先日、こういうツイートを見かけたわけです。
一次創作同人誌を売るための工夫 表紙とタイトルのつけ方での注意点 2pまとめ pic.twitter.com/KLNgRAV2r7
— 大塚志郎11月コミティアK31a (@shiro_otsuka) 2017年10月24日
この漫画のなかではラノベのタイトルが「中身が一発で分かる」と評されているんですが……
え、分かります??? 『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』ですよ??? 「ネットゲームでは見知らぬ他人と疑似結婚的な関係を築くことができるがゲームの中で可愛い女の子として振る舞っている奴はだいたいネカマである」という前提知識がないと意味わかんないタイトルですし、それを知っていたところでせいぜい「ネカマだと思ったら美少女だったのかな…?」というくらいですよね。明らかに、作品内容を知らせるのではなく、「謎めいた文言で客を引きつける」タイプのタイトルじゃないですか。
ラノベのタイトルって「タイトルがあらすじになってる」「タイトルにオチまで書かれてる」なんてよく言われるんですが、ぜんぜんそんなことはないですよ。『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』ってタイトルだけでは妹が隠れオタクだなんて分からないですし、『僕は友達が少ない』だって部活系ハーレムとは分からないでしょう。『魔法科高校の劣等生』なんか素直に読めば「劣等生」ですよ。どこに「最強のお兄さまが様々な陰謀と対決する学園アクション」なんて書いてあるんですか。
『転生したらスライムだった件』然り。
『問題児たちが異世界から来るそうですよ?』然り。
『勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。』然り。
『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』然り。
『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』然り。
『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件』然り。
いずれも「物語の前提」「基本的な設定」の説明であって、電子書籍の試し読み部分だけでも分かるような内容にすぎません。
――スライムになってどうやって生きていくんだ?
――勇者になれなくて就職ってどういうことだ?
――下ネタが存在しない世界ってどんな世界だ?
読者の反応としては「なるほどそういう話だったら買おう」ではなく「どういう話か気になるから買おう」になるはずです。
たとえば最近のラノベアニメだったらこんなタイトルがありました。
『ナイツ&マジック』
『異世界食堂』
『天使の3P!』
『異世界はスマートフォンとともに。』
『ようこそ実力至上主義の教室へ』
『ゲーマーズ!』
『無責任ギャラクシー☆タイラー』
『終物語』
『十二大戦』
『キノの旅』
『妹さえいればいい。』
はたして内容が一発で分かるようなタイトルばかりでしょうか…? いちばん長い『異世界スマホ』なんか「スマホを使わない」って叩かれてたくらいだしなあ…(原作ではのちのち意味が分かってくるそうですが)。
そういう意味では、むしろタイトル詐欺に気をつけるべきですよね。最近読んで面白かったラノベに『叛逆せよ!英雄、転じて邪神騎士』という作品があったんですが、なんだかコミカルなタイトルに反して、これはシリアスなヒロイックファンタジーなんですよ。邪神を奉じて各国を侵略した邪悪な王国をうち倒したあと、その国土が他国に蹂躙されるのを目の当たりにした「英雄」が、苦悩を抱えたまま立ち上がるというあらすじでして。作者もベテランの方で実に面白く読ませてくれるんです。オススメですよ!(と、宣伝で終わる)
- 作者: 杉原智則,魔太郎
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/07/07
- メディア: 文庫
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