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2021年ライトノベル10大ニュース

YouTube「マンガ動画」のノベライズが増加

現在は「漫画エンジェルネコオカ」からの書籍化が多いでしょうか。ネコオカのマンガ動画には、脚本としてラノベ作家が協力していることも多く、単純な「ノベライズ」というよりは「共同企画」のような形になっているようにも感じます。

マンガ動画の第一人者だった「フェルミ研究所」が更新を終了するといったニュースもありましたが、まだどう転ぶかわからないマンガ動画が、これからラノベ業界とどう関わっていくのかは気になるところです。「小説家になろう」と違ってYouTubeには収益化機能があるので、有名投稿者ほど書籍化を目指すインセンティブがないんじゃないかとも思いますが。

あと、このあたりはMF文庫Jがかなり積極的に動いていて、マンガ動画やボカロ小説を矢継ぎ早に刊行し、さらに先ほど発表されていましたが、にじさんじVtuber来栖夏芽の小説家デビューも手掛けるということで、そうした冒険的な試みには注目ですね。

TikTok売れ」の本格化

特にライト文芸と親和性が高いということで興味深いですね。昨年は「TikTokでクチコミが広がって売れた」という自然発生的なヒットの話題だったのが、今年は出版社とTikTokerが組んで企画を展開するなど、出版業界が積極的にTikTokでのプロモーションを仕掛けていったように思います。

そんな中で、小説紹介系TikTokerとして活発に動いていた「けんご」氏が、書評家の豊崎由美からdisられたことにショックを受けて、TikTokでの活動休止を宣言するといった騒動もあったりしましたが…。

『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』のヒット

「2021年(にKADOKAWAから刊行された新作ラノベの第1巻限定)で一番売れたライトノベル」とか「(当時はまだアニメ化前だった)ハルヒシリーズ(の第2巻の初版発行部数)級の勢い」とかわりと無理やりな宣伝しているあたり、このすば完結後の看板作品を求めるスニーカー編集部の必死さが漂っている気もしますが、もちろん発行部数などからしてめちゃくちゃに売れているのは確かです。

ヒロインのアーリャさんがVtuber化して宣伝していたことも、『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』がVtuber化で話題になったことと合わせて(あるいはマンガ動画やTikTokといったトピックも含めて)、ラノベの販売戦略の多様化というか、なんか変なふうに金をかけるようになった感がありますね。

コミカライズからのアニメ化?

原作小説は続刊が絶えて久しいのに何故か唐突にアニメ化が発表される…とか、アニメ化の発表があったのに原作小説を出していたレーベルはほとんど無反応…といった、おそらく「ラノベのアニメ化」というより「ラノベのコミカライズのアニメ化」なのだろうな、と思われる事例が増えている気がします。

ラノベ原作コミカライズの急増はここ数年のトレンドだったわけですが、その結果として「書籍化とコミカライズを同時に開始したらコミックだけ売れた」とか「別の出版社でコミカライズしてもらったらそっちの方でアニメ化企画が進んじゃった」みたいなことが起こってるのかなーと思います。

無料ラノベアプリ「電撃ノベコミ」リリース

漫画アプリではお馴染みの「いろんな作品を無料で公開して、一話ごとに購入もできるアプリ」のラノベ版みたいなやつですね。無料ラノベといえば、これまでは「小説家になろう」なんかがその役割を担ってきたと思うのですが、ノベコミが軌道に乗ってWeb小説とは別の窓口が出来ればいいですよね。

と言いつつ、ノベコミが軌道に乗っているようには見えませんけども。

Twitter Spaceでラノベ談義

音声SNS「Clubhouse」を速攻でパクった「Twitter Space」でしたが、Twitterからそのまま使える簡便さもあってかそれなりに利用されていた印象があります。ラノベ作家の対談や、若いラノベ読者の雑談など、貴重なお話を聴くことができました。

私も「ラノベ定義論スペース」という企画を夏鎖さんにぶん投げたりしたのでなかなか印象深いものがあります。
ラノベ定義論スペースのメモ - WINDBIRD::ライトノベルブログ

でもまあ「定着した」とは言い難いですし、緩やかに使われなくなっていくのかな、と思います。個人的にはiPadアプリから使えなかったのがわりと致命的でしたね。

スマホゲーム『ファンタジア・リビルド』サービス終了

「人気のラノベを集めたスパロボ的ゲームアプリを作る」っていう方向性は絶対に正解だと思うんですよ。ファンリビの失敗は、よりにもよってFGOのゲームシステムを流用してしまったことと、そして電撃・スニーカー・MFJといった他のKADOKAWA系レーベルを巻き込まなかったことに尽きるんですよ。やっぱり「カドカワ・リビルド」を作るべきだと思います。期待してます。

「次にくるライトノベル大賞」開催

ニコニコがやっている「次にくるマンガ大賞」のラノベ版といった趣きです。似たような企画としては数年前までBOOK☆WALKER主催の「新作ラノベ総選挙」というのがありましたが、今回はキミラノが主催しているようですね。ノミネートされた作品が多すぎるとか、1日1票なので信者力勝負になりそうとか、いろいろ問題点も思い浮かぶのですが、とりあえずこの企画によって一つでも新作が打ち切りを免れるといいですね。

結果発表は来年2月18日だそうです。

ライトノベルEXPO 2020」開催

カドカワの5大ラノベレーベルが集まるリアルイベントということで、「2020」という名前からもわかるとおり、本来なら去年開催されるはずだったのが、コロナ禍で延期になってしまっていたやつですね。結局はネットでの動画配信を中心としたイベントに生まれ変わり(リアルでの展示もあったみたいですが)、アニメ化の発表などもあって盛り上がっていたみたいです。来年も開催されるんでしょうか。

個人的には「ラノベのイベント」というより「ラノベアニメのイベント」だったのがかなり不満でした。

「エンタメ for around 20」連載終了

朝日新聞で十年間にわたって連載されていたラノベ紹介コーナーが終了しました。著者の前島賢は、筋金入りのオタクライターであると同時に、ラノベ作家・大樹連司としても著名。選書のほうも「わかってる」感じのラインナップであり、こういった書評がマスな媒体に掲載されることで果たした役割は大きかったと思います。お疲れ様でした。


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