。いや、意味が変わるどころか「クーデレと素直クールを混同するのは誤用」とさえ言われているのである。

この「素直クール」という言葉は、「態度などはクールだが、聞き手が恥ずかしくなることを言う」という意味であるが、現在では「ツンデレの派生」で「素直の別名」などと見なされており、「クーデレ」と混用されるケースが多数見受けられる。

クーデレ - Wikipedia

なお、共通点の多い素直クールとは、混同されがちだが似て非なる物である。

クーデレ (くーでれ)とは【ピクシブ百科事典】

そのため素直クールとクーデレはある種の対義語と見ることもでき、ツンデレの派生である「クーデレ」に当てはまらないとする意見もあるが確かにクールとデレを持っておりそのギャップに萌えている言う点では共通しているので一般的には混同される事が多い。

クーデレとは [単語記事] - ニコニコ大百科

これはいったいどういうことなのだろうか?

素直クール」について

2000年代のオタク業界における最大の発明は「ツンデレ」であった、と言っても過言ではない。それは、ただ単にキャラ属性に名前を付けただけに留まらず、さまざまなツンデレ派生の萌え属性、いわゆる「新ジャンル」のブームを生み出したからである。

「新ジャンル」とは、それまでに無かったような新たな萌え属性を作り出し、それをちょっとしたSSに仕立て上げたものである。基本的には「ツンデレ」をもじって「○○デレ」というものが多かった。そうしてカンブリア爆発のように新たな「萌え属性」が生まれていき、それに応じて商業作品にも一発ネタに近い奇妙奇天烈なヒロインが多数登場するようになったのである。

そして、その「新ジャンル」の(たぶん)元祖こそ、なにを隠そう「素直クール」だったのである。素直クールというのは、なにか既存のキャラから導出されたものではなく、「ツンデレ」の対義語を考えようとして「ツン←→素直」「デレ←→クール」という発想から作られた萌え属性であった。

すなわち、「愛情表現をするのが恥ずかしくて素直になれない」のがツンデレだとしたら、「恥ずかしがらずに素直に愛情表現をする」のが素直クールだというわけである。

「クーデレ」の誕生

「クーデレ」誕生の経緯ははっきりしている。

素直でCOOLな娘

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/10/10(月) 00:45:19 ID: hjyamerK0
某所で天才によりツンデレに対抗すべく、新たに素直クールなる言葉が誕生した。
時には人前でさらりと爆弾発言されたり男にとっての暴露羞恥プレイ。
言葉萌えのツンデレ、シチュ萌えの素直クール
好意はストレートかつクールな態度でデレる、そしてどこか天然。
素クール萌え

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/10/10(月) 00:51:42 ID: WY+0A1HS0
あぁ・・・なんか他に良いネーミングないのか・・・損だよコレ

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/10/10(月) 01:00:06 ID: WOFnKZFQO
>1
代理乙。

名称
>>50

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/10/10(月) 01:14:29 ID: Z1jGEJfP0
クーデレ

これが「クーデレ」誕生の瞬間である。つまり、某所(=ふたば☆ちゃんねる)発祥の「素直クール」という呼び方がいまいちだったので、安価を指定して新たな呼称が決められた、という流れである。

ちなみに、このスレの最後のほうで、「ふたば発祥の言葉を勝手に変えるべきではない」といった論争があり、「クーデレは素直クールのVIP方言」とすることで決着している。

ともあれ、「素直クール」が広まるにつれて、その異称として「クーデレ」の知名度も上がっていった。少なくとも「クーデレ」が生まれた時点では「クーデレ=素直クール」だった。これは間違いのないことである。

いつ意味が変わったのか?

とりあえずWikipediaピクシブ百科事典・ニコニコ大百科のそれぞれの更新履歴を見てみよう。

「クーデレ」の変更履歴 - Wikipedia

Wikipediaでは、もともと「クーデレ」は「ツンデレ」にリダイレクトされていた。2012年にいちど「クーデレ=クールなツンデレ」説を採用した記事が立てられたが、すぐにまた「ツンデレ」へのリダイレクトに戻されて、 2021年8月1日にあらためて現在の内容として立てられたようだ。ただし、「ツンデレ」の記事では「素直クール(クーデレ)」と併記されている。

クーデレ の編集履歴 - 【ピクシブ百科事典】

ピクシブ百科事典も、「クーデレ」の記事が立てられたのは2021年1月29日なので意外に新しい。ただし、「素直クール」の記事としては2011年に記事が立てられ、その時点で、

最初はそっけない態度だったりするクールなキャラが一定状態でデレになるクーデレと混同されがちだが、素直クールは思ったことを口にしつつ、あまりデレないで最後までクールを貫くキャラである。

と「クーデレ=クールなツンデレ」説を支持している。

クーデレとは [単語記事] - ニコニコ大百科

このなかではニコニコ大百科の記事がいちばん古く、2009年1月17日に記事が作成されている。

クーデレはツンツンする様子はなく、意志が素直で、クールにデレデレとなる。
ふたば☆ちゃんねる発祥の素直クールと同一かどうかが問われるかもしれない。

と当初は説明されており、「クーデレ=素直クール」説を踏襲しているように見える。ただし、一日後には「両論併記」的な内容に編集されており、2010年4月4日には、現在のような「素直クールとクーデレはある種の対義語」といった、「クーデレ=クールなツンデレ」説を強調した内容に変更されている。

クーデレとは ウェブの人気・最新記事を集めました - はてな

ついでにはてなキーワードも見ておこう。いまは履歴が見えなくなっているが、2007年頃に引用されていた文章を見ると、当時の記述は以下のようなものだったらしい。

素直クール」の略語の一種。

2ちゃんねる掲示板の「ニュース速報(VIP)板」内「素直でCOOLな娘」スレッドで発生した。

いまでは「クールな性格ながらも親しくなると可愛らしい一面(デレ)を見せる」という誤用も広まっている。

それが現在はこうなっている。

「クールな性格ながらも親しくなると可愛らしい一面(デレ)を見せる」という「ツンデレ」の亜種。
素直クール」の略語の一種と認識されることが多いが、全くの別物。

こうも正反対の内容に変えてしまうのは、相当に確信犯的な行動だと感じる。過激な「クーデレ=クールなツンデレ」派の仕業なのか…。

というわけで、どうも2010年頃には既に「クーデレ=クールなツンデレ」説がそれなりに優勢だったようではある。しかし、「素直クール」自体がツンデレなどと比べるとかなりマイナーな属性であるため、その異称である「クーデレ」もそこまで広く使われていたわけではない。あまり使われないから解釈が衝突する機会もなく、何となく二つの意味が混在していた…といった面があったのではないか。

5chの過去ログを見てみよう

VIP板素直クールスレは、2005年内はまだ勢いを保っていたものの、やがて失速し、2006年8月頃にスレが途中で落ちてから、次スレが立てられなくなったようだ。また、その頃になるとスレ内で「クーデレ」という呼称はほとんど使われなくなっていた。

VIP板素直クールスレは流れが早すぎるので、ここではガ板のクーデレスレを見てみよう。

クーデレのガイドライン

このスレは「クーデレ」誕生の翌日に立てられている。当初はもちろん「クーデレ=素直クール」説にのっとって進行していたが、やはりすぐに過疎るようになった。

そして2006年半ばからは「クーデレ=クールなツンデレ」説に近い書き込みが見られはじめる。

322 :水先案名無い人:2006/06/06(火) 00:41:13 ID: 5IlSnhEV0
常にマイペースで感情をストレートに伝えるのが素クール、普段はクールだがたまに調子を崩されて
赤面したりするのがクーデレだと思うんだが。

323 :水先案名無い人:2006/06/06(火) 16:29:45 ID: XhXfm2y20
クーデレって素直クールのVIPでの言い方だろ?

326 :水先案名無い人:2006/06/07(水) 23:42:51 ID: 4dgi2DRFO
ツンデレのツンの部分がクールっつーか冷淡なのがクーデレってのがわりと一般的になってきたと思う

327 :水先案名無い人:2006/06/08(木) 14:10:35 ID: XBL5Ex9l0
それはただのクール系ツンデレなのでは

この頃にはすぐに否定が入っていた。

384 :水先案名無い人:2006/10/26(木) 12:18:07 ID: vKQqD6bdO
クーデレって普段はクール、二人っきりになったらデレる(喋るようになる)、みたいなキャラだと思ってた

385 :水先案名無い人:2006/10/26(木) 16:36:33 ID: SdDeMX5l0
>>384
クーデレはそれで合ってる
ツンをクールに置き換える感じ

素直クールはいつでもデレ全開、しかしクール

403 :水先案名無い人:2006/12/17(日) 06:02:38 ID: /S5ZFqfCO
クールなキャラがクールな態度にほころびを見せるのがクーデレじゃないのか
ワイは間違ってるっちゅうんか 神様よう

405 :水先案名無い人:2006/12/17(日) 23:27:52 ID: LxTcTrSf0
でれでれな台詞をクールな態度で言うのがクーデレだと思ってた。

406 :水先案名無い人:2006/12/17(日) 23:46:36 ID: zCFN4/RW0
>>405
それは素直クール

このあたりになると「クーデレ=クールなツンデレ」説が肯定されてしまっている。

422 :水先案名無い人:2007/01/18(木) 19:20:52 ID: fqPgEp9h0
>>405
それで正しい。

>>403 >>406
お前らみたいなのを見ると泣きたくなる。もう一度スレを最初から見直せ。
もうツンデレ勢力あちこち湧きすぎて鬱になるよ(つД`)・゚・。!!

一ヶ月も経ってからようやく訂正が入った。相当に過疎っている。

というわけで、2006年には既に「クーデレ=素直クール」派と「クーデレ=クールなツンデレ」派が対立していたことがわかる。そして、萌え属性に対するオタク的なこだわりの強さから、「両論併記」的な書き方で済ませるのはなく、「こちらが正しくてあちらは誤用だ」というような論調になっていったのだろう。

さらに元々の「素直クール」自体が廃れ気味であったため、「クーデレ=素直クール」派も衰退していき、2010年頃までに「クーデレ=クールなツンデレ」派が支配的になっていったのではないか…。

ちなみに

少し前にTwitterでアンケートを取ったらこんな感じだったので、「使う機会が少ないから騒いでいないだけでクーデレ=素直クールという認識のまま来ている人」はわりと残っているのではないかと思う。あなたはどうですか?

