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ライトノベルネタブログ

「小説家になろう」のWeb小説個人的ベスト10

ライトノベルの人気投票企画、「好きなライトノベルを投票しよう!! 2012年上期」の結果が出て、「2012年上半期ライトノベルツイッター杯」の投票も締め切りを迎えました。いつもなら私も参加していたところでしたが、このところの私はまったくラノベを読むことができない絶望的状況に陥っておりまして、今回は投票ができませんでした。その埋め合わせと言ってはなんですが、ラノベの代替食料として貪り読んでおりますWeb小説の個人的ベスト10を書いておこうと思います。順不同です。よろしくお願いします。

『八重鏡』藤崎悠貴

http://ncode.syosetu.com/n3245bc/ (完結済)
「小説家になろう」と言えば異世界召喚ファンタジー!ということで、まずはこちらをオススメいたします。最初はしかつめらしい文体に戸惑われるかもしれませんが、慣れれば作品自体は軽妙なもので、意外にするすると読めると思います。異世界に迷い込んだ先の小王国を扶け、智謀を以て寡兵で敵軍を打ち破り、その勢いで隣国を攻め滅ぼせば、そこからは魔法の国での大冒険あり、人魚の島での怪物退治あり、また美しい王女とのロマンスありで、いつのまにか主人公のハーレム状態となっていたり。その一方で、大陸の南方では酷薄なる覇王が急速に勢力を拡大し、巨大なる皇国を蹂躙せんとして進軍を開始、ここに一大決戦が巻き起こります。
ちなみに作者は18禁のノクターンノベルズの人気作家であり、『時を止めて』は、こちらも名作です。

『死神を食べた少女』にんぽっぽ

http://ncode.syosetu.com/n5240bc/ (完結済)
大鎌を担いだ死神のごとき少女が、反乱軍を相手取って無双する話、…といっても、物語の早い段階で、王国側の最終的な敗北が示されており、いわゆる「俺TUEEE」とは趣を異にしております。反乱軍の「英雄」たちの前に敗れ去り、追い詰められていく王国軍において、裏切る者、忠義を尽くす者、最後に誇りを示す者。滅びゆく彼らの生き様が、最凶の「死神」の目を通して描かれます。ラノベで言えば『火の国、風の国物語』をダークファンタジー風味にしたような感じでしょうか。
作品完結後に書籍化が発表されましたが、そのときの読者の反応が「びっくり」ではなく「やっぱり」だったあたりが、この作品の面白さをよく表しているように思います。

『剣士マーシャの酔憶』田崎将司

http://ncode.syosetu.com/n2323bm/
引退した最強の女騎士が王都で起こるいくつかの事件を解決していく…という話なのですが、魔法も怪物も出て来ませんので、ファンタジーというよりは時代劇に近い印象を受けます。自分は女剣士が主人公の作品が好きらしい、というのが最近の発見でして、『剣戟rock'n'roll』、『転換の魔剣と抑止の聖剣』、『シルヴァジェント大公記』など、気に入っているのですが、この作品は文章にそつがなく、適当な分量でよくまとまっているところを評価して、挙げさせて頂きます。「エタる」*1のもWeb小説の華ではありますが、やはり綺麗に完結している作品は、それだけでも「ストーリー評価」を+1しちゃいますよね。
追記:現在は削除されているようです
追記:改稿・再投稿されたようです

『薬屋のひとりごと』うりぼう

http://ncode.syosetu.com/n9636x/ (完結済)
中華風ファンタジーのジャンルからはこの作品を。薬師の知識を持った無愛想な下女の宮廷生活をミステリ風味に仕立て上げつつ、イケメン宦官とのロマンスになりきれない関係をコミカルに描いています。まあ主人公の猫猫ちゃんがマッドサイエンティスト可愛いのですが、それに振り回されるイケメン宦官の苦労と苦悩も滑稽で楽しい。非常に完成度の高い作品だと思います。

『夢のまた夢』雛

http://ncode.syosetu.com/n7420y/
戦国トリップ物からはこの作品。この「ベスト10」では、完結しているか、章立てがしっかりしている作品をなるべく選ぼうと思っているのですが、この作品だけは全く完結が遠そうな上に、更新速度も非常に遅いです。しかし何と言っても「もしも信長が本能寺で死ななければ」「もしも家康が関が原で負けていれば」に並ぶ戦国三大if(いま適当に考えました)であるところの「もしも秀吉にまともな実子がいれば」を描いた作品ということで、これは選ばざるを得ないだろうと。いつまでも更新を待っております。

