Twitterで「なんか改名・改題が多いなMFJ…」とツイートしたら「『MFJの快進撃の裏には、優れたネーミングセンスが』というエントリーを書け」という指令が下ったので書く。
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というわけで、以下はMF文庫Jの歴代新人の改題・改名リスト。
改題・改名どちらも行われている場合は赤、改題のみの場合は黄、改名のみの場合は青で色分けしております。
データはこちらからいただきました→The page you were looking for doesn't exist (404)
第一回
『自己中戦艦2年3組』秋鳴 → 『青葉くんとウチュウ・ジン』松野秋鳴
『彼女はこん、とかわいく咳をして』名波薫2号 → 『かのこん』西野かつみ
『ロックスミス! カルナの冒険』月見草平 → 『魔法鍵師カルナの冒険』
『どっちがネットアイドル?』周藤氷努 → 『彼女はミサイル』須堂項
この回はやはり『かのこん』の略されっぷりに尽きますね。前知識なしで略称から原題を推理できたらすごい。改名前のペンネームも伝説の海原零に劣らず素敵です。この『かのこん』はアニメ化もされました。
ちなみに松野秋鳴の最新作『えむえむっ!』も現在アニメ化放送中。
第二回
『神様のおきにいり』岡崎新之助 → 内山靖二郎
『World's tale 〜a girl meets the boy〜』矢塚 → 『悠久展望台のカイ』早矢塚かつや
『World's tale 〜a girl meets the boy〜』から『悠久展望台のカイ』への落差がすごい。あとペンネームの方は「矢塚→やつか→かつや」というアナグラムですね。
第三回
『地方都市伝説大全』安宅代智 → 『ギャルゴ!!!!! 地方都市伝説大全』比嘉智康
ちなみに、『ギャルゴ』シリーズのサブタイトルは全巻通じて『地○○○○○大全』というフォーマットになっています。かなり苦しいけど。
第四回
『ミサキの一発逆転!』悠レイ → 石川ユウヤ
『二人で始める世界征服』岡崎登 → おかざき登
『この広い世界に二人ぼっち』磯葉哲 → 『この広い世界にふたりぼっち』葉村哲
『やってきたよ、ドルイドさん!』志瑞祐麒 → 志瑞祐
『不機嫌な悪魔とおしゃべりなカラスと』二階堂紘史 → 『ナインの契約書』二階堂紘嗣
『ジャンクパーツ』樋口モグラ → 『ぴにおん!』樋口司
この回はペンネームの変更が多いですね。
『この広い世界にふたりぼっち』は(MFJ歴代の新人作品の中で)個人的にはいちばん好きな作品。葉村哲の最新作『おれと一乃のゲーム同好会活動日誌』1〜2は大好評発売中!
第五回
『まよチキ! 〜迷える執事とチキンな俺と〜』あさのハジメ → 『まよチキ!』
『新世紀ガクエンヤクザ!』三原みつき → 『ごくペン!』
『リトルリトル☆トライアングル』斉藤真也 → 『オトコを見せてよ倉田くん!』
『One-seventh Dragon Princess』北元あきの → 『竜王女は天に舞う』
『ローズウィザーズ』三門鉄狼 → 『ラグナ・クラウン』
前回とは逆に作品名の変更が多い。
『まよチキ』はサブタイトルが削られて、『かのこん』と同じく何の略だか分からなくなっています。ちなみにアニメ化決定らしい。
『竜王女』は『悠久展望台のカイ』と同じパターン。やはり英字タイトルは難しいようです。
『ごくペン!』は原題のほうがインパクトあって面白そうですが…。
第六回
『変態王子と笑わない猫』天出だめ → さがら総
『食神』やすだ柿 →『喰-kuu-』内田俊
『吼え起つ龍は高らかに』無一 → 『ドラゴンブラッド』伊上円
『狐の百物語』冬木冬樹 → 『ふぉっくすている?』
『憑いている!』後藤祐迅 → 『つきツキ!』
『ハチカヅキ!』壱日千次 → 『社会的には死んでも君を!』
先月・今月とただいま刊行中の第六回生。受賞者は六人で、つまり全員が改題なり改名なりをしていることになります。
MF文庫Jには既に『ツイてない!』という作品があったりするので『憑いている!』の改題は仕方のないところでしょうか。
『社会的には死んでも君を!』とかはもう作品の印象がまるきり違います。いったい何があったんでしょう。あらすじからするとむしろこちらが『憑いている!』という感じなんですが。
どちらの作品も今月25日発売です。
という感じで、ざっと並べてみたわけだけど、MF文庫Jの改名・改題っぷりをお分かりいただけたでしょうか。「いやいや、どこの新人もこのくらい変えてるんじゃないの?」という人のために、他レーベルの新人もいくつか見てみましょう。ぜんぶ並べるのはめんどいので最新の回だけ。
スーパーダッシュ小説新人賞(第9回/4人)
『うさパン! 私立戦車小隊/首なしラビッツ』うさぎ鍋竜之介 → 『ニーナとうさぎと魔法の戦車』兎月竜之介
『ライトノベルの神さま』青々 → 佐々之青々
『二年四組 暴走中!』片山禾域 → 『二年四組 交換日記』朝田雅康
スニーカー大賞(第15回/受賞者4人)
『なるたま〜あるいは学園パズル』玩具堂 → 『子ひつじは迷わない』
『風景男のカンタータ』秋野裕樹 → 『丘ルトロジック』耳目口司
『バトルカーニバル・オブ・猿』春日部武 → 『ヒマツリ ガール・ミーツ・火猿』春日部タケル
「意外に変えてるじゃん」と思ったそこのあなた。
…俺もそう思った。
いや、他レーベルのこと調べる前に記事を書き始めたんだから、こういうこともありますよ!
まあでも、MF文庫Jの場合は、受賞者が多い上にその大半が改名or改題だとか、原題が影も形も残らないとかが多くて、そういうイメージが特に強かったということなんでしょう。電撃文庫が8人も受賞者を出して1作品しか改題していないのとは対照的で面白いですよね。
余談
このあいだ書店でラノベ棚を眺めていて思ったんですが、MF文庫Jの作品についている「帯」って、けっこう地味なんですよ。発色の悪い黄色で統一されていてキャッチコピーも大人しい。
世の中には、どう考えても作品の雰囲気と合ってないのに「ぱんつ」だの「おっぱい」だのといった過激なキャッチコピーをつけるライトノベルレーベルがあったりして、ネタでやってるんだか釣りなのか知らないけど、個人的にはあんまり良い気分はしないんですよね。本当に萌え萌えでえろえろなラノベにそういうのを付けるなら良いんですけど。
で、そういう「萌え萌え」「えろえろ」なラノベの代表格とみなされているMF文庫Jの「帯」が逆に地味なのは意外だなーと思ったのでした。まあ、これも印象論なので、他のレーベルの「帯」の傾向をきっちり調べてみるのも面白いかもしれません。俺はやりませんが。誰かやってください。