ところで

改めて考えると「クーデレ」誕生ですら15年前である。そりゃあ意味だって変わるし由来も忘れられるだろうというものである。なんでいまさらこんな記事を書いたかというと、最近になって「クーデレ」を題材としたラブコメラノベがいくつか出てきているからである。

(あらすじから「ワケありクーデレ美少女と紡ぐ、解放感120%の旅ラブコメ!」)

おめーら気楽に「クーデレ」って使ってるけどちゃんと歴史的経緯を踏まえて「素直クール」の意味なのか「クールなツンデレ」の意味なのか明示しろよ?ああん?と思ったので、とりあえず歴史的経緯を書いてみた次第である。どちらの定義が正しいかという議論をするつもりは特にないのでよろしく。

韓国の「異世界転生もの」「悪役令嬢もの」の解説記事を翻訳して読んでみる

日本のコンテンツ業界を「なろう系」が席巻するにしたがって、中国や韓国のWeb小説事情も漏れ伝わってくるようになりました。それによれば、中国でも韓国でも、細かい差異はありつつ、似たような主人公最強もの、異世界転生もの、ゲーム転生もの、あるいは悪役令嬢ものが流行しているようです。ところが、それらについて互いにどう影響しているのか、というところが、なかなかはっきりしません。

異世界転生は二十年前から定着していますよ」みたいな韓国人のインタビューがあったり、「日本のWeb小説は時代遅れだよ」という中国の翻訳ブログがあったり、もちろん日本でもWeb小説を語るときに「中国や韓国の影響があった」なんて話は聞かないわけで、じゃあいったいどこが最初でどこから影響を受けているんだ、もしかすると収斂進化のようにWeb小説では似たジャンルが流行するというだけなのか……などと悩んでいた次第です。

日本のラノベ、ネット小説は時代遅れだと中国で言われるのはなぜか 中国オタク事情新年編【中国オタクのアニメ事情】 - アキバ総研

韓国でも「異世界転生」が流行している? 韓国ウェブ小説の衝撃(飯田 一史) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)

日本の悪役令嬢と韓国の悪女…ピッコマに悪女作品について聞いてみた | 教えて!悪役令嬢 Vol.3 - コミックナタリー

というわけで、韓国ナムウィキの異世界転生ものや悪役令嬢ものに関連する項目のうち、特に関係のありそうな部分をNAVER papagoを使いながら翻訳してみました。私は韓国語はまっっっっったくできないので誤訳も多いと思いますが予めご了承ください。

中国のほうは今回は無しです。大変なので。

「ちょっと待って、そもそも日本のWeb小説で異世界転生とか悪役令嬢が流行りはじめたのっていつごろなの?」という方は、以下の記事を読んでいただければ多少の参考になるのではないかと。

「エヴァSS」から「小説家になろう」までのWeb小説年表 - WINDBIRD::ライトノベルブログ

悪役令嬢は「小説家になろう」において如何にして生まれたか? - WINDBIRD::ライトノベルブログ

では見てみましょう。

フュージョンファンタジー

퓨전 판타지 - 나무위키

概要

フュージョンファンタジー(Fusion Fantasy)は、韓国のファンタジー小説の代表的なジャンルで、ファンタジーに異なるジャンルを融合(フュージョン)させるジャンルをいう。

基本的に「他のジャンルとのフュージョン」であるが、事実上、韓国における異世界ファンタジーものの通称となっている。フュージョンファンタジーが登場したごく初期である2000年代初めには、実際に武侠や他の様々なジャンルを混ぜて作った傾向が強かったが、時代が経つにつれて異世界ものが氾濫し、2000年代半ば以降、事実上「異世界もの」と同じ意味で使われるようになり、その後、レンタル店が没落してウェブ小説が幅を利かせる2010年代半ばになって、再び本来の意味である「多様なジャンルを融合させたジャンル」に戻った。

2000年代のレンタルブック店時代と2010年代以降のウェブ小説時代を通して人気ジャンルだが、2000年代のフュージョンファンタジーと2010年代以降のフュージョンファンタジーは名前だけは同じで、事実上、全く違うジャンルと言ってもいいほど内容や展開、クリシェに大きな差がある。

余談として、「フュージョンファンタジー」が登場したあと、従来の1990年代パソコン通信時代のファンタジー小説をそれと区別して「正統ファンタジー」という用語で呼び始めた。 したがって、この記事では2000年代と2010年代以降のフュージョンファンタジーを別々に区分して記述する。

개요

퓨전 판타지(Fusion Fantasy)는 한국 판타지 소설의 대표적인 장르로, 판타지 장르에 다른 장르를 혼합/퓨전한 장르를 일컫는다.

기본적으로 '다른 장르와의 퓨전'이라고는 하지만, 사실상 한국에서 이세계 판타지물를 통칭하는 단어이다. 퓨전 판타지의 등장 극초기인 2000년대 초반에는 정말로 무협이나 다른 여러가지 장르들을 혼합해서 만든 경향이 강했지만 시대가 지나면서 점점 이세계물이 범람하더니 2000년대 중반 이후에는 사실상 이세계물과 동일한 뜻으로 사용되었다가, 이후 대여점이 몰락하고 웹소설이 득세하는 2010년대 중반 쯤 가서야 다시 원래 뜻인 '다양한 장르들을 혼합한 장르'로 되돌아갔다.

2000년대 도서대여점 시절과 2010년대 이후 웹소설 시절을 관통하는 인기 장르지만, 2000년대의 퓨전 판타지와 2010년대 이후의 퓨전 판타지는 이름만 같지 사실상 완전히 다른 장르라고 봐도 무방할 정도로 내용 전개와 클리셰가 천지차이다.

여담으로 '퓨전 판타지'가 등장하면서 기존의 90년대 PC통신 시절 판타지 소설을 따로 묶어서 정통 판타지라는 용어로 부르기 시작했다. 따라서 본 문서에서는 2000년대와 2010년대 이후의 퓨전 판타지를 따로 구분해서 서술한다.

2000年代の韓国では、漫画や小説を貸し出すレンタルブック店が隆盛していたようです。

韓国においては,レンタルブック店の急増により,「マンガは買って読むもの」から「マンガは借りて読むもの」という意識が浸透し,年間コミックス販売部数の8割は貸本店が購入し,消費者が直接購入するコミックスは,人気上位10から15作品に限られ,部数は全販売部数の2割を占めるに過ぎず,コミックスの販売部数はピーク時の1割から2割に激減したといわれている。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/04011402/003.htm

Web小説の人気が出ると、出版社が書籍化して、読者はそれをレンタルブック店で借りる、というかたちで作品が広まっていたようです。しかし2010年代に入ると、レンタルブック店は衰退し、読者はWeb小説プラットフォーム上で直接的に課金をするようになった、という流れですね。

「正統ファンタジー」というのは、「フュージョンファンタジー」の対立概念で、転移・転生要素とかゲーム要素とか武侠要素とかが含まれない、オーソドックスな西洋ファンタジーを指しているようです。そうした作品は、1990年代のパソコン通信時代に人気があったので、こういう書き方になっているみたいですね。

2000年代のフュージョンファンタジー

フュージョンファンタジー」という単語自体は多様なジャンルをフュージョンするという意味だが、ごく初期にはファンタジー世界観に武侠小説世界観の要素が入る小説を通称する表現として使われた。 「ソードエンペラー」のように現代-近未来ないしはSF的世界観まで含まれる場合もあったが、ほとんどは読者層が慣れ親しんだ、定型化されたファンタジー武侠の2つの世界観を行き交う構造だった。 以後、フュージョンファンタジーが主流ジャンルとして定着した後に意味が拡張され、転生・次元移動・イゴケンなどをすべて含めた「異世界もの」を通称する表現として使われるようになる。 こうしたフュージョンファンタジーは『墨香』ファンタジー編が始まりと言えるが、厳密に言えば真の元祖は『サイケデリア』だ。

2000년대의 퓨전 판타지

퓨전 판타지라는 단어 자체는 다양한 장르를 퓨전한다는 뜻이지만 극 초기에는 판타지 세계관에 무협소설 세계관의 요소가 들어가는 소설을 통칭하는 표현으로 쓰였다. 소드 엠페러와 같이 현대-근미래 내지는 SF적 세계관까지 포함되는 경우도 있었지만 거의 대부분은 독자층이 익숙할 대로 익숙한, 정형화된 판타지와 무협 두 세계관을 오가는 구조였다. 이후 퓨전 판타지가 주류 장르로 자리잡은 뒤에 의미가 확장되어 환생물, 차원이동물, 이고깽 등을 모두 포함한 이세계물을 통칭하는 표현으로 쓰이게 된다. 이러한 퓨전 판타지는 《묵향》 판타지편이 시초라고 볼 수 있지만, 엄밀히 따지면 진정한 원조는 《사이케델리아》다.