『葉擦れの声』松原ソラト

http://ncode.syosetu.com/n2916bb/
和風伝奇的な異能ファンタジー。精神的に老成した最強主人公を取り巻く、個性的かつ能動的なヒロインたちの成長が主に描かれており、そのあたり『魔法科高校の劣等生』に似通った空気を感じます。上巻・中巻と、お話がよくまとまっていて素晴らしい。下巻の方も近いうちに投稿されるようです。近況報告によると、プロデビューを目指されるとのことで、その日を楽しみに待っております。

『美少女キケン』なーこ

http://ncode.syosetu.com/n4472y/
バイセクシュアルでネクロフィリアボクっ娘が美少女探偵という時点で大勝利ですよね。主人公(美少女)と、主人公の恋人(美少女)と、主人公の浮気相手(美少女)の三角関係など、ドロドロしていて素晴らしいですし、肝心の事件部分もなかなか陰惨で読み応えがあります。『神様のメモ帳』のアリスがもっと世間擦れしている感じでしょうか。うん、可愛いですね。

『その女、小悪魔につき――。』九曜

http://ncode.syosetu.com/n7930q/
「小説家になろう」では、もちろん異世界転生やVRMMOだけではなく、現代モノの恋愛小説が*2数多く投稿されており、たとえば『恥ずかしいセリフの何が悪い!』や『王子と付き合う魔法のコトバ』などもお気に入りなのですが、その中からさらに一つを選ぶとすればこちらになります。木下あかりさんのおすすめ「小説家になろう」小説紹介コーナーでも紹介されている作品ですね。
丁々発止の恋の駆け引きを繰り広げる高校生男女の賢しらなやりとりを眺めてニヤニヤするタイプの作品であり、まさに私の大好物であります。『月光』を思い出したりしました。作者の九曜氏は青春恋愛モノをいくつか執筆されておられまして、そちらも漏れなくオススメです。

『あい・らぶ・まみぃ!』シロクロ

http://ncode.syosetu.com/n6759c/ (完結済)
「なろう」でたまに見かけるジャンルとして、「本当は有名人だったり大富豪だったりするヒロインが正体を隠して学校に通う」というものがありまして、たとえば『秋桜』や、『編み物BABY』などがそうなんですが、この『あい・らぶ・まみぃ!』も同系統ながら、「百合」という一点において異彩を放っております。
男として生活していたヒロインが大富豪の祖父に引き取られ、「女装」して名門女子高に入ることになり、そこで生徒会の仲間たちと百合百合しまくるという話。過去のトラウマの影響で、精神的に幼く、異常に潔癖で、かつ重度のマザコン、恋愛を理解できず、スキンシップとしてのハグやキスは好きなくせに、それが性的な色を帯びた瞬間にパニックになってしまうという、非常に面倒くさい感じのヒロインですが、このような「極端さ」こそがアマチュアのWeb小説の醍醐味であろうと思います。

『キョーハク少女』ヒロセ

http://ncode.syosetu.com/n8722x/
内気で善良な少年が巻き込まれるトラブルの数々を描いたほろ苦い青春群像劇。裏表のある腹黒美少女から始まり、疎遠になっていた金髪幼馴染、正体不明のチャット相手、山に住み着いた怪しげなホームレス、告白してきたクラスメイト、そして謎の転校生。さまざまな人物と出会い、さまざまな言葉をぶつけられて、主人公は、その善良さ故に、悩み、傷付き、悲しみますが、それでも作品が鬱々としすぎないのは、彼の人徳のおかげでしょうか。
現在は最終章に突入中。グランドフィナーレに期待しております。




2012/12/20 追記:
いまでもGoogleから来ている人がけっこういらっしゃるみたいです。あらためて確認したところ『剣士マーシャの酔憶』が削除されているようでしたので、その代わりというわけではないですが、お気に入りの作品をもう一つ追加しておきます。

『少年魔王の『世界征服』と英雄少女の『魔王退治』』NewWorld

http://ncode.syosetu.com/n4456bh/
ライトノベルでも大流行している、いわゆる「魔王と勇者(英雄)」モノというやつですが、「魔王」「英雄」というキャラクターを真面目に描いている点が素晴らしい。個人的にも「たまにはパロディではない魔王モノが読みたい」と思っていたので僥倖でした。
最上位の魔をこともなげに召喚する恐るべき力を振るい、しかし異性の母性本能と嗜虐心をくすぐる気の弱い美少年は、腹黒い姉に振り回されて「魔王」を名乗ることになる。一方、常識外れの強さを見せる、純粋でちょっとおバカな少女は、「英雄」となることを目指して学院に入学し、学友たちと切磋琢磨する。善良なだけとは言えない無垢な恐ろしさを垣間見せる少年と、ただの夢見る少女ではないことを示す謎めいた力を秘める少女。二人の物語が交差するとき、果たして何が起こるのか。続きが楽しみです。



以上になります。
過去のまとめ記事は以下。


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*1:未完結のまま更新停止状態になること。

*2:学園ラブコメはもちろんオフィスラブなども