刊行点数の増加と共にかつてないほどジャンルの幅が広がってきた最近のライトノベル業界。バトルにラブコメにファンタジーにミステリ、戦記モノに青春モノに教官モノにお仕事モノ…と考えていて、ちょうどスペオペが空白地帯になっているんじゃないかと思い至りました。
「スペオペ」という語は定義が分裂気味ですが、とりあえず「広大な宇宙を舞台とした冒険もの、もしくは戦記もの」というあたりにしておきましょう
同じ「SF」の中でも、ディストピアな未来の話だとか、タイムループを扱った話だとか、そういうラノベはけっこう多いんですよね。「殺戮のマトリクスエッジ」とか「バベロニカ・トライアル」とか「レターズ/ヴァニシング」とか「ひとつ海のパラスアテナ」とかすぐに思い浮かびますし、ヒット作で言えば「ソードアート・オンライン」や「魔法科高校の劣等生」もSF要素が強い。ハヤカワのほうで書いているラノベ作家もたくさんいますし、SFラノベを読みたいだけなら、わりと簡単に見つかると思います。
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ところが「スペオペ」というと一気に少なくなってしまう。ここ数年で自分が読んだ中では「銀河戦記の実弾兵器」くらいしか思い浮かびません。少し遡って「覇道鋼鉄テッカイオー」。読んでないやつで言えば、ハヤカワの「宇宙軍士官学校」や「天冥の標」、あとは「ミニスカ宇宙海賊」あたりでしょうか。
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なにせスペオペはラノベの源流のひとつですし、「無責任艦長タイラー」「ロスト・ユニバース」「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」などがあった1990年代はもちろん、2000年代に入ってからも大ヒットこそないもののそれなりに作品は出ていたんですよね。2010年代に入って、ファンタジーの復活やライト文芸の興隆があったことで、ちょうど「盲点」みたいになってるんじゃないかなあと思います。
しかしですね、いま、now、2015年末の現在、スペオペには勢いがあると思うんですよ。このあいだまでスペースダンディとかやってましたし、Gレコも面白かったですし、オルフェンズでは鴨志田一が脚本やってますし(まさにデビュー作がスペオペ戦記だったんですよね)、スターウォーズの新作も公開されるし、「星くず英雄伝」が復活したし、そして「銀河英雄伝説」が再アニメ化される! フジリューがコミカライズしてる!
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ということで、「そうだ、スペオペ書こう」とばかり、思い出したように執筆をはじめるラノベ作家、およびラノベ作家志望者が増えるんじゃないか、と願望まじりに予測するわけです。いかがでしょう。「俺が2010年代後半のラノベ業界をスペオペに染め上げてやるぜ」というくらいの素晴らしい作品を期待しております。