「次元移動」は「異世界転移」のことです。

「イゴケン」というのは、2000年代の韓国で大流行した「イ(イセゲ・異世界)」「ゴ(ゴディン・高校生)」「ケン(ケンパン・乱暴する)」という各要素のことで、高校生が異世界に行って暴れまわるような、つまりは異世界転移・俺TUEEE作品を指すスラングらしいです。ちなみに「俺TUEEE的な最強主人公」のことはTRPG用語から「マンチキン」とも呼ばれているようです。

『サイケデリア』は1998年からパソコン通信上で連載され、2000年に発売された小説で、それ以前にも「フュージョンファンタジー」的な要素を備えた作品はいろいろあったものの、元祖としてはとりあえず『サイケデリア』の名前が挙がるようですね。

『墨香』は1999年に発売された小説で、ファンタジー異世界転移)と武侠を融合させた最初の作品として大ヒットし、後続の作品にめっちゃくちゃ影響を与えたらしいです。『墨香』のほうが発売が先なのに、『サイケデリア』がフュージョンファンタジーの元祖とされるのは、『墨香』の初期は純粋な武侠小説で、第二部「ダークレディ」編以降にファンタジー要素を導入したからのようです。ピッコマで漫画化されています。
墨香 DARK LADY|無料漫画(まんが)ならピッコマ|KUKIT LEE JaeHun JEON DongZo

ちなみに、これらの作品よりまえだと、日本でも発売された『ドラゴンラージャ』が韓国では人気でした。これは1997年にパソコン通信上で連載され、1998年に出版されて大ヒットした作品です。『ドラゴンラージャ』や、それに影響されて出版されたファンタジー作品が、先述した「正統ファンタジー」と呼ばれる作品群にあたるのだと思います。

移動方法による分類

転生もの

転生を介して(異世界に)移動するという話。元祖は『ストーリー・オブ・ファンタジー』(ファンタジー→現代)であり、転生ファンタジーの骨格を作り出した小説は『錬金術師』、そして転生ものの流行を生んだ作品は『アリン物語』だ。 転生しても記憶はほとんどそのまま維持され、前世の記憶を通じて赤ちゃんの時から武功を遂行したりして、天才的な実力を備えるようになる場合がよくある。 さらに胎児の時から運気調息をして経穴が100%開かれたりもする。 次元移動ものとともに2000年代のフュージョン·ファンタジーの二大鉱脈だった。

이동방법에 따른 분류

환생물

환생을 통해 이동을 한다는 이야기. 시초는 《스토리 오브 환타지》(판타지→현대)이며, 환생 판타지의 골격을 만들어낸 소설은 《연금술사》, 그리고 환생물 유행을 불러온 작품은 《아린 이야기》다. 환생을 해도 기억은 거의 그대로 유지되며, 전생의 기억을 통해 아기 때부터 무공을 수행하거나 해서 천재적인 실력을 갖추게 되는 경우가 자주 있다. 심지어는 태아때부터 운기조식을(...) 해서 혈이 100% 뚫리기도. 아래의 차원이동물과 함께 2000년대 퓨전 판타지의 양대산맥이었다.

武功だとか運気調息だとかは武侠ものの用語ですね。これで翻訳が合ってるのか怪しいですけど、まあつまり「転生して幼い頃から魔術の練習をして魔力量がアップ」みたいな話のようです。武侠ファンタジーだと「気功」と「マナ」が同一視されて、中国武術の修行がすなわち魔法の修行になる、みたいな展開になることが多いみたいですね。

さて、個人的に「なろう系」の独自性は「転移」より「転生」にあると思っているんですよ。つまり異世界に転移したり召喚されたりする話はそれこそ『ナルニア国物語』の頃から無数にあって、日本国内で言っても1980年代から1990年代にかけて流行していたけれど、「異世界に別人として生まれ変わる話」ってあんまり無かったじゃないですか。

「別世界」に「別人」として生まれ変わる物語はいつからあった? - Togetter

日本のWeb小説における「異世界転生」は、オリジナルキャラが原作キャラクターに憑依転生するような二次創作小説がベースにあって、そこから2000年代を通じて二次創作界隈で発展していったものだと思うんですが、それとは別に「2000年代に韓国で異世界転生ものが発展していた」というなら、それはかなり重要なポイントだと思うんですよね。

というわけでフュージョンファンタジーについてはいったん措いて、「転生もの」の項目を見てみましょう。

転生もの

환생물 - 나무위키

2000年代のレンタルブック店時代

2000年代の韓国ファンタジー小説における転生ものは、フュージョンファンタジーサブジャンルで、2000年代初めから半ばにかけて主流を占めていたジャンルの一つであった。

2000年代の韓国ファンタジー小説の転生ものと、日本のライトノベル異世界転生ものは、主人公が元々住んでいた世界で死んだ後、別の世界で転生(前世)し、新しい人生を送るという部分で共通点を見出すことができ、大きな枠組みから見ると同じジャンルだと言える。 しかし、細かい部分で言えば、韓国のレンタルブック店時代のファンタジー小説は、日本の異世界転生ものにおいてチート能力で表現されるような特別な理由はなく、主人公がチートであることを避ける場合がほとんどで、一般的な高校生が異世界に移る理由として「転生もの」にする場合は多くなく、ドラゴンものの下位ジャンルとしてドラゴンの体の中に人間の魂が入ったり、武侠世界観の強者が何かの理由で死んでファンタジー世界に転生する場合がもっと多かった。

2000년대 도서대여점 시대

2000년대 한국 판타지 소설에서 환생물은 퓨전 판타지의 하위 장르로써 2000년대 초중반에 주류의 자리를 차지했었던 장르 중 하나였다.

2000년대 한국 판타지 소설의 환생물과 일본 라이트 노벨의 이세계 전생물은 주인공이 원래 살던 세계에서 죽은 뒤 다른 세계에서 환생(전생)하여 새로운 인생을 살아간다는 부분에서 공통점을 찾을 수 있으며 큰 틀에서 본다면 같은 장르라고 할 수 있다. 하지만 세부적으로 들어간다면 한국의 2000년대 도서대여점 시절 판타지 소설은 일본의 이세계 전생물의 치트 능력으로 표현되는 별 이유 없이 주인공이 사기인 경우를 지양하는 경우가 대부분이라 일반 고등학생이 모종의 이유로 이계로 넘어가는 경우에 환생물을 사용하는 경우는 많지 않았고, 드래곤물의 하위 장르로써 드래곤의 몸 안에 인간의 영혼이 들어가거나 무협 세계관의 강자가 모종의 이유로 죽어 판타지 세계로 환생하는 경우가 더 많았다.

このあたりの訳が難しい。2000年代の韓国の転生ものでは、日本の作品のように転生の際に得るチート能力(いわゆる「転生チート」)がなかったので、もともと強い力を持っていない高校生を主人公として描くときにわざわざ「転生」という手段を選択することは少なかった、という話をしてるのかな。

韓国ファンタジー小説で転生ものの流行を本格的に呼んだ作品は『アリン物語』だ。 平凡な女子高生がファンタジー世界のドラゴンに生まれ変わるという内容の作品である『アリン物語』は当時爆発的な人気を呼び、以後『アリン物語』の人気に支えられ数多くの転生ものが量産されはじめた。 このように量産され始めた転生ものは、2000年代初め、韓国で『サイケデリア』と『墨香』を筆頭にしたフュージョンファンタジーの流行の影響を受け、次元異動もの(異世界転移もの)とともにフュージョンファンタジーの二大下位ジャンルとして全盛期を謳歌し、韓国ファンタジー小説の主流ジャンルに浮上することになる。

한국 판타지 소설에서 환생물 유행을 본격적으로 불러온 작품은 아린 이야기다. 평범한 여고생이 판타지 세계의 드래곤으로 환생한다는 내용의 작품인 아린 이야기는 당시에 폭발적인 인기를 끌었으며, 이후 아린 이야기의 인기에 힘입어 수많은 환생물이 양산되기 시작했다. 이렇게 양산되기 시작한 환생물은 2000년대 초반 한국에서 분 사이케델리아와 묵향을 필두로 한 퓨전 판타지 유행의 영향을 받아 차원이동물(이세계 전이물)과 함께 퓨전 판타지의 양대 하위 장르로 리즈 시절을 누리며 한국 판타지 소설의 주류 장르로 떠오르게 된다.

『アリン物語』は2000年に発売された作品で、そのあと「ドラゴンもの」というジャンルができるくらいドラゴン転生が流行ったらしいです。

もちろんドラゴンだけでなく、「異世界に別人として生まれ変わる」作品も多くあったようなので、これについては間違いなく韓国が先行していたことになります。

このように2000年代初めに全盛期を迎えた転生ものは量産化され、現在の日本で流行している異世界転生ものと似た問題点を露呈するようになり、結局は2000年代後半、『月光彫刻師』を筆頭としたゲームファンタジー小説がレンタル店を席巻し、韓国ファンタジー小説市場の主流として浮上すると、転生ものは上位ジャンルのフュージョンファンタジーと共に徐々に衰退しはじめ、主流の座から追い出されるようになった。

이렇게 2000년대 초반에 전성기를 맞았었던 환생물은 양산화되면서 현재 일본에서 유행하고 있는 이세계 전생물과 비슷한 문제점들을 노출하게 되었고 결국 2000년대 후반 달빛조각사를 필두로 한 게임 판타지 소설이 대여점을 석권하며 한국 판타지 소설 시장의 주류로 떠오르자 환생물은 상위 장르인 퓨전 판타지와 함께 서서히 몰락하기 시작하여 주류의 자리에서 밀려나게 된다.

『月光彫刻師』は2007年の作品、VRMMORPGで「彫刻師」というジョブになった主人公が活躍するという内容で大ヒットし、「ゲーム小説」の流行のきっかけとなった作品らしいです。ゲーム小説というのは、VRMMORPGに限らず、「ステータスウィンドウ」や「レベルアップ」といったゲームの要素を大きく取り入れた作品全般を指すようです。逆に言うと、それまでのフュージョンファンタジーはゲーム的要素が薄かったわけですね。

というわけで、2000年代末に衰退したらしい「フュージョンファンタジー」の解説に戻りましょう。

フュージョンファンタジー

퓨전 판타지 - 나무위키

2010年代以降のフュージョンファンタジー

2010年代のWeb小説時代にも、依然としてフュージョンファンタジーは人気のある現役ジャンルだが、過去にイゴケン・転生もの・次元移動ものが流行した2000年代のレンタルブック店時代のファンタジーとは、主人公が異世界に行くという点を除けば、完全に違うジャンルに変貌した。
(中略)
このような2010年代のフュージョンファンタジーパラダイム転換をもたらした先駆作は、2012年からジョアラで連載された『メモライズ』で、『メモライズ』は既存のフュージョンファンタジー世界観の大部分を廃棄し、「ステータス」や「チュートリアル」などのゲーム要素を取り入れながら全く新しい世界観を提示した。
(中略)
2010年代以降のフュージョンファンタジーは、異世界ものを通称する表現として使われた過去とは異なり、カテゴリがさらに拡張され、異世界ものでなくても異なるジャンルをフュージョンした作品であれば、フュージョンファンタジーに分類される場合が増えている。

2010년대 이후의 퓨전 판타지

2010년대 웹소설 시대에도 여전히 퓨전 판타지는 인기 있는 현역 장르지만, 과거 이고깽, 환생물, 차원이동물이 유행하던 2000년대 도서 대여점 시절 판타지와는 주인공이 이계로 간다는 점만 제외한다면 완전히 다른 장르로 변모했다.
(中略)
이러한 2010년대 퓨전 판타지의 패러다임 전환을 불러온 선구작은 2012년부터 조아라에서 연재됐던 MEMORIZE로, 메모라이즈는 기존의 이고깽, 현대인 천재론, 양판소/필수요소, 소드마스터, 서클 매직, 마나 등이 중심이 된 퓨전 판타지 세계관을 대부분 폐기하고 상태창과 튜토리얼 등 게임 요소를 도입하면서 완전히 새로운 세계관을 제시했다.
(中略)
2010년대 이후의 퓨전 판타지는 이세계물을 통칭하는 표현으로 쓰였던 과거와는 달리 범주가 더욱 확장되어 이세계물이 아니더라도 서로 다른 장르를 퓨전한 작품이라면 퓨전 판타지로 분류되는 경우가 늘어나고 있다.

