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ライトノベルネタブログ

「最近のラノベはタイトルで内容を全て説明している」は本当か?

このツイートをRTして「ラノベの長文タイトルも同じだよね」とか言っている人たちを見かけた。

そういえば「最近のラノベはタイトルで内容を全て説明している」「最近のラノベはタイトルを読めばオチが分かる」などと豪語する人も散見される昨今である。

はてさて、ラノベの長文タイトルは、本当に作品の内容を詳しく説明しているのだろうか。

いくつかの有名作品を例に挙げてみよう。

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない

俺妹を読んだことがない人「とりあえず妹が出てくることは間違いない。察するに、妹が幼児退行して昔の可愛かった頃に戻ったとか、多重人格な妹に新しくお兄ちゃん大好きな人格が生まれたといったような話に違いない」

さて、皆さんもご存じだろうが、いちおう『俺妹』のあらすじを説明すると、ギャル系で小生意気な妹が、実は隠れオタクエロゲー好きで、その秘密を打ち明けられた主人公は、嫌々ながらも妹にあれこれと協力していく、という話である。分かるかよ。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)

俺ガイルを読んだことがない人「青春ラブコメね。主人公が何かしらラブコメ的なイベントに巻き込まれつつ、しかし登場するヒロインたちがラブコメらしからぬ奇人変人だらけで振り回されてばかり、こんな青春は間違ってるよ〜!みたいなスラップスティック・ラブコメとみた」

さて、こちらも説明しておくと、『俺ガイル』はわりとシリアスな青春恋愛もので、性格に問題のある主人公が、生徒会の手伝いでイベントの運営に駆り出されては、恋愛関係やスクールカースト的なトラブルを解決するのに奔走することになる、という話である。分かるかよ。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (GA文庫)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (GA文庫)

ダンまちを読んだことがない人「ダンジョンという用語からするとRPG的なファンタジーなのだろうか。主人公はナンパでスケベな冒険者。美しい女冒険者とのロマンスを求めてあちこちのダンジョンを巡っているが、そのたびに酷い目にあって美女には逃げられる…ってな感じだろうな」

さて、読んだ人は知っているだろうが、『ダンまち』における最大の「出会い」は開始1ページで終わる。あとはひたすらヒロインを追いかけて強くなっていく主人公を描いた冒険ファンタジーである。ちなみにダンジョンにまったく入らない巻も多い。分かるかよ。

問題児たちが異世界から来るそうですよ?

問題児を読んだことがない人「現代のこの世界に、異世界からファンタジー的な騎士や魔法使いがやってくるのだろうか。”問題児たち”ということは、そういう異世界の子供たちを集めて、学校みたいなのを運営する話かもしれないな…」

と思ったら大間違いで、やはり異世界「に」召喚された少年少女が、チームを組んで戦っていくバトル・ファンタジーである。もちろん、異世界側から見れば、主人公たちが元いた世界こそ「異世界」なので、タイトルに偽りがあるわけではないが…やっぱり分からんだろ。

男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。

くっそ長いタイトルだけど、このタイトルを読んだだけで「首を絞められている」理由が分かるだろうか。わかんねえだろ。

下ネタという概念が存在しない退屈な世界
勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。
俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件

下ネタという概念が存在しない退屈な世界 (ガガガ文庫)

下ネタという概念が存在しない退屈な世界 (ガガガ文庫)

このあたりは読んでいないので端折るけれども、「下セカ」はディストピアを作る話ではないし、「勇しぶ」は就職活動の話ではないし、「庶民サンプル」は(わりと分かりやすいが)それでも拉致られて終わりという話ではない。

これらはいずれも作品の土台となる設定を説明しているだけで、作品内容のすべてを説明しているわけではないのだ。

まとめ

長文タイトルには三種類があるのだと思う。

1. 雰囲気重視なタイトル

作中の印象的なフレーズをそのままタイトルにしてみたり、突飛なキーワードを並べてみたりしたもの。インパクトはあるけれども、作品内容をそのまま表しているわけではない。役割的にはキャッチコピーに近いかもしれない。

2. 物語の前提を説明したタイトル

先述したとおり、これは「いったいどんな話になるんだ?」と興味を煽る効果を狙っているのであって、「どんな話か分かっていないと安心して買えない」とはむしろ正反対だと思う。あえて言うなら映画の予告編に近い。

3. オチまで説明したタイトル

これの代表格が『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話』なわけだけど。

いやさあ、このタイトルを見て「へえ、受験を題材にした映画なのね…私、最後にはちゃんと合格する話じゃないと観たくないんだけど…あ、合格するの? じゃあ観る!」なんて人がいるのだろうか。

普通は「ええっ、どうやって合格したの!?」と思うんじゃないのか。

要するに「オチは決まっているんだから過程で興味を引こう」という話でしかない。ダイエット広告みたいなものである。


というわけで、「最近のラノベはタイトルで内容を全て説明している」とかいうのは、「最近のラノベは主人公がピンチに陥るのがダメらしい」と同じような「『無知で繊細な若者』幻想」に過ぎないと思われる! 以上、解散!