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2010年上半期ライトノベルサイト杯投票

keyword:2010年上半期ライトノベルサイト杯

新規作品部門

空色パンデミック1 (ファミ通文庫)

空色パンデミック1 (ファミ通文庫)

空色パンデミック2 (ファミ通文庫)

空色パンデミック2 (ファミ通文庫)

上半期どころかおそらくは今年でも最高の新人作品。空想を現実だと信じ込んでしまう病気「空想病」のヒロインと、彼女を守るためにセカイを敵に回した主人公を描く壮大なサーガ(笑)。空想なのか現実なのか分からないまま猛スピードで物語は膨張し、そして破裂する。まるで絶叫マシンのような作品だと思います。
あ、映画『インセプション』を楽しんだ人にもオススメですよ。
【10上期ラノベ投票/新規/9784047264885】


ココロコネクト ヒトランダム (ファミ通文庫)

ココロコネクト ヒトランダム (ファミ通文庫)

ココロコネクト キズランダム (ファミ通文庫)

ココロコネクト キズランダム (ファミ通文庫)

こちらもファミ通文庫の新人さん。今年のファミ通文庫は大豊作です。ちなみに、ラノサイ杯のような(マニア向けの)イベントでは伸びないかもしれませんが、優秀賞の『B.A.D.』も面白い作品ですよ。
で、『ココロコネクト』。1巻では人格の入れ替わり、2巻では本音の暴走、そうした異常なシチュエーションを通して「ココロ」のつながりを描き出す超青春恋愛小説。もう最高レベルのニヤニヤを保証します。稲葉んは俺の嫁。
【10上期ラノベ投票/新規/9784047265370】


A=宇宙少女2×魂の速度 (電撃文庫)

A=宇宙少女2×魂の速度 (電撃文庫)

電撃文庫の新人からはこの作品。昨年来の『ピクシー・ワークス』(戦闘機 + 青春)や『ほうかごのロケッティア』(ロケット + 青春)の流れを受け継ぐ(と俺が勝手に思っている)、宇宙 + 青春小説。
将来を期待された水泳選手でありながら事故で泳げなくなった主人公が、それをきっかけに幽体離脱の能力を身に着け、宇宙を「泳いで」月まで辿り着くが、そこには謎の少女がいて…という場面から始まるSFオカルト青春ラブストーリーです。最初から最後まで出ずっぱりのハイスペックお嬢様が、ほんの数ページに出てくるだけの謎の少女にメインヒロインの座を奪われるという、とても悲しいおはなしでもあります。
【10上期ラノベ投票/新規/9784048682817】


神と奴隷の誕生構文(シンタックス) (電撃文庫)

神と奴隷の誕生構文(シンタックス) (電撃文庫)

電撃文庫の新人さん。飛び抜けて面白かったというわけではないけれど「他の人にも読んでもらいたい」と強く感じた作品でした。なので投票。Twitterで書いたコメントをそのままコピペさせていただくと「ファンタジー戦記かと思ったら遠未来SFで、異世界人との戦争かと思ったらギリシャ神話の神が出てきて、作品のテーマが植民地主義批判という良作」です。なんだそりゃ!?と思ったら本屋へGO!
【10上期ラノベ投票/新規/9784048685511】


恋する鬼門のプロトコル (電撃文庫)

恋する鬼門のプロトコル (電撃文庫)

こちらは『誕生構文』とは逆で、あまり他の人には薦めないけど個人的には超お気に入り、という作品。霊が視える少年と勝気な少女との恋愛を軸にしたオカルトなラブコメディ。男主人公と女主人公の視点を交互に切り替えて進行していくのですが、それが男主人公の節操の無さや女主人公の浮かれっぷりを強調していて、とても楽しいのです。
【10上期ラノベ投票/新規/9784048686075】


さくら荘のペットな彼女 (電撃文庫)

さくら荘のペットな彼女 (電撃文庫)

夢に向かって突き進む天才のヒロイン、彼女を見て将来の進路に悩む凡人の主人公、そんな二人を始めとする変人揃いのさくら荘の住人たちの、馬鹿騒ぎや馬鹿騒ぎや馬鹿騒ぎを描いた作品。刺激的なタイトルとは裏腹に、萌えやエロだけに頼らない、落ち着いた雰囲気を持っています。タイプとしては『とらドラ』や『ROOM NO.1301』に似ているでしょうか。
【10上期ラノベ投票/新規/9784048684637】

既存作品部門

戦う司書と世界の力 BOOK10 (集英社スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と世界の力 BOOK10 (集英社スーパーダッシュ文庫)

近頃のラノベには珍しい超硬派な作品としてアニメ化もされた作品の10巻にして最終巻。これまでに登場したオールスター総出演で最後の敵に立ち向かうのですから、もう燃えないはずがありません。広げきった風呂敷を見事に畳んだ作者に拍手を送りたい。
【10上期ラノベ投票/既存/9784086305273】


半額弁当を取るか、憧れのアイドルを取るか――シリーズ最高傑作と名高い第五巻。佐藤の男気が半端ない。単なる変態じゃなかったんですね。ただ、読み終わった当時は佐藤△状態だったんですけど、いま「佐藤」と聞けば思い出すのは5.5巻のオッちゃんとの絡みなんですよね…。
【10上期ラノベ投票/既存/9784086305280】


いつも心に剣を〈2〉 (MF文庫J)

いつも心に剣を〈2〉 (MF文庫J)

同作者の『絶望同盟』とどっちに投票するか迷ったんですが、完結記念ということもありこっちで。人間が支配し、魔女がそれに抗う世界で、その戦いに二人の兄妹が巻き込まれていくという筋書きの暗黒ファンタジー。十文字青が得意とする、無数の短文を積み重ねる心理描写が、ボロボロになって壊れていく兄妹を見事に描き出しています。重くて暗い作品を読みたい人にオススメ。
【10上期ラノベ投票/既存/9784840132862】


いま最も脂が乗っているラノベ作家といえばこの人ではないでしょうか。『戦闘城塞マスラヲ』の見事な完結と、そのファンディスク的な『レイセン』の楽しさ、そして第一部完となったこの『ミスマルカ興国物語』の第七巻では、衝撃の展開と強烈な引きを見せてくれます。まさに「ケレン味」という言葉を体現したような傑作。
【10上期ラノベ投票/既存/9784044266233】