2010年代に入って、レンタルブック店からWeb小説の時代になると、フュージョンファンタジーは衰退し、代わってゲーム小説や現代ファンタジーが流行して、さらにそれらのジャンルが細分化されていった、という流れのようです。

たとえば現代ファンタジーのジャンルでは、過去に戻った主人公がビジネスの世界でのし上がっていくという、日本で言えば『現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変』みたいな作品だったり、スポーツ選手が自分の人生をやりなおすという、日本で言えば『やり直してもサッカー小僧』のような作品だったりが人気を獲得していったようです。などと、日本の類似作品を例示してみましたが、もちろん日本ではほとんど流行していないジャンルなので、こうした分野では韓国のほうが先行していると言えるでしょう。

また、2012年ごろから流行りはじめたという「ハンターもの」「レイドもの」というジャンルは、現代に出現したダンジョンに対してパーティを組んで攻略に挑むというジャンルで、日本で言うところの「現代ダンジョンもの」に近いですが、こちらも日本から影響を受けたわけではなく、ゲーム小説や現代ファンタジーの流行を背景として生まれたようです。

しかし「韓国式異世界もの」と呼ばれるジャンルについては、これは日本の異世界ものと、『GANTZ』などのデスゲーム漫画とが融合したもので、「異世界に召喚された人間たちが殺し合う」ようなジャンルになっているらしいです。フュージョンファンタジーが衰退したので、代わりに日本で流行しはじめていた異世界ものをアレンジして輸入しようという試みがあり、そのなかでデスゲームと組み合わせた「韓国式異世界もの」が成功して広まった(その代表格が先述の『メモライズ』だとか)、という流れのようです。なろう系で「デスゲーム」と言えば『SAO』由来の「ログアウトできないVRゲーム」のことですが、韓国式異世界ものはさらに殺伐とした世界観のようですね。

こうして細分化されていったジャンルを組み合わせて融合したものが、2010年代における「フュージョンファンタジー」である、つまり「異世界もの全般」くらいにまで拡散した定義が、また一周して元の意味に戻ってきたのだ、ということのようです。

では最後に「悪役令嬢もの」について見てみましょう。

悪女憑依もの

악녀 빙의물 - 나무위키

概要

女性主人公が、小説の中の主人公のライバルである悪女に憑依する、女性向けの本憑依もの、ロマンスファンタジー

悪女を主人公にした悪女ものと、女性向けの本憑依もの/エキストラ憑依ものが合成されて作られ、その後、日本の悪役令嬢もの、2010年代後半の女性叙事に影響を受けて、悪女もの・悪女クリシェが注目されるようになり、本格的な活性化が始まった。

개요

여주가 소설 속 주인공의 대립항인 악녀로 빙의하는 여성향 책빙의물, 로맨스 판타지 장르.

악녀를 주인공으로 하는 악녀물과 여성향 책빙의물/엑스트라 빙의물이 결합되며 만들어졌으며, 이후 일본의 악역 영애물, 10년대 후반 여성서사에 영향을 받아 악녀물, 악녀 클리셰가 주목받으면서 본격적으로 활성화되기 시작하였다.

これ以降は、韓国のジャンルは「悪女憑依もの」、日本のジャンルは「悪役令嬢もの」と、それぞれ書き分けていきますので注意してください。

「本憑依もの」というのは「本の中の世界に入る」系のジャンルのことです。韓国のWeb小説では、男性向け作品と女性向け作品が厳格に分けられていて(フェミニズム的な対立の激化も影響しているらしい)、それぞれに流行もバラバラなのですが、本憑依に関しては、もとは女性向けのジャンルだったのが、2010年代後半に男性向けの人気作も登場するようになり、珍しく男女ともに人気のあるジャンルになっているようです。

「ロマンスファンタジー」は、単なる「異世界恋愛ファンタジー」にとどまらず、韓国における(ハイ/ロー問わず)ファンタジー要素を含む女性向けWeb小説全般を指す言葉になっているらしいです。

「エキストラ憑依もの」は、本に限らず「創作物の世界に入る」系のジャンル全般のことで、ここで言う「エキストラ」はどうもテレビドラマなどにおける「エキストラ=端役」のことのようですね。なろう風にいえば「モブ」「脇役」あたりでしょうか。

「女性叙事」というのは、韓国でのラディカル・フェミニズムの高まりに応じて流行した、「女性が主体的に活躍する物語」のことらしいです。どちらかというと漫画やテレビドラマにおける流行で、それがWeb小説の流行にも影響した、ということのようです。

歴史

それ以前の類似事例

過去の類似事例として、2007年にインターネット連載されていた『シルウェン皇女』がある。 初期のロマンスファンタジーである『シルウェン皇女』は、小説の中で性格が悪く暴れん坊の皇女であるシルウェンに憑依する話を描いている。 すなわち、本憑依ものと悪女憑依もののモチーフを同時に使用している。

ただし、この場合はロマンスファンタジーの界隈がまだ形成されつつあった時期のため、『シルウェン皇女』が提示した悪女+本憑依のモチーフは、2010年代の悪女憑依ものと、実質的な継承関係・関連性があるとは言い難い。このような悪女クリシェと本憑依クリシェがジャンル初期から使われていたことを示し、悪女クリシェのこうした一面をジャンル的な先例として後続作家たちに提示した、といった程度に考えられる。

역사

이전의 유사 사례

과거의 유사 사례로는 2007년 인터넷 연재되었던 《시르웬 황녀》가 있다. 초기 로맨스 판타지인 시르웬 황녀는 소설 속 개차반이자 망나니 황녀인 시르웬으로 빙의하는 이야기를 다룬다. 즉 책 빙의와 악녀 빙의 모티프를 동시에 사용하는 것.

다만 이 경우 로맨스 판타지라는 계(界)가 형성되는 시점이므로, 《시르웬 황녀》가 제시한 악녀+책빙의 모티프는 10년대에 제시될 장르인 악녀 빙의물과 실질적인 계승관계나 연관성이 있다고 하긴 어렵다. 따라서 이 경우는 악녀 클리셰와 책빙의물 클리셰가 장르 초기부터 사용되었으며, 이러한 악녀 클리셰의 양상을 후대의 작가들에게 장르적인 선례로 제시한 정도로 볼 수 있다.

二つめの段落が難しくて訳に自信がない。

2010年代初頭

韓国の悪女憑依ものの原型は、2011年にジョアラに連載され正式出版されたユ・ハンリョの『ラシタ!』とされる。 『ラシタ!』は、自分が書いた荒唐無稽な小説『ラシタ』の悪女ドルビーチェに憑依する話で、その後、同作者の小説『インソの法則』とともに、女性向け本憑依ものの本格的な流行を引き起こしたとされる。

一方、それから7カ月後の2011年11月に連載を開始した『捨てられた皇妃』には、現在の悪女憑依ものの通俗的クリシェが登場する。

10년대 초

한국의 악녀빙의물의 원형은 2011년 조아라에 연재되어 정식 출판된 유한려의 《라시타!》로 여겨진다. 라시타!는 자신이 썼던 막장소설 '라시타'의 악녀 돌비체로 빙의하는 이야기를 다루며, 이후 동 작가의 소설 《인소의 법칙》과 함께 여성향 책빙의물의 본격적인 유행을 이끌어내기도 한다.

한편 그로부터 7개월 뒤인 2011년 11월 연재를 시작한《버림받은 황비》는 악녀물 장르로서 현재 악녀 빙의물의 통속적인 클리셰를 이르게 선보인다.

『ラシタ』で発音あってるのかな。『インソの法則』は現代を舞台にした作品ですが、どちらかというと「女性向け本憑依ものの本格的な流行」の起点になったのは『ラシタ』よりも『インソ』の方らしいですね。『インソの法則』の投稿開は2013年7月ごろ。ピッコマで漫画化されています。
ネット小説の法則|無料漫画(まんが)ならピッコマ|A Hyeon Yu Han-ryeo

『捨てられた皇妃』もピッコマで漫画化されていて、あらすじを読むかぎり、悪女憑依というよりは、婚約破棄+時間遡行という感じでしょうか。
捨てられた皇妃|無料漫画(まんが)ならピッコマ|iNA Yuna

2010年代後半:本格的な活性化

以後、悪女憑依ものが本格的に創作されるのは、日本の悪役令嬢ものが翻訳された後、そして2010年代中盤〜後半の「女性叙事」に関心が高まってからだと思われる。

2010年初頭を過ぎ、ロマンスファンタジー市場が活性化する中、日本の『謙虚、堅実をモットーに生きております!』が2013年中頃に韓国に翻訳される。 これにより「悪役令嬢もの」が作家・読者に読まれるようになり、これに影響を受けて既存の類似クリシェである「悪女憑依もの」の創作が活性化し始める。 悪役令嬢ものや乙女ゲーム憑依もののクリシェと設定を多数輸入し、本憑依ものではなく乙女ゲームを舞台にした悪女憑依ものが生じたりもした。

一方、これによって悪女憑依ものが、悪役令嬢ものの影響を受けて生まれたジャンルだという認識が生まれたりもした。しかし上述のように悪女に憑依する女性向け憑依ものの試みは、その関連クリシェがそれ以前から存在したため、影響を受けて作られたとは言えない。 ただ、2015年以来、悪役令嬢ものの影響を受けたのは事実である。 詳細については、後述される「悪役令嬢ものとの関係」の段落を参考のこと。

10년대 중후반 : 본격적인 활성화

이후 악녀 빙의물이 본격적으로 창작되는 것은 일본 악역 영애물이 번역된 후, 그리고 10년대 중후반 여성 서사에 관심이 높아진 후 부터로 여겨진다.

10년도 초를 지나며 로맨스 판타지 시장이 활성화되는 가운데, 일본의 겸허, 견실을 모토로 살아가고 있습니다가 2013년 중순 한국에 번역되기 시작한다. 이로 인해 악역 영애물이 작가, 독자에게 읽혀지기 시작하였고, 이에 영향을 받아 기존 유사 클리셰인 악녀 빙의물 창작이 활성화되기 시작한다. 악역 영애물의 오토메 게임 빙의 클리셰와 설정을 다수 받아들여 책빙의물 혹은 엑스트라 빙의물이 아닌 오토메 게임 빙의물인 악녀 빙의물이 생겨나기도 한다.

한편 이로 인해 악녀 빙의물이 악역 영애물의 영향을 받아 생겨난 장르라는 인식이 생겨나기도 한다. 그러나 상술된 것 처럼 악녀에 빙의하는 여성향 책빙의물이란 시도, 관련 클리셰는 07년, 11년 초부터 존재하였으므로 영향을 받아 만들어졌다곤 할 수 없다. 다만 2015년 이래로 악역 영애물의 영향을 받은 것은 맞다. 자세한 사항은 후술될 악역 영애물과의 관계 문단 참고.

先ほどの『インソの法則』の投稿開始と、韓国で『謙虚』が翻訳・紹介されたのがほとんど同時期のようです。ということは「女性向け本憑依ものの流行」と「悪女憑依ものの活性化」は意外に時期が近いということになるのでしょうか。

悪役令嬢ものは悪女憑依ものの嚆矢?

一方、悪女憑依ものは、ジャンルが流行する過程で、日本の類似ジャンルである悪役令嬢ものから影響を受けることもあった。 本憑依もの、悪女憑依ものと非常に似た特徴を持つ悪役令嬢ものが、韓国に翻訳されて紹介される過程で、様々なクリシェの展開に影響を受けるようになったのだ。 一方、この過程が誤解され「悪役令嬢ものが悪女憑依ものの嚆矢である」という話も出てくるようになった。

原型・クリシェの時代的な交差

しかし、「悪役令嬢もの」は「悪女憑依もの」の嚆矢とは言い難い。 例えば、日本の悪役令嬢ものが輸入される前から、韓国の悪女憑依ものの原型とも言える『ラシタ!』があったとか、悪女憑依ものでなくても『捨てられた皇妃』のように悪女憑依ものの通俗的クリシェを用いた小説があった。 つまり、もともと悪女憑依もの・悪女ものが創作され、その後、悪役令嬢ものが輸入され、ジャンル的な交流が起こったのである。 また、『ラシタ!』は『謙虚、堅実をモットーに生きております!』より連載日が2年ほど早いので影響を受けたとは言えない。 さらに、本の中の悪女に憑依するインターネット連載小説『シルウェン皇女』は、2007年から連載され人気を博した。

原型ジャンルの悪女ものと収斂進化

また、悪役令嬢もの・悪女憑依ものは、すべて原型的な「悪女もの」(悪女クリシェ)から発達したジャンルだ。 悪役令嬢ものが作られたなろう系、悪女憑依ものが作られたロマンスファンタジーは、女性向けのロマンスを背景に悪女ものを使用してきており、このような悪女ものにそれぞれゲーム憑依もの・本憑依もののクリシェを加えて作られたジャンルが悪役令嬢もの・悪女憑依ものである。 つまり、土台と発達過程が非常に類似した収斂·進化である。 その後、15年以来、悪役令嬢ものが韓国に翻訳・輸入され、悪女憑依もののクリシェに影響を及ぼし、本来同じジャンルがさらに類似している。

つまり、悪女憑依ものと悪役令嬢ものは、類似した土台とジャンルから発達した収斂進化と言え、その後、悪役令嬢ものが輸入され、悪女憑依ものに影響を与えて、さらに類似した形になったと言える。

악역 영애물은 악녀 빙의물의 효시?

한편 악녀 빙의물은 장르 유행과정에서 일본의 유사 장르인 악역 영애물에게서 영향을 받기도 하였다. 책빙의물, 악녀 빙의물과 굉장히 비슷한 맥락을 지닌 악역 영애물이 한국에 번역되어 소개되는 과정에서 여러 클리셰나 전개에 영향을 받게 된 것. 한편 이 과정이 오인되어 악역 영애물이 악녀 빙의물의 효시라는 이야기가 나오기도 한다.

원형, 클리셰의 시대적인 교차

그러나 악역 영애물은 악녀 빙의물의 효시라 하기 어렵다. 예를 들어 일본의 악역 영애물이 수입되기 전부터 한국의 악녀빙의물의 원형이라 할 수 있을 '라시타!'가 있었다던지, 혹은 악녀빙의물은 아니더라도 버림받은 황비처럼 악녀 빙의물의 통속적인 클리셰를 드러냈던 소설이 있어왔다[10]. 즉 본래부터 악녀 빙의물, 악녀물이 창작되고 있었으며, 이후 악역 영애물이 수입되면서 장르적인 교류가 일어난 것이다. 또한 '라시타!'는 겸허, 견실을 모토로 살아가고 있습니다보다도 연재일이 2년 가량 빠른 모습을 보이므로 영향을 받았다고 할 수 없다. 나아가 책속의 악녀로 빙의하는 인터넷 연재 소설 '시르웬 황녀'는 07년도부터 연재되어 인기를 끌었기도 했다.

원형 장르인 악녀물과 수렴진화

또한 악역 영애물, 악녀 빙의물은 모두 원형적인 악녀물(악녀 클리셰)로부터 발달한 장르이다. 악역 영애물이 만들어진 나로우계, 악녀 빙의물이 만들어진 로맨스 판타지는 여성향 로맨스를 배경으로 악녀물을 사용해왔으며, 이러한 악녀물에 각기 게임빙의물, 책빙의물 클리셰를 덧붙이며 만들어진 장르가 악역 영애물, 악녀 빙의물이다. 즉 토대와 발달과정이 매우 유사한 수렴진화인 것이다. 그 이후 2015년 이래로 악역 영애물이 한국에 번역, 수입되면서 악녀 빙의물 클리셰에 영향을 끼치면서 본래도 흡사한 장르가 더욱 유사해진다.


즉 악녀빙의물과 악역 영애물은 유사한 토대와 장르에서 발달한 수렴 진화라 할 수 있으며, 그 이후에 악역 영애물이 수입되며 악녀 빙의물에 영향을 주어 더욱 흡사한 모양새가 되었다고 할 수 있다.

うーん、「ジャンルの起源」と「ジャンルの流行の起点」は往々にして異なるもので、「悪女憑依」ジャンルの起源は『シルウェン皇女』や『ラシタ』だけど、流行の起点は日本の悪役令嬢ものである、というような話に感じますね。

まとめ

韓国では、2000年代からWeb小説が積極的に書籍化され、そのなかで「異世界もの」のファンタジーが爆発的に流行したことから、日本に先行して「転移」「転生」のさまざまな類型が登場していた。それらの多くは日本の「異世界もの」でも見られるもので、どちらかと言えば収斂進化的なものが多いが、2010年代には日本の「異世界もの」から影響を受けたジャンルも現れるようになった。

みたいな感じのまとめになりますかね。

こうして調べていて痛感したのは「韓国の人たち、ちゃんとWeb小説の歴史を記録してるの偉い〜」ということですね。

日本の「異世界もの」は、2000年代のあいだは二次創作界隈やアマチュアの個人小説サイトの奥底に留まっていて、書籍化もほとんどされなかったので表に出てきていない、だから誰も歴史を記録していないし把握もしていないんですね。「韓国が日本から影響を受けたところ」は向こうが記録しているので分かるけど、「日本が韓国から影響を受けたところ」は分からないという一方通行的な関係。

日本のWeb小説の歴史について書かれた記事というと飯田一史さんの「Web小説書籍化クロニクル」がほとんど唯一ではないでしょうか。Web小説を取り巻く状況を外側からジャーナリスティックに追った記事で、コミュニティの内側から見た当時の雰囲気やジャンルの変遷などはわかりませんが、非常に読み応えがあるのでオススメです。

以上、韓国のWeb小説事情の紹介でした。

ライトノベルの読者年齢を考える

はじめに

ライトノベルの読者年齢について語られるとき、近年はしばしば「高齢化した」ということが指摘されます。

しかしその多くは「現在のラノベ読者年齢が高い」ことだけをもって「高齢化した」と言っており、10年前あるいは20年前のラノベ読者年齢と比較していることはほとんどありません。なにせ資料が少ないからです。

私は2000年代からラノベ関連のニュースを観測していますが、ラノベ読者年齢の推移を表すわかりやすいデータはほとんど無かったと思います。しかも、10年前ならもっと資料が残っていたと思うのですが、いまや2000年代の多くの記事は削除されており、ネット上では遡れなくなっています。

というわけで、現在でも残っている「ラノベの読者年齢」のデータを、いまのうちに整理しておこうというのがこの記事の主旨です。

あらかじめ言っておくと、この記事を読んでも「ライトノベルの読者年齢」はわかりません。そのものズバリのライトノベル全体の読者年齢ではなく、ものすごく条件が限定されたデータだったりするからです。少なくとも「間接的に窺い知るためのもの」くらいに思ってください。

2004年ごろの「電撃文庫の特定作品」の読者年齢

http://www1.tcue.ac.jp/home1/takamatsu/104221/15.html
これは広告の媒体資料ですね。「電撃文庫は中高生の男女が中心読者層です!」との宣言が眩しい。そして当時の電撃文庫で売れ筋だった三作品の読者年齢が書かれています。

2004年がどういう時期だったかを補足しておくと、ライトノベル市場が拡大を始めつつ、『ライトノベル完全読本』や『このライトノベルがすごい!』といったラノベ解説本が刊行され、一般に「ライトノベル」というものが知られはじめた、「ライトノベル」という呼称が広まりはじめた時期となります。ラノベアニメが急増する直前でもあり、アニメ経由でどっと入ってきた読者の影響がまだ無かった頃のデータであるとも言えます。

キノの旅 イリヤの空 灼眼のシャナ
小学生 6.0% 0% 0%
中学生 46.3% 16.0% 36.0%
高校生 27.7% 39.0% 42.0%
大学生 8.8% 23.0% 11.0%
社会人 4.0% 12.0% 7.0%
その他 6.8% 9.0% 7.0%

※「その他」は主婦・フリーター・無職などの合算

キノは現在でも中高生に人気の「図書館に入っているラノベ」の定番ですね。おそらくライトノベルのなかでは(今も昔も)かなり読者年齢が低めの作品だと思います。

イリヤも今になるまで売れ続けているロングセラーですが、映像化はOVAのみ*1ですし、この中ではマニアックな印象があります。ゆえに大学生以上から支持を受けているのは納得できますね。

シャナは、2004年時点ではまだテレビアニメ放送前ですが、この三作品のなかでは「ライトノベルの平均的な読者層」に最も近いような印象です。

そして、その「シャナ」でさえ大学生以上の割合を合計すると25%、「イリヤ」にいたっては大学生以上の割合が44%にもなるということは、当時から20代・30代のラノベ読者がそれなりにいたことを示しています。

2008年ごろの「電撃文庫MAGAZINE」の読者年齢

http://web.archive.org/web/20090306075502/http://asciimw.jp/info/ad/comic/bunko-info.pdf
2009年初頭に公開されていた広告媒体資料です。データ的には2008年ごろのものでしょうか。添付されている表紙は2008年7月号ですね。

電撃文庫MAGAZINE」というものを解説すると、これは電撃文庫の旗艦雑誌だったのですが、ライトノベルは書き下ろしが中心なので、雑誌に掲載されているものは人気作品の外伝や短編が中心となっていました。漫画雑誌みたいに「自レーベル作品のショーケース」として機能していたわけではなく、むしろ各作品のファンが購入するいわば「ファンアイテム」的なものでした。「ラノベ読者ならたいてい買っていた」とは言い難く、必然的に「ラノベ読者」全体の傾向からはズレがあったであろうという点に留意せねばなりません。

棒グラフの数値を目分量で読み取って整理すると、

中学生 23%
高校生 22%
大学生 23%
それ以上 28%

くらいになりますか。ピークは15歳ですが、意外にまんべんなく広がっている印象です。平均年齢は20.3歳とあります。

2008年といえばラノベ原作アニメもすっかり定着した頃で、新しい読者が大量に流入して、「ライトノベルの黄金期」はこの時期とされることが多いのではないでしょうか*2。となると、パーセンテージに対して、それが示す読者の実人数はかなり異なっていることが予測されます。というわけで、先ほどの2004年ごろのデータと、こちらの2008年ごろのデータを、パーセンテージだけ見て単純比較するには、やはり注意が必要と思われます。

2010年の出版月報に掲載されたライトノベルの読者年齢

2015年ごろのPOSデータに基づくライトノベルの読者年齢

とりあえず表にしておきます。

10代 10〜20%
20代 20〜35%
30代 20〜35%

2015年のBOOK☆WALKERの「ライトノベルの平均読者年齢」

https://bookwalkerstaff.tumblr.com/post/128323701752/

条件としては、
BOOK☆WALKERで10冊以上書籍を所持している。
・書籍のうち50%以上がライトノベルである。
・会員登録情報として常識的におかしいものは省く。
(データは2015年8月末時点、 対象者数:企業秘密デス…m(__)m)
といった条件で対象者を抽出して、平均年齢を算出してみました。

結果・・・

平均年齢:31.8歳!

BOOK☆WALKERは、KADOKAWA直営ということでラノベ読者の多い電子書籍プラットフォームであり、その点では参考にできるのですが、「電子書籍」自体がクレジットカードなどの決済手段を必要とするので、そもそも中高生の読者は少ないであろうというバイアスがかかっています。

逆に言うと、かなり高めに出るであろう数字でも30歳程度ということは、実際の平均年齢はもっと低いとは言えるのかもしれません。

2016年の「小説家になろう」の読者年齢

https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1011309.html

ユーザーは、男性55%、女性29%、未回答16%。年齢は、10代以下が18%、20代が48%、30代が21%、40代が9%。ただしこれらの情報はユーザーの登録情報をもとにしており、相当数が未入力なのと、登録せずに読んでいる人もいるので正確なところは分からない。

ライトノベルそのものの情報ではないにしても「ライトノベル的な作品」の需要をおぼろげに察する材料にはなる?

2019年の「小説家になろう」の読者年齢

https://premium.kai-you.net/article/53

年齢層は20代が44パーセントで半分近く、10代が14パーセント、30代が24パーセントと、これでほぼ8割を占める計算になります。あとは40代が12パーセント、50代以上が6パーセントくらいでしょうか。

2016年と比較するとやや高齢化しているか?

考える

以下は個人の感想です。データだけ知りたい人は読まなくていいです。

まず「ライトノベルの読者は中高生」という前提を疑うべきです。これは「週刊少年ジャンプの読者は小学生」くらいの「建前」なのですが*3ラノベをよく知らない人がこれを信じてしまったため、「ラノベには20代30代の読者もいるよ」と聞いただけで「ラノベ読者って高齢化しているんだ」と思い込んでしまう現象がしばしば観測されます。2004年のデータからも分かるように、昔からライトノベルには20代以上の読者がそれなりにいました。

その上で、ライトノベル読者が高齢化しているのは事実だと思います。いまのラノベ業界が「中高生の男女が中心読者層です!」とはお世辞にも言えないでしょう。ただ「高齢化」というより「全年齢化」と言ったほうがしっくり来るんじゃないでしょうか。いわゆるオタク文化、漫画やアニメやゲームがいまどき「子供向けのもの」と言われないのと同じく、ラノベもまた全年齢に読まれるのが当然になっているわけです。

ただし、ライトノベルの読者年齢の話は「ライトノベル」自体の定義にも左右されます。たとえば、高価格なので読者年齢が高いとされるウェブ文芸の単行本や、想定読者年齢が20代以上だと言われるライト文芸、あるいは小学生向けの児童小説などを「ライトノベル」に含めるかどうかで、「ライトノベル」の読者年齢は如実に変わってくるのですね。

さらに、中学生のお小遣いは平均2500円、高校生のお小遣いは平均5000円らしいですが、いずれにせよそれだけでは月に何十冊も新刊を買い漁れるはずもないので、中高生のラノベ読者の行動は、学校図書館で読む、中古本を買う、親の持っている作品を読む、1つ2つの好きなシリーズだけを追いかける、などといった傾向になることは明らかです。これら中高生の読書行動は、書店のPOSデータなどからは窺いづらいはずで、このあたり実態としてどうなっているのかよくわかりません*4。近年であれば「小説家になろう」などでライトノベルとして書籍化されている作品が無料で読めるので、お金のない中高生がそちらに流れているということは考えられそうです。

ついでに、しばしば「大人向けラノベ」と称されるライト文芸ですが、中高生の「朝の読書」の人気ランキングを見ると「住野よる」や「有川浩」といったライト文芸の作品が上位を占めているわけで、このあたりもまた「想定イメージ」との乖離というか、やっぱり業界が「中高生向けに書きました」とか「大人狙いです」とか言ってるのは信用なんねえな、みたいに思ったりも。

というわけで結論としては「よくわからん」ということになるわけですが、少なくとも「年季の入ったラノベ読みでもラノベ読者がどのくらい高齢化しているかはよくわからん」のだ、ということだけ覚えてくれればOKです。以上です。

*1:2004年時点では未発売

*2:市場規模で見るとこの時期が最大というわけではないのですが

*3:そもそも「想定読者」と「実際の読者」は必ずしも一致するものではない

*4:学校での「朝の読書」調査などがひとつの判断材料になるでしょうか

「好きラノ 2021年上期」投票

声優ラジオのウラオモテ

いやめっちゃ良かったな。このシリーズは基本的に「声優の話」と「声優ラジオの話」が分裂してるんですよね。たとえばラジオでトークの経験を積んでも、リスナーが増えても、別に「声優」として演技が上手くなったりするわけじゃない。逆に、声優としての成長に焦点を合わせると、今度は「声優ラジオ」との関係が薄れてしまう。で、今回はその別々の話を力技で一つのパッケージに押し込んだ感じ。でもそれが正解だったと思う。前半がラジオリスナーのあいだで主役二人のガチ不仲説が囁かれて…という「声優ラジオ」の話。後半は、頼れる先輩がワーホリで鬱っぽくなっちゃって、そこから「声優」という職業の話になっていく。これがまたどっちもてぇてぇんすよね。

【21上ラノベ投票/9784049134995】

七つの魔剣が支配する

ゴッドフレイ先輩が最上級生になって、時の経つのは早いなあ、と思ったところで、三年生となった剣花団の面々の成長が、新入生たちの視点から描かれて、彼らが「かつてのゴッドフレイ先輩」のポジションに立っているんだなあと思わされる。今回はまるまる校内一武闘会、もとい「決闘リーグ」が描かれていて面白かったですね。大勢のキャラクターにそれぞれ見せ場を用意しつつ、複雑になりすぎずテンポ良く描かれている。やはりバトルものといえばトーナメント展開なんですね。

【21上ラノベ投票/9784049135305】

楽園ノイズ

やっぱり良いっすね。構成は一巻から変わらず。バンドメンバーの家庭問題とかを取り上げて、でもそれを明快に解決するわけではなく、うじうじぐだぐだと悩み続け、最後に超エモい演奏シーンで包み込んでなんとなく良い感じにオチをつける、みたいな感じ。いかにも杉井光だなあ、とほんわかしますね。今回はちゃんとラストに女装してくれて感謝感謝ですね。真琴くんは女装してなんぼなんですよ。それを真琴くん自身がわかってない。由々しきことです。あと、「さよならピアノソナタ」とのリンクもニヤニヤでしたね。ファンサービスが良い。

【21上ラノベ投票/9784049136814】

インフルエンス・インシデント

戦闘役の女子大生と探偵役の美人教授がインターネットにまつわる様々なトラブルを解決していく青春ミステリ。いわゆる「本格」というわけではないけど、素性当ての得意な探偵とか、事件の裏で糸を引く黒幕ポジの奴とか、ホームズ的なツボは押さえてるなという感想。作品内容としても、まあ「インターネットの正しい使い方」というような説教くさい話ではなく、なんかこうカーペットの裏から悪意が滲み出てくるような感じでグッと来ますね。主人公がやべえおねショタセクハラ女だったり、ネットストーカー被害を受けた男の娘配信者もわりとストーカー気質だったり、だいたい事件の解決方法が暴力&暴力だったりと、なんだか作風自体がちょっと露悪的でもある。銀賞受賞作らしくクセが強くて「これこれ、これだよ」と嬉しくなりました。期待どおりの面白さでしたね。

【21上ラノベ投票/9784049136852】

PAY DAY

ヒーローものベースの青春異能バトル。「日傘の魔女」という謎の存在によって怪物にさせられた四人の少年少女たち。自らの寿命を削ることで異能を使い、他人の寿命を奪ってまわる。それでも魔女の要求する寿命にはとても足りない。まさに借金漬けの自転車操業。そして目立ち過ぎれば最強の「ヒーロー」が飛んできて成敗される。進むも地獄、退くも地獄。仕方なく四人は一発逆転を期してヒーローに戦いを挑むのだが…というわけで、邪悪だけど熱血、暗黒だけど痛快、ヴィランを主役にしたアクションものとしても、クライムムービー的な青春友情ものとしても、非常に楽しい作品でしたね。

【21上ラノベ投票/9784046800770】

魔王2099

素晴らしかった。天変地異により科学世界と魔法世界が融合し、「魔導工学」の力で急激な発展を遂げた2099年の新宿において、実に五百年ぶりに復活した魔王。彼はメガコーポの社長となったかつての部下のもとに赴き、しかし最新の魔導工学の下に無様な敗北を喫する。……というわけで、魔法の発動を補助する電脳「ファミリア」、霊竄士(ハッカー)が跋扈する「エーテルネット」、パワードスーツとゴーレムが融合した「魔導鎧骨格」など、それらしいガジェットがわんさか登場する近未来SFファンタジー。「サイバーパンク世界に魔王が復活する」というアイディアもさりながら、それを裏打ちする技巧があり、そしてストーリーを一気に読ませる分かりやすさ、面白さがある。これは見事な新人が出てきたなという会心の受賞作だった。

【21上ラノベ投票/9784040739588】

亡びの国の征服者

相変わらずべらぼうに面白い。前半は天測航法を実現して交易が格段に広がる話。後半は隣国キルヒナ王国への援軍へ向かう展開。順調に成長してほぼ成人に近い年齢となり、人脈も商売も手広くなってきた感じ。世界観の厚みがずっしりと感じられる。戦争がひたひたと迫り来るまでの猶予期間、まさにモラトリアムといったところの平和を謳歌しているけど、この雰囲気が好きなので延々とこういう話をやっていてほしい気もするし、しかし決定的なターニングポイントを迎えるときが楽しみな気もする。とはいえ3巻まで終わっても、未だに国は亡びていないし、魔王になってもいないのである。

【21上ラノベ投票/9784865548495】

サイレント・ウィッチ

「七賢人」のひとりにして無詠唱魔法を操る「沈黙の魔女」が、王子様を密かに護衛するために学園に潜入する話。主人公が「魔法の天才」というより「数学の天才」として描かれているのが面白いところですね。「数学の天才が異世界に生まれたら魔法の天才として扱われる」というような感じ。また、主人公のキャラクターとしても、自己評価が低く、小動物のように震える鈍臭い少女といったところで、非常に可愛らしい。自然と、他の登場人物にはクールでサドっけの強いイケメンが多くて、虐げられる主人公が引き立ちますね。ちょっとしたミステリ要素もあって読み応えがありました。面白かったですね。

【21上ラノベ投票/9784040740355】

目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい

うーん、変わらず最高。宇宙エルフに続いて宇宙ドワーフが登場。ドワーフたちが働く「造船所」で惜しみなく金を注ぎ込んだ母艦を購入することに。というわけでmy new gear...感がいいな。ワクワクする。そして新たなクルーとして整備員として働くことになるドワーフの双子姉妹も登場する。彼女らに関するエピソードはドタバタコメディめいていてすこぶる楽しかった。肩の力を抜いて楽しめるコメディ展開に、ヒロインたちとのエロティックな関係、血生臭くも爽快なバトルアクション、少年心をくすぐるSFガジェット、というバランスが本当に素晴らしい。

【21上ラノベ投票/9784040740836】


隷王戦記

東方世界を征服した若き覇王により、愛する女と親友を奪われた主人公が、群雄割拠の「世界の中央」へと逃れ、奴隷の身分から再起を志すまでを描いた戦記ファンタジー。「漆黒の狼と白亜の姫騎士」のときは異能者たちの扱いがよくわからなくてリアリティレベルで混乱していたけど、本作では最初から「超常の異能を持った英雄たち」がいることが明示されるのでだんぜん読みやすいな。全体的にチンギスハンとバイバルスがモチーフっぽくて、中央アジアや中東あたりの雰囲気が濃い。全てを奪われてから這い上がっていく展開も、権謀術数が渦巻く「世界の中央」の状況も、王道の読み応えで面白かった。

【21上ラノベ投票/9784150314774】

ラノベ定義論スペースのメモ

書き起こしというほどでもない。聴きながら他の参加者の発言をメモしていたものを元に、後から動画を聴き直して自分の発言を補完したもの。詳しくは動画をお聴きください。


www.youtube.com

自己紹介(00:03:30〜)

夏鎖
ラノベブログ7年。イキってるラノベ読み。

mizunotori
ラノベを本格的に読み始めたのは2003年くらい。最近のオススメは「魔王2099」。

リイエル
なろう系Vtuberラノベは2003年くらいから。ここ5年ほどはラノベから離れ気味だったが、Web小説を読み始めて、なろう作品を紹介するような活動をしている。

岡田
編集者。2012年から「このライトノベルがすごい!」を担当。ラノベは2002年くらいから読んでいる。

平和
編集者。ラノベを読み始めたのはスレイヤーズのアニメくらいからで、大学の時期は離れていたが、2003年ごろからはずっとラノベを読んでいる。そのあとラノベ編集者になった。現在はストレートエッジ所属。冴えカノおもしろい。

なろう系単行本はラノベか?(00:08:40〜)

mizunotori。ある程度は合意を得られるだろうという議題。「なろう系単行本」は回りくどく言ったが「新文芸」。まあラノベだよね。

リイエル。ラノベではあるがラノベではない。狭義のラノベは若者向けに価格を抑えた文庫本であってこそ。単行本は中高生をターゲットにしていない。しかし文章・内容が軽く、挿絵が多いのがラノベであり、それはなろう系単行本と合致する。なろうから書籍化されたものの中には一般寄りの作品もある。が、概ねラノベではないか。

夏鎖。文庫かどうかは気にしていない。イラストとコラボレーションしているのがラノベ

岡田。なろう系とは何か。「新文芸」はUGCの作品群。ボカロ小説も含まれる。ライトノベルに組み込まれたのかなと思う。このラノでも難儀している。部門を分けている。読者層が既存のレーベルと違う。本の作りはライトノベルだよね。電子で買っている人は文庫か単行本かわかない。

平和。ラノベに含む。スタンスとしては、ライトノベルレーベルから出ていればライトノベルである。レーベル派。パッケージ派。作り手(出版社)の意図を重視する。ラノベの単行本は文庫のライトノベルの方法論を踏襲している。値段が違って意図してかどうか読者層が変わっている。ただ概ねラノベに含むのではないか。

質疑応答。

mizunotori。「なろう系」とはWeb小説サイトに投稿されていた作品全般を漠然とイメージしている。なろうの流行も変わっているし内容面では判断しづらい。キミスイ横浜駅SFもラノベ

なろうに投稿されたなろう系っぽくない作品もあるし、なろうではないけどなろう系っぽいラノベもあるし…みたいな話。

読者層で判断しているリイエルさんと岡田さん。イラストなどのパッケージで判断している夏鎖さんと平和さん。という整理。

mizunotori。ライトノベルという言葉は読者主導で作られたものであって、出版社の意図とは関係がない。という点で平和さんと対立。

ラノベ売り場って漫画売り場と隣接してる?みたいな話。

少女向け作品はラノベか?(00:36:28〜)

平和。広い意味ではラノベ。少女向けレーベルは少年向けレーベルと同じ方法論。とはいえラノベ読者は「ライトノベル」と言ったときに「ただし少年向けに限る」のような意識がある。その理由のひとつに、少女向け作品がラノベ扱いされたがっていないことがあるかもしれない。「少女小説」として定義する流れ。

夏鎖。少女向け・女性向けの作品群は「少女小説」として呼ばれたがっている気がする。

岡田。平和さんと似てはいる。ラノベだと思う。昔からあるビーンズなどはフォーマットも内容もライトノベル。オレンジ・富士見Lなどはライト文芸なんだけどラノベ。扱いが困る。混乱している。「少女小説」と呼ばれたがっているかは疑問。

リイエル。広い意味ではラノベ。狭義ではターゲットが違う。2005年前後くらいに創刊したビーズログ・ルルルあたりは少女向けライトノベルと名乗っていた。BL小説はラノベなのか。アルファポリスのレジーナブックスなどをどう捉えるか。

mizunotori。もちろんラノベ。「少女小説ラノベ扱いするな」という勢力がいると同時に「なぜ少女向けをラノベ扱いしてくれないのか」という勢力もいる。漫画で言うと、少年漫画は男性読者も女性読者も読むが、少女漫画は男性読者はあまり読まない、という非対称性がある。それと同じで、読まれていないので言及が少なくなってしまう。とはいえ、ブログ界隈でやっていた人気投票などでは、いくつかの少女向けラノベが入っていたし、昔からラノベとして扱われていたとは思う。

質疑応答。

夏鎖。オーバーラップノベルスfやKラノベブックス​fなど、男性向けレーベルから女性向け作品を出している流れについてどう思うか?

そもそも「本好き」「薬屋」など女性人気の高い作品が、少女向けレーベル以外から出てきている。ラノベで女性主人公は売れないという謎の偏見をなろう系が破壊した。みたいな話。

漫画のノベライズはラノベか?(01:01:25〜)

mizunotori。もちろんラノベ。昔からノベライズは売れていて、ロードスもTRPGのノベライズと言えなくもないし、スニーカーのガンダムや、ファミ通文庫のゲームノベライズなど、レーベルの主力ともなっていたが、しかしラノベ読みのあいだではあまり話題にならない。そのあたりについて意見を聞きたい。また最近話題のYouTube漫画系のラノベをノベライズと捉えたときにどう考えられるか。

リイエル。そもそもノベライズの数が少ない。ラノベ読みは(売上的に重要度が高いはずの)ジャンプのノベライズを読んでない。YouTube漫画は異質。これまでのノベライズはゲームや漫画の内容をそのままなぞっていたが、YouTube漫画は新しく話をつくっている。ファンアイテム的でもある。メディアミックス的な売り出し方をしている。

岡田。ノベライズは狭義のライトノベルに含まれる。昔からあるが、最近は「何をもってノベライズなのか」が分からなくなっている。メディアミックスの一部になっている。リイエルさんに同意。

平和。異論の余地なくラノベ。一定のパッケージに落とし込んでいるのでラノベ

夏鎖。ノベライズはラノベではない。ノベライズというジャンルがあると認識している。アニメなどは既にイラストとコラボレーションしている作品で、それを小説化してもラノベとは言えない。

質疑応答。

夏鎖さんの「イラストとコラボレーションしたものがラノベ」理論を掘り下げる。

で、ボカロ小説はどういう立ち位置になるのか?みたいな話。

mizunotori。ライトノベルの文体は「読みやすい」か。別に一般文芸でもわざわざ読みづらくはしないのでは。たとえば、漫画でも絵柄はリアルだったりデフォルメが強かったりいろいろあるが、西洋画と漫画の白黒のコマを並べると「漫画っぽい絵柄」というのは分かる。それと同じくらい、一般文芸とラノベの文体に違いがあるかというと、無いのではないか。

YouTube漫画のノベライズは今後どうなるか?みたいな話。

ライト文芸ラノベか?(1:36:00〜)

平和。はっきり答えられない。どちらとも言える。文庫のいわゆるライトノベルの方法論は使っている。そのわりにレーベルは分けている。出版社が分けているのだからライトノベルにしにくい。

岡田。中間のジャンルが生まれたからなんとか名前をつけてみようというもの。小説とライトノベルのあいだにできた新しい国。

リイエル。狭義のライトノベルから追い出されたものたち。メディアワークス文庫。「ミミズクと夜の王」などのようにラノベとして売り出せなかったものを隔離。ラノベとも一般文芸ともどちらともつかない。ただしライト文芸として成立したあとに出てきたものもある。

mizunotori。ライト文芸とは「キャラ文芸」や「キャラノベ」と同じもの。場合によっては「なろう系単行本」を指して新文芸と言うこともある。が、この場では一般に「ライトノベルと一般文芸の中間」と言われるような作品群を指す。ライト文芸の始まりはメディアワークス文庫。書店でライトノベルの棚が一杯になったから一般文芸の棚に置いてもらうために『ライトノベルではありません』と名乗ったのがライト文芸。なので建前では別モノと言ってるけど実質的にはラノベ。とはいえライト文芸として成立してからかなり変わっている。ライトノベルにそれまでなかったようなジャンルも新しく生えてきている。売れなかったものを隔離したという感じではない。そもそも「ミミズク」なんかはラノベとして出せているし売れている。ビブリア古書堂が売れたのを見て周りからぎゅっと寄ってきて新しい文化を形成した。

夏鎖。イラストとコラボレーションしているかが重要なので、ライト文芸ライトノベルではない。イラストが表紙にしかない。

質疑応答。

10代の意見も聞きたい。YouTube世代とかラノベの定義についてどう考えているのか気になる。

mizunotori。ラノベが10代向けの小説だというのは古いのではないか。

平和。「オタク向けの小説」としたほうがしっくりくる。そして「オタク」の範囲が広がっているから境界が曖昧になる。

このラノライト文芸は扱わないのか?みたいな話。

mizunotori。中高生にもライト文芸は人気(ライト文芸のなかに中高生に人気のジャンルと大人に人気のジャンルがある)。読者年齢的にラノベライト文芸→一般文芸という段階を踏む、というのは違う。

では「ラノベと一般文芸の中間」というのはどういう性質が中間なのか?

非商業作品はラノベか?(2:11:25〜)

書籍化されていないWeb小説はライトノベルなのか?

平和。著者の意図としてライトノベルを志向していればラノベ

mizunotori。この議題の何が難しいかというと、ライトノベルにとって「非商業作品」は眼中になかった。「非商業作品はラノベじゃないよ」と言っていたわけではなく、売られているものをライトノベルと呼ぶのが当たり前で、そんなものを考慮してなかった。そして、「非商業作品もラノベだよ」ということになるとパッケージ派は苦しくなってくる。

電子書籍オンリーレーベルの扱い。

翻訳小説の扱い。

「いいな」と思った最近のライトノベル表紙

ふと思いついたので好きな表紙をだらっと挙げていきます。本当に素人目で見たときの「いいな」なのでデザインの専門的な解説などはありません。作品内容の良し悪しとも関係ありません。

前回似たようなことをやったときのはこちら。
https://kazenotori.hatenablog.com/entry/2017/06/17/211132

主人公じゃない!

主人公じゃない!02
こういうのってデザイン的にはなんて言うんでしょう。レトロポップ? 原色が映えて、タイトルのフォントとも合っていて、演劇のポスターみたいで綺麗ですよね。

春夏秋冬代行者


春夏秋冬代行者 春の舞 上 (電撃文庫)春夏秋冬代行者 春の舞 下 (電撃文庫)
ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の作者・暁佳奈の新作なんですが、ただただ純粋に美麗ですよね。強い。上下巻で表紙が繋がってるやつ、みんな大好き。

オーバーライト

オーバーライト――ブリストルのゴースト (電撃文庫)
これもラノベ読みのあいだでは話題になった表紙ですね。「グラフィティ」を題材にした作品だということで、殴り書きしたような文字と、カラースプレーの跡に、蛍光グリーンの特色を使っているというやつです。かっこいい。ちなみに2巻は蛍光ピンクで、そちらもとても良かったです。

スーパーカブ

スーパーカブ 3【電子特別版】 (角川スニーカー文庫)
アニメ放送中の人気作品を取り上げるのもいまさらですけど、いまさら考えてみるとラノベ表紙でモノクロイラストを使ってるのって珍しいですよね。この3巻のイラストがいちばん好き。題材がスーパーカブということでレトロっぽい感じを狙っているのか分かりませんが、イラストの「博」が漫画家でちゃんと白黒を描ける人だっていうのが活きてますよね。

鋼鉄城アイアン・キャッスル

鋼鉄城アイアン・キャッスル (ガガガ文庫)
原案が別にある作品なので(まあそれが関係あるかどうか分かりませんが)、いわゆる「ラノベでよくあるデザイン」とは違う文法で作られている感じ。端正ですね。

魔女と猟犬

魔女と猟犬 (ガガガ文庫)
単純なインバクトではグッドデザイン・オブ・ザ・イヤーを個人的に与えたい表紙。真っ赤な背景色、真っ赤な瞳、真っ赤な舌。うーん、かっこいい。

ガンナー・ガールズ・イグニッション

ガンナー・ガールズ・イグニッション Case1.フェイタル・インシデント (オーバーラップ文庫)
はい。単色背景、好きなんですよ。

5分で読める驚愕のラストの物語

5分で読める驚愕のラストの物語 (JUMP j BOOKS)
イラストは漫画『チェンソーマン』の藤本タツキ。こういう「5分で読める」みたいなのって最近流行ってる形式で、学校の「朝読」の時間とかに読まれるのを想定しているんですが、朝から読むにしてはめちゃくちゃ乾いた感じ。もちろんそれがかっこいいんですけど。

バケモノたちが嘯く頃に

バケモノたちが嘯く頃に ~バケモノ姫の家庭教師~ (電撃文庫)
前回紹介した『キリングメンバー』とかもそうでしたが、横向きの構図がべらぼうにかっこいいですよね。

銀剣のステラナイツ

銀剣のステラナイツ
これめちゃんこいいですよね。星明かりに照らされて見つめ合う二人。もう百合を体現してますよ。

錆喰いビスコ

錆喰いビスコ6 奇跡のファイナルカット (電撃文庫)
ビスコ』の表紙はどれもいいんですが、この巻のやつは「主人公が写ってる映画を見る悪役」っていうシチュエーションが好きです。

竜馬がくる

竜馬がくる (ダッシュエックス文庫DIGITAL)
このタイトルロゴくっそ好きなんですよね。

灰と幻想のグリムガル

灰と幻想のグリムガル level.15 強くて儚きニューゲーム (オーバーラップ文庫)
『グリムガル』は15巻から表紙デザインが変わったらしいです。めっちゃカッコよくなってますね。

1LDK、そして2JK

1LDK、そして2JK。III ~夏が始まる。二人はきっと、少し大人になる。~ (富士見ファンタジア文庫)
わかりやすく『ひげひろ』を意識してるタイトルはご愛嬌。こういうストーリーを感じさせる一枚絵っていいですよね。

声を聞かせて

声を聞かせて(1)精霊使いサリの消失 (ウィングス・ノヴェル)
こういう雰囲気の表紙ってサブカルっぽい女性向け漫画でたまにある気がする。好き。

オニキス

オニキス―公爵令嬢刑事 西有栖宮綾子―(新潮文庫)
まあ清原紘のイラストが強すぎるんですが。新潮文庫nexの表紙はだいたい良いです。

楽園殺し

楽園殺し: 鏡のなかの少女 (1)
まだ発売されてないけど登録されてたので。単色背景にモノクロっぽい人物というパッキリした配色が目を惹きますね。